“いい波”が来たときにパーンと乗れない居心地の悪さ【ジェーン・スー×pha】

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「ジェーン・スー対談」
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コラムニストのジェーン・スーさん(46)が会いたい人と会って対談する企画。ゲストは、京大卒の元ニートで文筆家のpha(41)さんです。全3回。毎週木曜更新。

オタクじゃないことがコンプレックス

スー:今は一人暮らしなんですよね。

pha:そうなんです。29歳の時からずっとシェアハウスをやってきたんですけど、11年もやっているとさすがに少し飽きた気がして、40歳になったのを機に思い切ってやめてみました。

今はひさびさの一人暮らしがとても楽しい、という感じですね。完全に一人ではなく、猫を2匹飼っていますが。

シェアハウスをやめたら、なんか時間が増えた感じがありますね。前までは同居人と会話したりとか、誰かが散らかしたものを片付けたりとか、そういうのに時間を使っていたけれど、今は完全に自分のためだけに時間を使う感じですね。一人でいるとひたすらゲームをしてるだけだったりするんですが。

スー:どっちが忙しいですか? 一人暮らしとシェアハウスと。

pha:一人暮らしで時間が余ってるから、仕事が来たらとりあえず引き受けてみたりしているので、忙しさとしてはあまり変わらないかもしれない。それでも3日に1回くらいしか人に会わないですけど。あ、最近はバンドを始めたのでその練習で忙しいのはありますね。

スー:ドラマーなんですよね。

pha:ドラムは去年から始めたばかりなので初心者ですけどね。もう40だし、人生で何かやり残したことあるかな、って考えたら、あまり何も思いつかなかったんだけど、そういえばドラムをやってみたかった、ということを思い出して、練習し始めました。

スー:今までバンドを組んだ経験は?

pha:遊びでギターを弾いたりしてたけど、全然うまくならなかったし、ライブとかもやったことはないです。今が人生で一番本格的に音楽をやってますね。今年は6月に初ライブをする予定なので、練習しなきゃいけなくて忙しいです。忙しいといってもスタジオに入って楽器鳴らして遊んでるだけですが。

スー:われわれ運のいいことに、遊びがやがて仕事につながることもありますからね。遊びと仕事がぱっきり分かれてない。

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pha:スーさんはあまりハマれる趣味がないんでしたっけ。

スー:オタクじゃないことがコンプレックスなんですよ。

pha:僕もオタク気質ではないですね。推しにハマったりコレクターになったりはしない。でも趣味はたくさんあるほうかも。読書とか音楽とか将棋とか。僕は何かにハマるとオタクになるんじゃなくて、自分でプレイヤーとしてやってみたくなるほうなんですよね。

スー:自分は他の人よりここが優れているようだとか、この年になって思うところあります?

pha:なんだろうな。好き嫌いがすごく強くて、やりたくないことは絶対にやらないというところがいいのかもしれない。嫌なことでも仕方ないと思ってやってる人が多い気がするけど、僕は嫌なことは本当にきっぱりやめてしまう。そういうのは短所でもあるけど長所でもあると思います。

スー:お話を伺ってると、習得スピード、いわゆる学習能力が高いのかなと思って。40歳からバンド始めて、初めての楽器やって、「6月のライブ楽しみです」って、なかなか言えないですよ。うーできないとか、うー覚えられないってなる人のほうが多いと思うけどな。

pha:バンドで自分だけ下手だったら焦るけど、うちのバンドはみんなそんなにうまくないので楽ですね。そもそも自分に音楽の才能があるともそんなに思ってないですし。

スー:そこがいいですよね。私の場合は過活動で、自分でもちょっと制御が利かないくらい頑張っちゃったり、無理に体得しようとしたりするから効率が悪いしすごく疲れる。phaさん見てるとうらやましい。ゴールもそんなにキツキツに決めないで、楽しんでる途中も見せられるという。

pha:そうですね。目的とか目標に向かって頑張るというよりは、勉強とか練習とかその過程自体が楽しい、という感じですね。

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