医師からDr. Misoへ 関由佳さんの挑戦 最終回

努力と我慢と自己犠牲はやめた 「未来のため」が今の自分に必要とは限らない【関 由佳3】

努力と我慢と自己犠牲はやめた 「未来のため」が今の自分に必要とは限らない【関 由佳3】

予防内科医として活躍しているにも関わらず、その道を中断してアメリカに移住する関由佳さん。医師としてのキャリアを手放す覚悟をしたのはなぜ? 最終回は、医師をやめて何をするのか、将来のことについて語っていただきました。

この取材は、2020年1月16日に行われました。関さんからは「現在の状況を鑑みて2020年夏の渡米は延期をせざる得ないと考えています。近い将来実現できれば」とコメントが届いています。関さんがよいタイミングで新しいスタートを迎えられるよう願っています(編集部)

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2020年夏、アメリカへ

——今年の夏に、2度目の渡米をされますね。医師としてはもう診療を行わないと決めているそうですが、副業という選択もあったのでは?

関 由佳さん(以下、関):これからの進路について話をするときに、「医師をやりながらレストランを経営すれば?」とか、「カフェのオーナーになれば?」とアドバイスを下さる方たちもいます。でも、「うまくやる」ことよりもまずは「自分のやりたいようにやる」のを最優先しようと思って。

それが出来るのは、やはり日本ではなくアメリカだと思いました。以前、学びに行った調理学校での経験が私のターニングポイントになっているので。

——新しいことを始めるときは、場所選びも大事ですね。

関:そうですね。発酵食品を扱っているとなおさらそう思います。例えば味噌。同じ材料で同じように作っても、それぞれの家に持ち帰って発酵させると、まったく別の味になるんです。もしかしたら人間も同じではないでしょうか。どんな場所で誰と過ごすかで自分も変わっていくのだと思います。できるだけ良い自分、理想の自分になれる場所を選べたらいいですよね。

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達成することより、日々を楽しく過ごすこと

——とは言え不安はありませんか? 若い頃のようにフットワークだけでは難しいこともあると思うのですが。

関:不安はないですね。未来の幸せのために頑張ることが今の自分の幸せとは限らないから。それよりも、挑戦することで何かを成し遂げようと気負うのではなく、たった今、自分が幸せと思えることを増やして行きたいと思っているんです。その先に自然と道が出来ていけばいいな、と。女性は特に真面目で慎重な人が多いですが、心と身体の負担になるほどの努力と我慢と自己犠牲はやめてほしい。それが自分を苦しめていますし、思った以上に身体に跳ね返ってきています。

——自分との向き合い方が大切なんですね。自分と向き合う上でなにか決めていることはありますか?

関:自分の気持ちが何を思っているか、どういう状態なのかを、毎瞬毎瞬チェックするようにしています。医者だった頃は、自分の幸せを振り返る心のゆとりもありませんでした。働いている人ってそうなりがちじゃないですか。「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と日々に追われがちですが、「それって本当に大事?」と振り返る時間も持ってほしい。

そのためには、自分の気持ちをチェックして、目の前のことに対して自分は何を感じているのかを把握することが重要です。そうやって、自分の取り扱い説明書を作るんです。

——その他に、何か習慣にしていることはありますか?

関:私は、その日やりたいことしかしない!(きっぱり)。たとえば、朝起きてカーテンを開けたときに散歩したいと思ったら行くし、ストレッチをしたいと思ったらそうします。身体と心が欲したらそれをやるので、仕事以外は毎日いつ何をするかは決めていないですね。たとえ同じことでも、やりたいことをやってあげるのと、やりたくもないのに習慣でやるのとでは満たされ方が違います。

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「非日常」に自分を置いてあげる

——真面目で努力家の女性ほど、目の前のことに一生懸命になって自分と向き合う時間を持ちにくいように思います。

関:そういうときは、1週間でもいいので、本当に何もしない時間を作るのがいいと思います。現実から離れて旅に出るとかでもいい。とにかく日常から離れて「本当の自分は何をしたいのか」を振り返る時間が大切です。実は休んでいるように見えて、それが自分らしく生きる一番の近道なんじゃないかと思います。
旅行が難しい時は、非日常を味わうためにファスティングをしてみるのもおすすめです。普段無意識にしている、「食べる」ということを止めることで、心や身体の変化に気づくきっかけとなります。

私自身、銀座のクリニックの院長を辞めてから4年間は、ほとんど何もしてきませんでした。本を書いたり、健康について学ぶ旅には出ていましたが、「セミナー行って、勉強して、努力、努力、努力!」みたいなのは辞めました。そうしているうちに、本当に自分がやりたい道が拓けてきたのです。

——自分のことが一番わからなかったりしますよね。仕事に一生懸命な人ほど仕事目線で物事を判断して、本当に自分がやりたいことがわからなくなるように思います。

関:かと言ってそれもムダではありません。仕事に一生懸命ということは、それが好きだったり得意だったりするんだと思います。でも、もし自分本来の価値観とズレているなと感じるのなら、自分と向き合う時間を作ってあげるといいですね。

——大きな方向転換をするときって、過去がムダになったらどうしようと思って怖がる人も多いと思います。

関:少なくとも私は、医師だった自分を一切後悔していません。過去の自分の努力のおかげで、私は「その日やりたいことしかしない」という選択ができますから。新しい道に進むということは、過去を捨てるのではなく、過去の自分と良い関係を築きながら共に歩んでいくことなのだと思います。

(構成:落合絵美、撮影:大澤妹、聞き手・編集:安次富陽子)

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