話題のあの女性が、もしもあなたのオフィスにいたら? 第3回目となる今回は、勝間和代さんのようなバリキャリの女性がいたら……と想像していきます。
仕事もできて一家の大黒柱でもあって……。完璧なキャリアと存在感に圧倒されずに付き合うにはどうしたらいいのでしょうか。
ピカピカの経歴、キャリアに脂の乗った女性管理職
勝間和代さん。お茶の間でも人気の経済評論家のお一人です。近著は『勝間式 超ロジカル家事』(アチーブメント出版)と、家事までロジカル! そのプロフィルをご本人の公式サイトから引用すると……
1968年東京生まれ。
経済評論家、中央大学ビジネススクール客員教授。
早稲田大学ファイナンスMBA、慶応大学商学部卒業。
当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得、大学在学中から監査法人に勤務。
アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。
現在、株式会社監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、国土交通省社会資本整備審議会委員、中央大学ビジネススクール客員教授として活躍中。
ウォール・ストリート・ジャーナル「世界の最も注目すべき女性50人」選出
エイボン女性大賞(史上最年少)
第一回ベストマザー賞(経済部門)
世界経済フォーラム(ダボス会議)Young Global Leaders
少子化問題、若者の雇用問題、ワークライフバランス、ITを活用した個人の生産性向上、など、幅広い分野で発言をしており、ネットリテラシーの高い若年層を中心に高い支持を受けている。Twitterのフォロワー61万人、FBページ購読者4万6000人、無料メルマガ4万7000部、有料メルマガ4000部などネット上で多くの支持者を獲得した。5年後になりたい自分になるための教育プログラムを勝間塾にて展開中。
著作多数、著作累計発行部数は500万部を超える。
……いやぁ、少しは存じ上げているつもりでいましたが、あらためて文字で読むと圧倒されるような優秀さと迫力です。こういう、ピカピカの学歴や経歴を持ち、今も一線で活躍している、まさにキャリアに脂の乗った女性管理職を前にした時、私たちはどう立ち振る舞えばいいのでしょうか。そう、今回妄想するのは、“あの”勝間和代さんです。
「話なんて聞いてもらえないんじゃないかな……?」
アラフィフの勝間さんがいそうなポストと言えば、日本の一流大企業なら確実に課長以上、業界によってはひょっとしたら部長くらい。外資ならエグゼクティブやパートナー。ベンチャーなら間違いなくCEOやCFO。
頭が良くて、ものごとを見る目も鋭く、周りが間の抜けたことなんか言おうものなら、ピシッと皮肉が飛んできそうです。
アラサーの働く女子たちからすると、存在自体にちょっとした圧迫感を感じるかもしれません。なんかちょっと怖い、気が強そう、あまり優美とか柔和とかの女性性は感じない……などの印象もちらほら。たくさんの成功体験の持ち主ですから、若い女性から見ると、「実績のない人間の話なんて聞いてもらえないんじゃないか」「初対面でバシッと打ち負かされるんじゃないか」といった気後れもあるでしょう。
1968年生まれの勝間さんの世代は、バブルの終わりのほう。男女雇用機会均等法が鳴り物入りで施行されたものの、実体としてはまだまだ「男性社会」。トレンディドラマで描かれる女性は29歳で寿退社、なんてのが主流でした。そんな時代の中で、勝間さんは資格武装し、論理と数字を武器に、会計事務所やコンサルティングファーム、外資金融などを渡り歩き、独立してからは自分の名前と顔を名刺がわりにして名を成してきた方です。
しかも、3児を持つシングルマザーとして、ご自身が大黒柱となって家庭を切り盛りし、お子さんを育て上げたとの矜持もあるでしょう。
それぞれの女性が、それぞれに置かれた時代で頑張っている。私がそれを感じたのは、ちきりんさんがツイッターで「バブル世代という言葉で切り捨ててほしくない。上の世代の女性も、それぞれに葛藤しながらその時代の条件の中でできる限りのことをやっていたんです」という旨の発言をしていらっしゃるのを見た時。そう、どの女性も、置かれた場所で自分が一番大きく咲ける方法を懸命に考え、頑張っていたんです。
ですからその時代で名を成す女性というのは、その世代の上澄みと言ってもいい、最精鋭なのですよね。
「女は地続き」なんです
私の信条に「女は地続き」というのがあります。つい女性同士、世代がどうとか、ファッションがどうとか、モテだ非モテだ、独身か既婚か、子どもがいるかどうか、専業主婦かワーママか、キャリア志向かどうか、なんてわざわざ線引きをしてお互いに反目するクセがありますが、果たして自分がその線の向こう側に行かないだなんて、どうして信じ込んでいられるのでしょうか?
どのカテゴリーも「たまたま今そこにいる立場」を示しているわけで、自分が未来永劫そのカテゴリーに埋められるわけじゃない。女はどの立場にだってひらりと転じることができる、その身軽さがいまこの時代に女であることの良さだとは思いませんか。
だから、上の世代や、自分とは違う考え方、違うアプローチの女性をそれだけを理由に拒否したり敬遠しない。まさに“しなやか”な態度は、特に働く女子なら処世術、そしてプライドとして身につけていくといいでしょう。卑近(ひきん)な例ですが、「おばさん」と他者に向けて放ったその呪いの言葉や視線は、いずれ必ず自分よりも年下から自分に向けて返ってくるわけです(笑)。
賢い女は、敬意を払えば応えてくれる
ですから、いかにも優秀そうな女性管理職でも、むやみに怖がらずに理解しようとしてみること。それはいずれあなた自身が彼女のポストへ近づいていくための“基準”を手に入れることになります。無理解なままでは、そこへたどり着く道のりも方法もわからないわけですから。
そのためには想像力が必要です。
どうして彼女がその言葉を発するのか、そういう行動をとるのかへの理解が始まると、次に「いっそ聞いてみよう」と思えるかもしれません。
人間のコミュニケーション心理にはいわゆる“鏡の法則”と言われるものがあり、敬意を持って相手に接すれば、相手も敬意を返してくれるもの。賢い女性管理職は、敬意を持って聞けば必ず教えてくれます。(逆に言うと、敬意を持って聞いても教えてくれない女性管理職がいるとしたら、その人は自分が後進を育てる立場であることを分かっていないかもしれない、その立場にはふさわしくない人材かもしれない、というリトマス試験紙でもあります。)
「賢い女ほど実は怖くない」とは、つまりそういうことなのです。
(河崎 環)