人生100年時代。もしも100歳まで生きるとしたら、どんな自分の姿を想像するでしょうか。もしかしたら、「そこまで長生きしたくない」と思う人もいるかもしれません。
それは「健康」が失われて働き方や生き方に希望がもてないからではないでしょうか。もしも、元気に歳を重ねていけたら——。最近は、生命科学のさまざまな研究から「老いは病気」「病気ならば治せる」といった可能性が見えてきました。
健康に美しく生きるために、最先端の研究を学ぶYoutube番組「生命科学アカデミー」は、このたび腸内微生物・消化器・抗加齢医学を専門とする内藤裕二先生をゲストにお迎えし、「腸内環境」と健康についてたっぷりと解説していただきました。
※本記事はYoutubeチャンネル「生命科学アカデミー」で6月30日(木)に配信された内容を、ウートピ編集部で再編集したものです。
脂肪肝に悩む人におすすめ!グリーンベースの地中海食
——食事というと、先生は日本食を推奨されていましたよね。世界に視野を向けると、どのような食事に注目が集まっているのでしょうか?
内藤:近年、世界的には地中海食に関する研究が進んでいます。すでにさまざまな論文が出ていて、動脈硬化や腸内環境に良い影響を与えていることがわかっています。
ただ、まだ研究が途中段階なため、日本人の腸内細菌にも同様の効果があるかどうかはわかりません。
——地中海食というのは、具体的に言うと魚介類を中心とした食事でしょうか?
内藤:豚肉も食べられてはいるのですが、研究が進んでいるのは、植物由来の食材をふんだんに使った地中海食です。
研究者の間では、「グリーンベースの地中海食」と呼ばれています。
論文のなかでも特に驚いたのが、最近増えている脂肪肝の人に関する研究です。脂肪肝についてはさまざまな薬が出ていますが、グリーンベースの地中海食を継続して食べたところ、薬を服用するよりも高い効果が出たそうです。
——地中海食というと、食材にオリーブオイルがかかっているイメージがありますが、オイルに関してはいかがでしょうか?
内藤:日本人の体にオリーブオイルが合うかどうか、まだ結論づけられる段階ではありません。個人的には、日本人が古くから親しんできた米油などが適しているのではないかと仮説を立てています。
10個の質問に答えるだけ!手軽にできる腸年齢チェック
——先生がご著書で書かれていた「腸年齢」についてお聞きしたいと思います。腸年齢を自分で調べられるチェックリストがあるそうですね。
内藤:年齢と聞くと、実際の年齢をイメージされる方が多いでしょう。研究者の間では、実際の年齢のことを「生物学的年齢」と呼んでいます。しかし腸内細菌や細菌の代謝物を科学的に調べたところ、腸年齢と生物学的年齢がズレているケースがあることがわかりました。
そこで、誰でも簡単に年齢を把握できるよう、腸年齢のチェックリストを作りました。腸年齢を調べるための科学的な検査を受けられるようになるのは何年か先になると思いますので、まずはこちらのリストをぜひ活用してみてください。中には、この質問はなんだろうと思うような項目もあるかと思いますが、当たっているはずです。
3個以上チェックがついた人は、腸年齢が実年齢より高いと思われますので腸に良い生活を心がけましょう。
見た目が若い人は体も若い? 8週間の若返りメニュー
——見た目と実際の年齢にギャップがある人もいますよね。これについては、どう思われますか?
内藤:最近の研究で「見た目が若い人は生物学的年齢も若い」ということがわかり、私自身も衝撃を受けました。将来的には、人工知能を搭載したカメラの前で写真を1枚撮るだけで生物学的年齢がわかる時代が来るかもしれません。
先ほどお話した地中海食のような食事と運動を8週間組み合わせて行われた実験では、生物学的年齢が若返ったという結果の論文が発表されたようです。それが日本人の体に合うかどうかはわからないため、必ずしも効果が出るとは言えませんが。
<この回のポイント>
・グリーンベースの地中海食が腸内環境に効くというエビデンスがある
・見た目が若い人はカラダ年齢(生物学的年齢)も若い
(最終回へ続く)
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