松尾たいこさんインタビュー 第3回

「自分のダメな部分は見ない」好きな場所で気持ちよく働き続けるコツ

「自分のダメな部分は見ない」好きな場所で気持ちよく働き続けるコツ

「30代になってからようやく好きなことを見つけたから、絵を趣味じゃなくて一生の仕事にしたいと思った」と話す、イラストレーターの松尾たいこ(まつお・たいこ)さん。東京のほかに、軽井沢と福井に生活の拠点を持ち、軽やかに暮らし、仕事をしています。

2014年からは、イラスト以外にも、福井に構えたアトリエで陶器作品を作る「千年陶画プロジェクト」も開始。“ETERNAL HAPPINESS 色あせない幸せ”をテーマに、松尾さん自身も新たな挑戦を続けています。

インタビュー最終回は、好きな場所で気持ちよく、長く働き続けるコツを伺いました。

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第1回:ここではないどこかに憧れる貴女へ「東京以外」の暮らし
第2回:マイルールが増える30代…軽やかに暮らす「俯瞰のコツ」

自分の仕事を嫌いにならないこと

——イラストレーターを目指して上京したのが32歳。そこからずっと活躍されていますよね。

松尾たいこさん(以下、松尾):ありがとうございます。30代になってようやく好きなことを見つけたから、趣味じゃなくてずっと仕事として続けていきたい!と思っているんです。日々、いつまでも自分自身が気持ちよく仕事を頑張るために「どう続けるか?」を考えています。

——松尾さんがたどり着いた、気持ちよく仕事を頑張るコツとは?

松尾:まず、自分の仕事を絶対に嫌いにならないこと。自分のご機嫌を保つというか、ダメな部分を見ないように、忘れるようにしています。Twitterでも、誰かが褒めてくれた感想を保存して後でそっと読み返すことも(笑)。子どもの頃は、親が厳しくて「これもできない」「これもだめだ」なんて育てられていたから、「自分はだめだ」と思い込んじゃっていたんですよね。

だけど、家事と仕事の両立を手放すことや、東京以外にも拠点を持つライフスタイルを通じて、だんだん自信がついてきた。気持ちに余裕を作る工夫が大事だと思いますね。

仕事が続くようにSNSを駆使する努力も

——自分のご機嫌を保つのも、プロの仕事ですよね。

松尾:あとは、仕事の依頼が続くように努力をすることです。私は、他のイラストレーターの人と比べたらSNSも駆使している方だと思います。ブログも、毎日2回は更新すると決めています。時間がある時に10日分くらいまとめて書きためたりすることもあるくらいです。

——すごい! ストイックですね!

松尾:人に忘れられないように、努力をしているんです。自分では天才肌だと思っていないから、努力しないと忘れられちゃうと思っている。だからこそ、人と同じことをやらないようにしていますね。

——一方で、最近は「余裕を持っているように見せたい」という風潮もありますよね。

松尾:私もできるだけ必死な感じは見せたくないし、どちらかというとお気楽そうに見えるようにしていますけど、意外といろんなことをしているんですよ(笑)。

——会社員でもセルフブランディングに悩んでいる人は多いはず。

松尾:失敗してわかる部分も、あると思いますよ。私も、SNSが30代の時になくて良かったです。絶対失敗すると思うし(笑)。

口に出すと、どんどん周囲から情報が集まってくる

——仕事以外のことも発信されていますが、何かルールは決めているんですか?

松尾:関係のないこと・わからないことには口を出さない。私が一番好きなのはファッション。最近家のことをするようになってからは、ライフハック的なものを探すのも好きになりました。「この洗剤、めっちゃ落ちる」とか。

良いものや美味しいお店を見つけたら、どんどん人に勧めたいんです。自分一人で情報を囲うのはもったいない! 好きなことも、口に出すと、どんどん周囲から情報は集まってきますよ。いいな、知りたいなと思ったらどんどん口に出すことです。

——出し惜しみをせずに発信していくうちに、ファンも情報も集まってくると。

松尾:私が好きなものに共感してくれる人が、最終的に私の絵に関心を持ってくれたらいいなと思っています。いろんな入り口から、私の作品を知ってもらえたらいいなと思っていますね。私自身、最近は物を選ぶ時に「誰が作っているか」とか、思想に共感して買うことが増えました。服も、野菜も。そういうことを考えたら、まず私個人を知ってもらって、イラストに繋げる方法もあるんじゃないかなって。

——人としてファンになってもらう、ということですね。最後に、ウートピ読者にむけてアドバイスをお願いします。

松尾:ウートピ世代は、まだ若いし、自分が見ている世界が全てだと思わないことが大事です。あとは、今持っている関係性だけが全てじゃないということを、早いうちに知っておいたほうがいいですね。

私自身、30歳くらいのときの友達と、今の友達ってほとんど違うんです。喧嘩別れをしたわけではなくって、その時の自分の成長によって、興味や付き合いは自然と変わっていくし、出会いも変わってくる。今ある世界や人間関係が全てじゃない、っていうことを頭のどこかでわかっておくと、気が楽になると思いますよ。

(写真:青木勇太)

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