選び方は? いつから使えばいい? 皮膚科医に聞いた「ヒト幹細胞コスメ」の効果は?

選び方は? いつから使えばいい? 皮膚科医に聞いた「ヒト幹細胞コスメ」の効果は?

医療や美容領域で、ここ数年話題になっている「ヒト幹細胞」。再生医療の分野では、ヒト由来の幹細胞を使って、組織や臓器の機能を再生・修復する技術も進んでいます。そうしたなか、エイジングケアに効果が期待できる「ヒト幹細胞コスメ」が注目されています。「ヒト幹細胞培養エキス」を使ったコスメは、肌の細胞を活性化させ、肌そのもののコンディションを整えることができる次世代コスメです。

そこで今回は、皮膚科医の日比野佐和子(ひびの・さわこ)先生に、「ヒト幹細胞コスメ」の効果やコスメの選び方などについて、お話を伺いました。

日比野佐和子医師

日比野佐和子医師

年齢とともに出てくる肌トラブル

——まずは、年齢とともに出てくる肌トラブルについて教えていただけますか?

日比野佐和子先生(以下、日比野):年を取ってくると毛穴が開いてきたり、肌のキメが粗くなってきますよね。それは、乾燥やたるみが原因です。毛穴の周囲の皮膚がたるんでくることによって、毛穴が広がってしまうんです。そして、肌が乾燥していると、毛穴が開きやすくなって、酸化した脂質や古くなった角質などがが溜まりやすくなり、黒ずみの原因になったり……。あとは、“美肌ホルモン”と呼ばれているエストロゲンも、中年期を迎えると低下していきます。

また、乾燥するとバリア機能が低下するので、外からの刺激に影響を受け、シミが出やすくなってしまいます。若いころと違って、シミが残ってしまうのは、肌のターンオーバーが遅れてしまうから。本来は、シミとして残らないメラニンが滞在してしまうことによって、シミになってしまうんですね。

そして、年齢とともに出てくるシワは、皮膚の真皮にある線維芽細胞が減ることで、肌の弾力性が低下することが原因です。線維芽細胞は、弾力の元になるコラーゲンやエラスチン、そして、保湿成分であるヒアルロン酸などを作っているので、そこが老化してしまうと、肌の弾力を保つ機能も低下していくわけです。

——毛穴の開きやシミ、シワに対して、どのような対策をすればいいでしょうか?

日比野:毛穴に関しては、水分保持量を上げたり、皮膚の細胞である線維芽細胞を活性化させたりすることが大切です。加えて、コラーゲンやエラスチンといった肌の弾力性を保つ成分はもちろん、ヒアルロン酸などの保湿成分を増やしてあげると、毛穴の開きに対する効果はあると思います。シミやシワに関しては、「ヒト幹細胞コスメ」でターンオーバーを高めたり、線維芽細胞を活性化させたりすることで、改善が期待できると思います。

「ヒト幹細胞コスメ」に期待できること

——「ヒト幹細胞コスメ」に期待できることはなんでしょうか?

日比野:まず、再生医療というのは、機能が低下したものを、再生して修復することで、若い頃の状態に戻してあげることが期待できる医療分野です。「ヒト幹細胞培養エキス」には、線維芽細胞増殖因子などの成長因子、エクソソームやサイトカインなど、さまざまな成分が入っています。つまり、「ヒト幹細胞コスメ」というのは、線維芽細胞や表皮細胞を活性化させることで、若い頃のターンオーバーに戻すというのが、一番のポイントではないかと思います。年齢とともにターンオーバーが乱れると、古い角質や老廃物などが蓄積して、毛穴の開きやシミ、くすみの原因になるんですね。ターンオーバーを若い状態に戻すことができれば、キメの細かい肌に戻すことができると考えています。

——ターンオーバーを正常に戻す成分は、いろいろあると思います。その中でも、「ヒト幹細胞培養エキス」がエイジングケアに適しているんですね。

日比野:「ヒト幹細胞培養エキス」には、皮膚の表皮と真皮の細胞自体を活性化させる成分が多いんです。さまざまな成長因子も含めて、活性化成分が多く含まれているのが重要なポイントですね。そのほか、肌の細胞に特化している成長因子以外にも、血管内皮細胞を活性化して、新しい血管を作ることで血液の循環を良くして、くすみを予防したり。さらに、肌の新陳代謝が上がることでメラニンが蓄積しにくかったり、メラニンを作る酵素を抑える成分も入っているので、シミを予防したりと、さまざまな効果が得られます。

そういう意味で、それらの成長因子を含むタンパク質が500種類以上も含まれているコスメは、他にはないと思いますね。「ヒト幹細胞コスメ」の一番のポイントは、若いときの肌に巻き戻すことが期待できるというところ。つまり、毛穴だけ、シミだけ、美白だけ、シワだけといったことではなく、オールマイティーにさまざまな効果が期待できるコスメだと思います。

「ヒト幹細胞コスメ」の選び方

——「ヒト幹細胞コスメ」は、どんな方におすすめですか?

日比野:実は、肌の老化は20代から始まっています。そういう意味では、20代のうちから「ヒト幹細胞コスメ」を取り入れたエイジングケアをやったほうが、若い肌を維持できると思います。もちろん、年齢を重ねてからでも巻き返しはできますが、その場合、しっかりとケアをしないといけないので。

——さまざまな「ヒト幹細胞コスメ」があるなかで、選ぶポイントを教えてください。

日比野:「ヒト幹細胞」の活性物質に安定性があるかどうかがすごく重要です。本当は、使い切りタイプやフリーズドライのものがいいのですが……。いずれにしても、しっかりとしたエビデンスがあるものを選んでほしい。どういった幹細胞の培養エキスなのか? アレルギーの治験をしているか? そういったデータをしっかり表示しているコスメがいいと思います。あとは、「形態・形状」も重要かもしれません。

——形態・形状とは、どういう意味でしょうか?

日比野:先ほど、安定性があるかどうかが重要だとお伝えしましたが、おそらく化粧水よりも、美容液のほうが配合されている量が多いですよね。液体よりも、クリームのほうが安定しやすい。もし、使い切りタイプやフリーズドライのものでなければ、冷蔵保存して安定性が保てるコスメを使うべきだと考えています。

——「幹細胞コスメ」の安全性については、どのようにお考えですか?

日比野:使っている幹細胞は何由来なのか? というところを意識してほしいですね。「幹細胞コスメ」には、ヒト由来や動物由来、植物由来がありますが、原料を提供しているところが、感染症などの検査をしっかり行っているか。商品の会社側が、しっかりと安全性の検査をしているかが、非常に重要だと思います。

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

選び方は? いつから使えばいい? 皮膚科医に聞いた「ヒト幹細胞コスメ」の効果は?

関連する記事

編集部オススメ

2022年は3年ぶりの行動制限のない年末。久しぶりに親や家族に会ったときにふと「親の介護」が頭をよぎる人もいるのでは? たとえ介護が終わっても、私たちの日常は続くから--。介護について考えることは親と自分との関係性や距離感についても考えること。人生100年時代と言われる今だからこそ、介護について考えてみませんか? これまでウートピで掲載した介護に関する記事も特集します。

記事ランキング