花粉が飛び交うシーズンは目、鼻、のど、肌につらい症状が現れますが、どうも髪もぼさぼさして傷むように感じます。そこで、「Hair salon aruca」(福岡県北九州市)のオーナーで美髪を追求する三谷遥さんに尋ねると、「毛髪や頭皮も花粉によるダメージを受けています」ということです。どのようなダメージなのか、また予防法やケア法についても詳しく聞いてみました。
開いたキューティクルのすきまに花粉が付く
三谷さんはまず、花粉による毛髪や頭皮へのダメージについてこう話します。
「毛髪の表面は、ウロコ状に重なるキューティクルで覆われています。このキューティクルがきれいに並んで閉じた状態だと美髪は守られるのですが、ヘアカラーやパーマ、ドライヤーの熱、摩擦、静電気、濡れた状態などではすぐに開いて、髪の内部にまでダメージが及びます。
そして、キューティクルが開いたすきまには花粉が付着しやすくなります。その花粉は毛髪の内部の水分を奪い、乾燥させます。すると髪はパサついたりツヤを失ったりします。
さらに、頭皮にも付着すると、目や鼻に花粉が侵入したときと同じように炎症を起こします。乾燥やかゆみをまねき、毛髪に栄養が行き届かなくなると抜け毛、切れ毛になります」
そう意識をしてみると、花粉による不快な症状は髪や頭皮にも及んでいることを実感します。続けて三谷さんは、「花粉症の人は、帰宅時に衣類やバッグ、メガネ、マスクなどに付着した花粉を取り除いてから部屋に入ると思いますが、実は、髪に付着した花粉は知らず知らずのうちに持ち込んでいることが多いのです」と指摘します。確かに思い当たります。
衣類だけでなく髪に付いた花粉も落とす!
次に、花粉対策のヘアケア法について、三谷さんに紹介してもらいましょう。
(1)花粉が付着しにくい髪型にする
まずは、花粉が髪に付きにくくすることが重要です。花粉のシーズンはショートにする、まとめて帽子をかぶる、お団子ヘアにするなどで、空気に触れる髪を少なくすることがポイントです。
また、髪についた花粉が顔や目、鼻に付着しないように、前髪やおくれ毛もまとめたり、帽子の中におさめたりして、顔まわりをスッキリとしておきましょう。
(2)室内に入る前に髪の花粉を落とす
髪に付着した花粉は、室内に入る前にヘアブラシで落とします。静電気が発生すると花粉が髪に付着しやすくなるので、静電気を起こしにくい木製のヘアブラシを選びましょう。
上から下に花粉をそっと落としていくイメージで髪をときます。頭を振ったり、髪を手で触ったりして落とすと花粉が飛び散るので避けてください。そして、髪の花粉を落とした後に衣類の花粉を落としましょう。
(3)髪の乾燥を防ぐ
乾燥した髪は静電気が発生しやすいため、花粉が付着しやすくなります。日ごろから髪の乾燥予防のために保湿をしましょう。洗髪後、髪を乾かす前にヘアオイルや洗い流さないトリートメントを用いてください。とくにヘアオイルは保湿の役割もあります。
(4)頭皮のケアをする
頭皮が炎症を起こして乾燥やかゆみをまねくと、さらに花粉によるダメージを受けやすくなります。軽く頭皮をマッサージする、頭皮を保湿するローションや美容液を活用して、日ごろから乾燥を防ぎ、健康な頭皮を保ちましょう。
「花粉を寄せつけない・持ち込まない」ことがポイントなのですね。さらに三谷さんは、自宅での対策についてこうアドバイスを加えます。
「帰宅時に自宅の前で花粉を落としたとしても、100%花粉を取り除けるわけではありません。換気や出入りのときに花粉が室内に入り込むこともあるでしょう。寝るときに長時間、髪や頭皮に触れる枕や枕カバー、シーツはまめに洗濯をしましょう」
聞き手によるまとめ
花粉が多い季節、衣類やマスクばかりを気にしていましたが、髪にも大量に付着しているということ、また、花粉は髪や頭皮へダメージを与えることを覚えておきましょう。そして、外出時や帰宅時、室内での花粉対策のヘアケアをすぐに実践したいものです。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)