『ドライブ・マイ・カー』岡田将生さんインタビュー 第2回

岡田将生「欠落した役にひかれるのは、自分も肯定したいから」

岡田将生「欠落した役にひかれるのは、自分も肯定したいから」

8月20日(金)に公開された映画『ドライブ・マイ・カー』。愛する妻を亡くした演出家の主人公・家福(かふく)を西島秀俊さん、家福の舞台に出演する若手俳優・高槻を岡田将生さんが演じています。村上春樹による同名の短編小説に、さまざまなモチーフを取り入れて練り上げられた脚本は、カンヌで日本映画初の脚本賞を受賞しました。

岡田さんへの全3回のインタビュー。2回目となる今回は、演じた役について思うことや、ご自身のコンプレックスについてうかがっています。

2-20812wotopi_okada_001

はじめてこんなに深く、役について監督と話し合えた

——今作で岡田さんが演じた俳優・高槻という役は、物語を動かすキーパーソンでもあり、不穏な空気が漂うキャラクターでもあり……とても面白い役柄でした。

岡田将生さん(以下、岡田):普段はシーンのつながりや心情の変化を考えながら演じていくのですが、高槻という役に関してはあえて、どのシーンにも整合性を持たせないようにしていました。いろんな顔を見せようという感覚があって。濱口竜介監督にも、細かいお芝居は基本的に任せていただきました。ただ、高槻の不穏さや暴力性みたいなものは、つねにベースとして持っておくようにはしていました。

——岡田さん自身は、高槻をどんな人間だととらえていましたか?

岡田:僕の感じる高槻像は、よくよく話し合ってみると、監督が思っているそれとはちょっと違っていたんです。もちろん全部をうまく伝えられるわけじゃないため、ちょっと子どもっぽいんだけど「僕は、このシーンの台詞はなんか違うと思うんです!」とか言ったりして(笑)。でも、監督はそういうことをすべて真摯に聞いてくださって。いままでは自分の考えをこんなに監督に打ち明けることってなかったですし、どこか勝手に役を決めつけてつくってしまう癖があることにも気付きました。だけど、今回ひたすら監督と話をしながら、少しずつ外側を崩していったら、思っている以上にいろんな高槻が現れたんです。そうやって役について深く話し合ったり、現場で生まれてくるものを楽しめたりしたのは、とてもいい経験でした。

——本当に、丁寧につくられた作品なんですね。

岡田:やっぱり時間に追われていると、そうはできない場面もあったりしますよね。でも『ドライブ・マイ・カー』ではそういうことがまったくなく、役と映画に向き合えました。だからこそ、高槻という役が生まれたんじゃないかなと思います。僕自身もああいう、ちょっと欠けている人が好きなんです。ほかの作品を観ていても、そういうキャラクターにこそ魅力を感じたりして。自分自身もどこか欠落している人間だからかもしれません。

劇中より

劇中より

どこか欠落した人間のほうが、嘘がなくて惹かれる

——岡田さんは、ご自身を「欠落している人間」だと思っているんですね。外からはまったくそう見えません。

岡田:いやいやいや! 親しい人たちには、僕の短所に困っている人も少なくないんじゃないかな(笑)。緊急事態宣言が出て、自分を見つめ直す時間がたくさんあったからか、以前よりもそんなことをよく考えるようになりました。僕はコンプレックスの塊なんですよね。

——え? どこがコンプレックスなんですか……?

岡田:いろいろあるんです(笑)。性格なんて結構ひねくれているから、もっと素直になりたいなって思うこともあります。人からなにか褒めてもらっても「嘘だろうな」って思ったりして。

——でも、そうやって何かしらのコンプレックスを持っていたり、どこか欠けていたりする人間のほうが、演じるうえでは惹かれるんですね。

岡田:そうそう。そっちのほうが人間っぽいというか、嘘がない気がするんですよね。だから、そういうキャラクターをやりたくなっちゃうんだと思います。連続ドラマとかで3ヶ月くらい時間があると、演じているうちに、役の新しい一面も見つけられたりするんです。自分で演じながら、すごくうれしくなります。

——そうした役をたくさん演じているうちに、自分のコンプレックスや欠けている部分を愛せるようになっていくことはないんですか?

岡田:それもありますね。もしかしたら、そういう役を演じることで、自分自身を肯定したいって気持ちがあるのかもしれない。今年4月のドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』で演じた中村慎森(しんしん)も、欠けていることが人間っぽさにつながっていて、すごく面白みがありました。皆さんに愛されるキャラクターにしたいという気持ちも持っていましたし。

——慎森、面倒だけどかわいくて、まさに魅力的なキャラクターでした。

岡田:僕自身があの役をどうこうしたというよりは、周りの方々が愛してくれたから、ああいうキャラクターになったんですよね。ほかのキャストの皆さんがそういうふうに接してくれたからだと、感謝しています。

——ありがとうございます。最終回では、岡田さんのこれからについて聞かせてください。

■作品情報

『ドライブ・マイ・カー』

sub7

8月20日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
©2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
公式サイト dmc.bitters.co.jp

(ヘアメイク:小林麗子(do:t)、取材・文:菅原さくら、撮影:西田優太、編集:安次富陽子)

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

岡田将生「欠落した役にひかれるのは、自分も肯定したいから」

関連する記事

記事ランキング