ブルーが紡ぐ、それぞれの夢と愛…満島ひかり&佐藤健主演Netflix『First Love 初恋』【後編】

ブルーが紡ぐ、それぞれの夢と愛…満島ひかり&佐藤健主演Netflix『First Love 初恋』【後編】

高校時代に出会った男女ふたりが、20年間をかけてまた愛を積み上げていく『First Love 初恋』。コラムの前編はこちら、中編はこちらから。

佐藤健が演じる並木晴道(なみき・はるみち)が、偶然出会った野口也英(のぐち・やえ/満島)の息子へ恋のアドバイスをしていた第三話。こんなセリフがあった。

「初恋ってのは無意識で、突然で、ごまかしが効かない」

この一言のごとく、本作には妙なごまかしがない。ただ誰かが好き。それだけが全九話に流れている。濁流でもなく、清流。そんな流れにどずっぽりハマったドラマオタクのエッセイスト、小林久乃です。編集部から視聴依頼があったときに「全部見たらなっがいな〜!」と、一丁前に文句を垂れていた。それが配信回を追うごとに大ハマり。もちろん号泣。最終話は「もう終わってしまうのだから大事に観なくては」と、なぜか風呂に入って体をきれいにして「あとは泣くだけ!」の体勢を自ら作って、寝間着で視聴した。

これからこの世界観へ突入するあなたに向けて、見どころをつづっていく。

見終えると無性にブルーをまといたくなる

第七話から最終話までのあらすじをどうぞ。

並木晴道(佐藤)との初恋、不慮の事故を経て、野口也英は医師の行人(向井理)と結婚。息子の綴(荒木飛羽・青年期)を授かるものの、上流階級の行人一家とはうまくいかず、離婚。タクシー運転手として働いている。これでいい、そう思っていたところに再会した晴道。好きでも彼には婚約者がいる。諦めようとした矢先、1999年のヒット曲、宇多田ヒカルの『First Love』を耳にする。昔、晴道と聴いた曲。なぜか止めどもなく、涙があふれてしまう也英がいた。

第一話を観て、すぐに気づいたことがある。「あ、ぜんぶブルーだよね?」。例えば出演者のスタイリング。タクシードライバーの也英が着用している制服はくすんだブルー。綴が母にプレゼントした洋服も、也英の実家のポストも、リュックサックもシューズも。そこかしこにブルーが差し込まれている。このスタイリングを手がけたのはスタイリストのBabymix氏。多くのブルーを使っていても、邪魔にならないのはお見事だ。全話を通した、青の風光明媚として目に映る。

私はこのブルーをこう解釈した。ふたりが夢見ていたのは、空での仕事だった。也英はキャビンアテンダント。晴道が選んだのは、大事な人を守るための航空自衛隊でパイロット。そこにはスカイブルーがある。この青を表現したかったのだろう……なと。つい格好いいことを書いてしまったが、個人的にブルーは大好きな色である。サムシングブルーをはじめとして、なにかと幸福感のある色。鮮やかでも暗くてもいい。ターコイズブルーのように、何かが混ざってもいい。心穏やかにしてくれる作用がある。あくまで私に限っての話だけれど。

曲が、歌詞が引き込む初恋の世界へ

最後にお伝えしたいのは、見逃すというよりも聞き逃してほしくない、ドラマに流れる曲のことだ。その曲は宇多田ヒカルの『First Love』。1999年に発売されて、約96万枚を売り上げた。ちなみにシングルカットをしたアルバム『First Love』は、800万枚超えのモンスター記録を持つアルバムの中の一曲だ。

今はCDを購入することも減って、音楽はサブスクリプションから抽出することが多くなった。一曲そのものが、ほどよく軽量化されている感覚を覚える。そのことを昭和生まれとして、けして否定をするわけではない。でも発売日にCDを買い求めに出かけるうわずった気持ちは……そこにはない気がする。そういう意味でこの曲追いかけると、平成のヒット曲『First Love』はとても重い。聞く人によっては、瞬間的に1999年に引き戻してくれる。

ドラマオタクなりに記憶を反芻(はんすう)すると、この曲は1999年放送『魔女の条件』の主題歌であることが即座に思い浮かんだ。年齢差9歳の女性教師と、高校の男子生徒が禁断の恋に落ちていくドラマ。初恋だ。そして同じく宇多田ヒカルによる『初恋』(2018年)は、『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(ともにTBS系列)の挿入歌として使われていた。

「うるさいほどに高鳴る胸が
柄にもなく竦む足が
今静かに頬を伝う涙が
私に知らせる これが初恋と」

この一節がまさにふたりの20年間を表している。音符をたどるように、雰囲気だけを楽しむ音楽もいいけれど、歌詞に感銘する平成の曲だって時にはいいのだ。この二曲にインスパイアされて、始まったという『First Love 初恋』。ついに11月24日(木)からNetflixで配信が始まった。一足早く全話を観た私が思うのは「早くみんな観て! で、感想を居酒屋政談のごとく話そう!!」である。

2022年も地上波ドラマをたくさん観たけれど、今年は『First Love 初恋』にひどく泣かされて、笑顔にしてもらった。実はあのシーン、あのセリフ。書きたいことは山ほどあるけれど、Netflixさんと編集担当さんに「小林さん!!」と怒られそうなので、ネタバレをしないように口をつぐんでおく。

Netflixシリーズ「First Love 初恋」は 2022年11月24 日(木)より独占配信中。

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