「足のチクチク刺激ケア」で歩き疲れを改善!【鍼灸師が教える】

「足のチクチク刺激ケア」で歩き疲れを改善!【鍼灸師が教える】

うろうろと歩き回った後は一日中足が重くだるく、年齢を重ねるごとに翌日以降も疲れが残るように感じています。

そこで、鍼灸(しんきゅう)師で針灸院・陽田(大阪市北区)の陽田志保子院長に、「自分でできる簡単なケア法はないですか」と尋ねると、「歩き疲れたときは、先のとがったもので足の裏に刺激をチクチクと与えてみてください。しんどさや重だるさなどの不快感が改善できます」という回答がありました。

その方法を詳しく教えてもらいましょう。

体重を支える足の血液循環が滞って疲れる

——長時間のウォーキングや立ちっぱなしでは、足がとても疲れます。無理をすると、ストレッチを試みてもあまりよくはなりません。なぜでしょうか。

陽田さん:歩いているときや立っているときは、足で体重を支えていますから、それだけの筋肉が必要です。日ごろの運動不足や加齢で、筋肉が質や量ともに衰えているところに、長時間のウォーキングや立ちっぱなしでいると、足の筋肉が疲労して血液の循環が悪くなります。

すると、筋肉を使うために必要な栄養素が足に届きにくくなります。疲労は回復せず、筋肉の張りやだるさ、重さなどを感じるでしょう。歩き疲れた状態で放っておくと、ますます筋肉が衰えてより疲れやすくなります。

——長時間歩くと、足以外に腰や背中、おしりも痛くなります。

陽田さん:猫背で姿勢が良くない、体の左右のバランスが悪い、一方で重い荷物を持つ人は、腰や背中などに必要以上に負担がかかるため、足だけでなく体のあちこちの筋肉に疲労を溜めやすくなります。

歩き疲れると、さらに腰が下がって背中が丸くなり、足のむくみにも気づくでしょう。悪循環になるので、そうなる前に休憩をとるようにしてください。無理を重ねると、夜中に足がつる「こむら返り」や関節痛などをまねく可能性が高くなります。

「嫌なもの反射」を利用して、皮ふにチクッとした刺激を加える

——歩き疲れの対処法として、「チクチクとした刺激を与える」とは、どういうことなのでしょうか。

陽田さん:脳神経外科医でナガタクリニック(和歌山県和歌山市)院長の長田裕医師が、あとで説明する「福田―安保理論」にヒントを得て考察された、西洋医学と東洋医学のコラボレーションの治療体系とされています。脳とせき髄につながる神経の走行に着目したポイントをチクチクと刺激し、副交感神経を優位にして自律神経を調整します。

「福田―安保理論」とは、自律神経と免疫は連動し、「自律神経のバランスが崩れると免疫が低下して発病する。自律神経のバランスを整えると免疫力を高めて病気を回復することができる」というものです。健康を維持するために自律神経のバランスを整えることを目標にしています。

——自律神経は体の機能を調節する神経としてよく耳にします。

陽田さん:そうです。心臓の動き、血圧、食べ物の消化、体温などを調節するために一日中働き続ける神経です。活動中や緊張度が高いときに働く「交感神経」と、休息モードを担う「副交感神経」とがあり、両者がバランスをとりながら働いています。

心身のストレスで交感神経が優位の状態が続きやすい人が多くみられますが、「チクチクケア」は副交感神経が優位になるよう働きかけて、自律神経のバランスを整えるひとつの方法です。

私たちの体には、嫌なものから逃れようとする機能が備わっています。これを「嫌なもの反射」と呼び、その場合、副交感神経が優位になるように働きます。例えば、酸っぱいものを食べたとき、だ液が大量に分泌されるでしょう。これは、不審物と感じた酸っぱいものをいち早く排出しようとするためです。

同様に、皮ふからチクッとした刺激を感じると、「嫌だな」と反応して副交感神経が優位に働く、という仕組みを利用しようという方法です。

また、刺激を感じた部位に血液が集まるため、滞っている血流を促して筋肉の緊張をほぐします。

先のとがったもので足の裏をチクリ

ここで陽田さんに、「歩き疲れを改善するチクチクケア」を具体的に教えてもらいましょう。

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方法:つまようじ、インクのなくなったボールペンの芯、シャーペンの先など「とがっているもの」を用意します。簡単な方法として、足の内側(親指からかかとにかけて)、足の裏と甲の境目にある骨の際(きわ)の、真ん中と、そこから左右に指一本分ずつ外側の合計3か所を、素早くチクチクと各10回ずつ刺激します。

また、「重くだるいな」と感じる部位を直接、同様に素早くチクチクと10回刺激するのもいいでしょう。

「あ、痛っ」と思う強さが目安ですが、傷つけないよう気を付けましょう。とがっているものが身近にない場合は、自分のツメの先で代用しましょう。チクチクと足に刺激を与えながら、痛みを感じるところを見つけて、その部分をくり返し刺激します。もう一方の足も同様に行います。

刺激法:「嫌なもの反射」を起こすことが目的なので、チクッとした痛みを感じることが重要です。ツボ押しとは違うので、チクリと感じにくい指の腹ではなく、先がとがったもので刺激を加えましょう。

起床時、休憩中、お風呂の後に、寝る前など、思い立ったときにいつでも試してみてください。

注意点:妊娠中、免疫系の薬を服用中、高齢者は避けてください。

チクチクケアの活用法について、陽田さんは次のようにアドバイスをします。

「足の血流を促すので、足の疲れが気になるときだけでなく、毎日の疲れの予防ケアとしても実践してみてください。3~5日ほど継続すると、足の軽やかさを実感できるでしょう」

試したところ、チクチクと刺激を与えた部分からコリがほぐれるように感じ、次第に足先までポカポカと温まります。歩き疲れたときはもちろん、日々のフットケア、足の疲れの予防に試してみてはいかがでしょう。

(岩田なつき/ユンブル)

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