前回は、出会いは日常の何気ないシーンに転がっていることをお話しました。
今回は、その場限りの恋、いわゆる「アバンチュール」についてお話します。
自分に合うかどうか、まずは試してみる!
私自身驚いたのが「アバンチュール」がフランス語だったこと!元々は「冒険」の意味ですが、日本では恋愛面での使用が定着していますよね。
フランスの文化といえば、「お試し」。パリは日本に比べ、ほとんどのものが試せます。試着、味見、(美容の)テスターはもちろん、インナーやランジェリーも、着てみて決めるのが習慣です。チェックするのは、良品か否かでなく自分に合うかどうか。恋愛も同じこと。「お試し」があって然りなのかもしれません。
ほんの一瞬でも感情のボルテージが上がれば、時間を共にする。「今」を軸に考える彼女らの感覚を想定すると、「今」の時間を大切にして、ふたりきりで過ごすのを優先するのがアバンチュールなのでしょう。
恋愛から順序を取り払ってみる
ただ、いくらパリジェンヌだからと言って「どこでも誰とでも」というわけではありません。どんな場合も自分の体を大事にすることは当然のこと。それを大前提に「いいな」と思った相手にじかに触れる機会を大事にします。
恋愛から「順序」を取り払ってみれば、肌と肌の距離を一気にゼロまで縮めるのもひとつのパターン。そこから徐々にお互いを知り、発展していく関係もあると思えませんか?自分がそうするかは別として、そんな恋愛もある、と知るだけで心に余裕のある大人っぽい気持ちになれます。
その逆で、何事もなかったように(まるで「enter」キーと押すように昨夜の出来事は消去)、元の生活に戻るというのもアリ!
そんな終わり方の「アバンチュール」ストーリーを描いてパリジェンヌに見せた際、「そう、これはパリジェンヌよ!」とのお墨付きをもらいました。ということは…現実にはこちらの方が多そうですね。
大事なのは自分の気持ちに素直になること
そんなパリジェンヌの“生態”をよく表しているシネマの1シーンがあります。近所に住む男女が顔見知りになり、初めて会話した日に彼のベッドへ!ところが彼にかかってきた電話の応答で「チャラ男」とわかり、彼女は服を着て部屋を出ます。追ってくる彼がどんなフォローをしても、突き放す。結果的に一度きりとなりました。
違和感を覚えた相手を同情心でひきずれば、自分がつらくなっちゃう。だからこれでシャットアウト!パリジェンヌはそんな「あとくされナシ」のうまさがあると思います。
異性に対する思いやりもほどほどにしないと、自分をおそろかにしてしまいがち。自分の気持ちにいつでも忠実に、素直に振る舞うのがパリジェンヌなのかもしれません。恋愛の順序や駆け引きも時には必要かもしれませんが、一番大事なのは「自分がどうしたいか」ということ。
「違う」と感じたら、その場で終了できる潔さはぜひ取り入れたいものです。