ずんずんの女のカイダン 第13回

スペックは高いのに仕事でミスを連発 「プライド高すぎガール」の真相とは?

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きゃー!!! 今夜も女性の悲鳴がどこからともなく聞こえてきました。「こんなの私の仕事じゃない! あなたがやってよ!」とヒステリックに叫ぶ女性。仕事はデキるのにプライドの高さが玉に瑕(きず)という人、あなたの職場にもいませんか? そのプライドの高さの背景にある恐怖心を元外資系OLのずんずんさんに解き明かしてもらいました。

誰だこいつ雇ったの!?

こんにちは!ずんずんです。

人手不足があちこちで叫ばれる今日この頃、あなたのオフィスにも待望の新人さんがやってきたということもあるでしょう。でも、新しい人が入ってきたのはありがたいんだけど……。

だ、誰だー!!! こいつ雇ったのー!?

と叫びたくなるような人が、入ってくることもありますよね……。

私も漆黒のブラック企業を渡り歩いた身……。ブラック企業って採用してもすぐ辞めちゃうことが多いので、人の入れ替わりが多いんですね。人の入れ替わりが多いということは、

「猫の手も借りたい! とりあえず採用!!」

みたいな感じで採用されるびっくり人材も多いんです……。このびっくり人材、仕事ができるならまだしも、そうでない場合の方が多いわけでして……。

今回は、そんなとんでも人材の一人、E美さんのお話です。

しっぽをぶんぶん振ったずんずんだが…

ある時、私に異動の辞令が出まして、私の仕事を引き継ぐためにE美さんが採用されました。E美さんは中国語も英語も話せるマルチリンガル。経歴を聞いた当時の私は、

ひ、ひええええ~!自分より優秀な人が入ってきた~!

と恐れおののいておりました。

しかもE美さんは私より年上です。自分より優秀なスペックで年上の人が入ってきたのです。彼女が入社してきた時、私は彼女に失礼のないよう、がんばってへりくだりました。

ちなみに我が家の家訓は「こびても、振ったしっぽは、ちぎれない」です。どんなに全力でしっぽを振っても取れないから、全力でこびを売りなさいということです。

ところがE美さんは犬より猫派だったのか、忠犬ばりの懸命なへりくだりもむなしく、私に心を開いてくれることはありませんでした。

E美さんは謎の自信に満ち溢れ誰も近寄らせようとしないのでした。

私が引き継ぎのために説明しても、E美さんは

「そんなのわかってる」

「説明する必要ないです」

と言い切ります。

それを聞いた私は、

「そ、そうですか……(デキる女って1を聞いて10を知るなのね)」

とへらへらと笑って引き下がりしたが、実際のところ、ちゃんと話を聞かないE美さんは仕事の内容を理解できていません

その結果、ミスを連発して、上司に怒られることになります。すると怒られたE美さんは、キー!とヒステリーを起こしまして、私に向かって

「これ、あなたがやってよ! あなたの仕事でしょ!?」

などと言ってきたわけです。

上司とE美のハザマで起こった無間地獄

私は混乱です。いや、これもう、引き継いだから私の仕事じゃなくてユーの仕事やで……?

と思いつつ、気弱な私は彼女の代わりに仕事をしていたわけですが、そうすると上司が、

「お前は引き継ぎを終えてないのか?」

などと詰めてくるわけでして……「なに?この無間地獄?」状態になってしまったのです。

その後も、E美さんはミスを連発し、しまいには自分のできない仕事に対して、

「これは私の仕事じゃない」

と言うようになりました。鈍器のようなものがオフィスにあったら私はE美さんの頭をカチ割っていたかもしれませんが、なんせジャパンは法治国家、私はぐっとこらえました。

そして考えたのです。

なぜ、E美さんは人の話をちゃんと聞いて引き継ぎを受けないのか……。そして、自分のミスを認めず自分の仕事じゃないとまで言うのか……。

その答えはE美さんのプライドにありました。E美さんは「プライド高すぎガール」だったのです。

E美さんはプライドがエベレストのように高い女だったんですね。プライドが高いから、自分よりもキャリアが低そうに見える年下の人間から教えてもらうことができません。そして、ミスをしても自分の間違いだと認めることができなかったのです。

間違いを認めてしまえば、自分が「仕事ができない」ということも認めなければいけません。認めることができないから、自分の仕事じゃないと言って逃げていたのです。

誰だって新しい環境に行けば慣れないことばかりで大変です。新しく覚えなければいけないことも山ほどあるでしょう。

そんな時に、頭を下げられないプライドの高さを持っていたら大変です。学べることも学べず、チャンスを逃してしまうことだってあります。

余計なプライドの高さは劣等感と比例する

プライドの高さというのは劣等感の裏返しです。人より劣っているということを絶対に他人に見せたくないんです。相手より優れている、強い自分を見せることで相手のマウントを取りたいんです。弱い自分を見せたら敗けだと思っているんですね。

こんな恐怖への対策は、マウントを取ってもどうにもならないぞと知ることです。常に誰かの上に立とうしても意味がありません。自分が上に立てない時は、違う人にそのポジションを譲って、適材適所で働いていくべきです。そこにプライドの高さなんて必要はありません。

さてはて、この「プライド高すぎガール」だったE美さん、その後もプライドの高さが変わることはなく、暴走は続き……結局上司に嫌われて違う部署に異動させられてしまいました。

その結果、引き継ぎの人がいなくなって、私が二人分働いたというのはここだけのお話です……。

といったところで今日は失礼します☆

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仕事、お金、人間関係、恋愛、結婚……。「きゃーっ!」未来を憂いて今日も聞こえてくる女性の悲鳴。元外資系OLで、コラムニストのずんずんさんに、女性の前に立ちはだかる”恐怖”や”不安”の本質を解き明かしていただきます。

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