空がどんより厚い雲で覆われると、頭もズーンと重たくなる。
季節の変わり目はやる気が起こらず戦意喪失、仕事がまったくはかどらない。
ただでさえ生理の日はツラいのに、雨が降ると吐き気まで……。
と思い当たったあなたは、天気によって体調や気分が左右される、低気圧女子かもしれません! 気象予報士で、『低気圧女子の処方せん』(セブン&アイ出版)を上梓したばかりの小越久美(おこし・くみ)さんに、女子の正しい天気との付き合い方をレクチャーしていただきます。
前回は、高層ビルや出張など働く女性に身近なところに急激な気圧変化が潜んでいることを教えていただきました。今回は、毎月やってくる生理とお天気の関係について話を聞きました。
お天気は生理にも影響あり!?
小越さんは、自身の経験と周囲の女性の声から、お天気と生理周期には関連があるのではないかと推察します。
「私はお医者さんではないので、断定はできませんが、よくよく考えてみるといろんなところで関係していると気づいたんです。
私は10代の頃から生理不順で悩んでいました。30歳を過ぎ妊娠も意識し始めた頃、当時、気象予報会社で桜の開花予想を担当していた私は、ふと思いつきました。桜の開花日を予想するように、自分の生理日も予想することができないだろうか。
そこで、自分が開発していた桜の開花予想の計算式に、生理周期のデータや“ストレスがあったかどうか”などのデータを入れてみたのです。
最初は、ストレスで生理がどのくらい遅れるかを調べてみようと考えていました。ところが、データを解析した結果、私の場合、生理周期にはストレスよりも雨量のほうが強く関係していたことが分かったのです」
傾向がわかるとちょっと安心できる
お天気が生理に与える影響は人それぞれ。まったく影響を受けない人もいれば、小越さんのように、もろに影響を受けてしまう人もいるようです。
「私のケースでは、1カ月に雨が100ミリ降ると生理が3日遅れる、という結果が出ました。でも、協力してもらった知人の中には、気温や気圧変化の大きい春と秋に生理が遅れる人や、ストレスが生理を遅らせる最大要因だった人もいます。
どちらのケースでも、理由がわかれば安心するし、対応の仕方を模索することができますよね。そこが大切なんだと思います。
私の場合も、雨が降り続く梅雨や秋の長雨の時期に生理が遅れても『あぁ、やっぱりね』と思えるようになり、心配や不安からくるストレスを手放すことができました」
生理と雨の組み合わせでズキズキ…
また、天気は生理を遅らせるだけではなく、気象病の発症にも大きな影響を与えている可能性があると小越さんは考察します。
「低気圧女子である私は、雨が降ると、学生時代に陸上で痛めた足の付け根が痛む、という性質を持っていました。
ところが、妊娠し、産後に生理が再開するまでは、その古傷の痛みのことをすっかり忘れていたのです。
出産から1年半以上経った2017年5月の雨の日、私はだるさとともに頭痛に見舞われ『こういう頭痛は久しぶりだな……』と思っていたら、晴れの翌日、頭痛はおさまり2年半ぶりに生理が再開。そして、生理3日目の雨の日に、忘れていた古傷がズキズキと痛み出しました。
生理4日目、5日目は曇り空で、冷え込みの厳しい朝晩は、何かにつかまらないと歩けないほど足の付け根が痛みました。
そして、生理も終わりかけた6日目。天気は晴れ。ようやく痛みから解放されました。
妊娠、出産で忘れかけていましたが、この出来事をきっかけに、天気と生理周期による体の症状には、強い相関関係があることを再認識しました」
「生理前&生理中×低気圧」はサイアクの組み合わせ
自律神経の働きとも相まって、「生理前&生理中×低気圧」はサイアクの組み合わせに。
「生理前は交感神経が優位になり、天気が崩れて低気圧が接近すると、さらに交感神経が刺激されます。その結果、血行不良、痛み、イライラ、便秘、気分の落ち込みといった症状が、いつもより、より顕著に現れやすくなります。
低気圧女子の中には、雨の日に帝王切開の傷跡が痛む傾向を自覚していたけれど、より注意深く追っていくと、それが排卵後の2週間のみに起きていた、という方もいるほど。
交感神経の高まりが症状を強くさせる一因ですから、これを改善するには、生理前または生理中の雨が降りそうな日は、特に意識して、副交感神経が働くようにリラックスできる環境を整えることが大切といえますね」
(構成:今富夕起)