フォトグラファー・ヨシダナギさんインタビュー 第4回

「アフリカでもヨウジヤマモトを着る」 ヨシダナギが黒い服にこだわる理由

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「アフリカでもヨウジヤマモトを着る」 ヨシダナギが黒い服にこだわる理由

「仕事もプライベートも充実させなくちゃ」「もっとスキルアップしなきゃ」なんて、日々全力で走り続けて、ちょっと疲れていませんか?

そんな女性たちに対して「誰かに拾ってもらいながら、ヌルっと生き抜いてもいい」と話すのは、2009年より単身でアフリカに渡り、アフリカ人の魅力を伝える写真を撮り続けてきたフォトグラファーのヨシダナギさん。

このたび『ヨシダナギの拾われる力』(CCCメディアハウス)を上梓したナギさんに、5回にわたって話を聞きました。第4回目となる今回は、「自分を受け入れる力」についてお聞きします。

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【第1回】思わず応援したくなる。ヨシダ流拾われる力
【第2回】騙そうとする人は顔を見ればわかる。選択する力
【第3回】ヨシダナギが語る期待しない生き方

理想としていた女性の姿

——前回、自分を客観的に見るために「自分に似合う服を着ているか」を考えてみてはどうかというお話がありました。ナギさんは黒い服にこだわっているそうで、著書にも「ワードローブの9割が黒」とありましたね。実際に今日も黒い服を着ていらっしゃいますが、そのこだわりについて教えてください。

ヨシダナギさん(以下、ナギ):以前は、赤や青など原色の服ばかり着ていました。でもあるとき、知り合いのデザイナーから、ヨウジヤマモトの黒い洋服を勧められたんです。それを着たときに「私の理想としていた女性の姿だな」と思ったんですよね。

——理想としていた姿とは?

ナギ:私は昔から、キリッとした顔立ちの女性に憧れていたんです。でも実際の私は、小動物のようなファニーな顔をしているので、なかなかキリッと見えない。理想に全然近づけないと思っていたんですけど、黒い洋服をまとったときに「これなら、自立している、強そうな女性に見えるかも」と感じたんです。そこから、黒い服ばかり着るようになりました。

ヨウジヤマモトの服は、決して気軽に買える金額ではないですが、いい縫製で長く着られます。流行り廃りもないし、体型が多少変わっても着続けられる。そういうところも、私の価値観に合いました。「アフリカに行く」と聞くと、探検家みたいな服装をイメージする人が多いかもしれませんが、私はアフリカにもヨウジヤマモトを着ていきますよ。

画像提供:ヨシダナギさん

画像提供:ヨシダナギさん

自分を1人のキャラクターとしてとらえる

——自分の理想にぴったりハマるものを見つけるのって、なかなか難しい気がします。コツはありますか?

ナギ:私の理想は「キリッとした女性」という抽象的なものでしたが、もっと具体的な理想像を描いている人もいるかもしれません。例えば、今人気の女優さんみたいな顔になりたいとか。

でもそうすると、自分の顔や骨格と比べたときに、大きな差が出ちゃうと思うんです。それに気付かずに、ファッションを真似たり、メイクを真似たりすると、結局は似合わない服を着ているようなものになってしまいますよね。

ぴったりハマるものを見つけるには、自分のことを、1人のキャラクターだと思うといいかもしれません。私なら、ヨシダナギというキャラクターを描いて、その周りにどんな人物像なのかを書き出してみます。「このキャラクターなら、こういう服が似合いそう」と考えるのは、着せ替えのようで楽しくないですか?

——確かに、楽しそう! パーソナルスタイリストなど、服を選んでくれる人もいますよね。そういう方の意見を参考にするのはアリでしょうか?

ナギ:アドバイスを素直に聞ける人なら、アリだと思います。でも、人に言われたことを鵜吞みにしているだけでは、いつまでたっても自分のことはわからないかも……。それよりも、自分というキャラクターを描いて、客観的に見てみたほうが、自分を把握することにつながると思います。

人物像を書き出すとき、長所よりも短所のほうが出てきやすいのですが、「私ってこんなにダメなんだ」とか「いいところないじゃん」などと卑下しないほうがいい。1個でもいいところがあったら、そこが“伸ばしどころ”です。どうしてもダメなところしか見つからなければ、「こんなダメな人でも拾ってくれる人がいたら、その人にめちゃくちゃ感謝しよう!」と思えばいいんですよ。

画像提供:ヨシダナギさん

画像提供:ヨシダナギさん

自分の欠点もキャラの性格と考える

——それ、すごくポジティブな考え方ですね。

ナギ:自分の欠点もキャラクターとして受け入れちゃえば、苦じゃないですよ。私もダメなところが数えきれないほどありますけど、拾ってくれる人には、最初から言っています。(マネージャーの)キミノと知り合ったときも「これはできないからね」「あれもできないよ」というふうに、最初から開示しました(笑)。

——企業などでも、いかにも“できそう”な人が入ってきたのに、ダメなところが見えた途端、一気に評価が下がりますもんね。

ナギ:そうですよね。だから、最初から背伸びしすぎない自分で人とぶつかったほうがいいんじゃないかと思います。見栄を張ると疲れちゃうし、後からボロが出るので。後から問題点がポロポロ出てくるより、最初からダメなところを知っておいたほうが安心じゃないですか。

——まずは自分を客観的に見て、「これが私だ」と、まるっと受け入れる力が必要ですね。ところでナギさんは、洋服以外の物を選ぶときも、何か判断基準を設けていますか?

ナギ:「あれが欲しい」「ここに行きたい」と悩む時間が好きな人っていますよね。それはそれでいいと思うんですよ。欲しい物や行きたい場所について考える時間そのものを、楽しめるタイプなんじゃないかな。

でも私の場合は、頭が混乱しているときが一番苦痛なんです。だから、悩んだら買う。これに尽きます。お財布の中身や、クレジットカードの上限額以内の買いものならば、とりあえず買ってから後悔します。それで「やっぱり後悔した〜」って、家で笑っているほうがいいですね(笑)。

(取材・文:東谷好依、写真:面川雄大)

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