松尾たいこさんインタビュー 第2回

マイルールが増える30代だから…軽やかに暮らす「俯瞰のコツ」

マイルールが増える30代だから…軽やかに暮らす「俯瞰のコツ」

東日本大震災を機に、東京以外に拠点を持つライフスタイルを送っている、イラストレーターの松尾たいこ(まつお・たいこ)さん。前回のインタビューでは、拠点を増やす際に、「夫と離れて生活してみたことで、いろんなことを、一人でできるんだという自信が出てきた」と語ってくださいました。

とはいえ、これまでの習慣を変えるのはなかなか抵抗のあるもの。自分の意思をはっきりと持ちながらも、柔軟に変化を受け入れるコツはどこにあるのでしょうか。今回は、暮らしを通して、松尾さん自身が培ってきた「自分自身を俯瞰する方法」について伺いました。

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第1回:ここではないどこかに憧れる貴女へ「東京以外」に拠点を持って気づいたこと

40過ぎて意固地になっちゃう人は多い

——年を重ねると、マイルールも増えてくると思います。その中で変化を柔軟に受け入れるコツはどこにあるのでしょうか。

松尾たいこさん(以下、松尾):私は、そもそも「こうでなくてはいけない」という決めつけがないんです。でも、ふと周囲を見てみると、40歳過ぎたあたりで意固地になっちゃう人は多いなと感じます。もったいないですね。私はずっと自分に自信がなかったからこそ、やったことがないことはやってみたい。知らないことは知りたい。だから、人に言われたことは素直に聞いてみるようにしています。

——アラサー世代だと「素直にならなきゃ」という思いと「年齢に応じてこうなるべき」という重圧で葛藤することも……。

松尾:30歳くらいでそんなこと言ってたら、80歳になったらどうするの!? 人生はまだまだ、長いです。私は32歳でイラストレーターを目指して、広島から上京しました。よく遅咲きだと言われるけれど、今思うとまだまだ若かったなって思います。私も25歳くらいの時に「会社辞めたいけど、この歳で辞めて、次どうしよう?」と考えることもあったけど……今だったら、「バカッ!」って怒りますよ(笑)。

憧れる人がいても、その人にはなれない

——松尾さんもそう考えたことがあったんですね。

松尾:若い頃はきっと、人と比較しちゃうんですよね。みんな自分に自信がないけど、人並みになりたい。人が持っているものが羨ましいというものがある。でも、そういうのがなくなると、楽ですよ。憧れる人がいても、自分はその人にはなれません。自分ができるところで頑張ればいいんです。

——つい、ロールモデルを探して比較してしまう人は多いです。

松尾:私は、もともとは結婚願望もなかったし、子どもを産みたいと思ったこともないんです。参考にならないかもしれないけれど、みんなが言う一般的とか当たり前って、何をさしているのかわからない。もっと身軽に楽しく生きられるのに、もったいないですよね。仕事だけでなく、ファッションもライフスタイルもそうです。

——松尾さんは毎シーズンコスメカウンターに行って、必ず新しい化粧品を買うのだとか。

松尾:はい。メイクも、シーズンごとにトレンドが変わりますから。なるべくコスメカウンターに行って新作をチェックします。髪もそうです。私は毎回ショートカットで、いつも同じヘアサロンにいくけど、カット自体はスタイリストさんにおまかせしています。その相手との信頼関係も大事だけど、まずは人の意見を取り入れてみると、新しい自分が見えてくるんです。

外見の細かいところだって、歯の矯正とか、脱毛とか、自分の努力で変えていけば、少しずつコンプレックスはなくなってきます。変化すれば、周囲も気づいて褒めてくれるようになります。そこから、内面も変わってくると思うんです。

やらないうちに「私なんて」という人は損!

——信頼できる人の意見を、積極的に取り入れることが大事なんですね。

松尾:失敗することで学んでいくことも多いし、頭がカチカチになっている人はもったいないですよ。まずはやってみて、違ったらやめればいいだけのこと。やらないうちに「私なんて」という人は損ですね。内面も外見も、いつも自分を俯瞰しなきゃいけないと思っています。

——自分でモヤモヤするより、人に聞いたほうが的確な意見をもらえそうですね。

松尾:30歳くらいの人って、自分を俯瞰する余裕がないんじゃないかな。いつも同じ自分目線でいるから「人はこうしているのに、自分はできていない」って思い込んで落ち込んでしまうんです。もうちょっと遠くから見てみると、「人ができていること」じゃなくて、「自分だけができること」が絶対にある。そこを見つけて、強みにすればいいと思います。

(写真:青木勇太)

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