逆流性食道炎を治したい・第14回

逆流性食道炎で内視鏡検査を受けた…専門医に聞く手順や目的

逆流性食道炎で内視鏡検査を受けた…専門医に聞く手順や目的

「逆流性食道炎を治したい」と題して、兵庫医科大学病院の副院長で消化器病指導医・専門医、内科指導医の三輪洋人(みわ・ひろと)医師に連載でお話しを聞いています。

前回・第13回では、逆流性食道炎の症状があったとき、病院ではどう診断するのかについて教えてもらいました。今回はひき続き、上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査を受けた編集部スタッフS(38歳・女性)の経験談を含めて、同検査の手順などをお尋ねします。

なお、第1回などは、文末のタイトル一覧からリンク先の記事を参考にしてください。

三輪洋人医師

三輪洋人医師

内視鏡検査が必要な場合とは?

——前回(第13回)、逆流食道炎の症状があって受診した場合、まずはFスケールやGERDQという問診票を活用した診断を受ける、次に軽症の場合は胃酸の分泌を抑える薬を服用して1~4週間ほど改善したかどうかを観察するということでした。ただし、スタッフSを含め、「内視鏡検査をした」と言う人も多いようです。どういう場合に内視鏡検査を行うのでしょうか。

三輪医師:逆流性食道炎、特に軽症の逆流性食道炎の診断がついているときには内視鏡の必要はありません。しかし、これまで胃や食道の検査を受けたことがない場合には一度は内視鏡検査を受けておく必要があると思われます。

食道がんや胃がんなどの重篤な疾患が潜んでいる可能性があるからです。また胸やけ以外の症状がある場合や発症が急である場合、薬を飲んでも改善しない場合などにも内視鏡検査を受ける必要があるでしょう。逆流性食道炎以外の疾患の可能性を探る、また否定するためです。

内視鏡検査の実際は?

——内視鏡検査の具体的な方法はどういうものですか。

三輪医師:先端にカメラレンズが内蔵されている細い管を口か鼻のどちらかから挿入します。のど、食道、胃、十二指腸の内部、粘膜の状態をモニターで観察し、同時に写真も撮ります。びらん(ただれ)の有無、あればその広がりかたや色調、重症度を判定します。

また、かいようやポリープ、炎症、がんなどの異変を発見した場合は、同時に「生検」を行うことが可能です。生検とは生体検査の略語で、病変がある組織を採取して顕微鏡で詳しく状態を調べることです。病変部分ががんなのかどうか、その悪性度はどうかなどを診断します。

検査時間は約10分で、生検が必要な場合はもう少しかかります。後でお話しする鎮静剤を投与する場合は、検査後にⅠ~2時間は休んでもらうので、来院から帰宅までの所要時間は2~3時間です。費用は公的医療保険適用の3割負担の場合で3,000~4,000円が目安です。

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内視鏡の挿入は口から? 鼻から? どちらがいい?

——内視鏡検査では、ビデオカメラ付きの管を口や鼻から胃のほうまで通すということですが、スタッフSは、「どちらもつらそう」と、検査に二の足を踏んでいたと言います。口から挿入する内視鏡と鼻から挿入する内視鏡では、何がどう違うのでしょうか。

三輪医師:口からタイプ(経口内視鏡)と鼻からタイプ(経鼻内視鏡)の違いについては、それぞれにメリットとデメリットがあります。経鼻内視鏡を軸に、次のようにまとめました。

<経鼻内視鏡のメリット>
・経口は直径8~11ミリで小指ほどの太さ、経鼻はその半分ほどの約5ミリで細い。そのため、検査中の苦しさは経鼻のほうが少ない。
・経鼻はのどを刺激しないのでおう吐反射(えずき)がほとんど起きない。特に若い人では強いおう吐反射が起こりやすいので、経口はとてもつらいことが多い。
・経鼻は鎮静剤はほとんどの場合不要。
・経鼻は検査中に検査医と会話が可能。経口は不可能。

<経鼻内視鏡のデメリット>
・鼻の不快感、鼻血などが生じやすく、前処置にかかる時間が長くなる。
・画質が経口に比べて劣るので、ちいさな病変を見逃す可能性がある。 
・管が細い分、経口より観察に時間がかかる。

どちらがいいかについて考えるカギは、次に紹介する鎮静剤をどうするかによります。鎮静剤を使う場合は画質が良い経口タイプを、鎮静剤を使わない場合は苦しさが少ない経鼻タイプを選ぶことが多いでしょう。医師が患者さんの希望や検査当日の状況によって提案します。口からの場合はのどに、鼻からの場合は鼻腔に、スプレーで麻酔をします。

「え、検査は終わったの?」

——「鎮静剤を活用する」という方法についてお尋ねします。スタッフSは、内視鏡検査は「痛そう」「苦しいのでは」と思い続けていたけれど、「全身麻酔で検査をしたので、点滴をし始めてからまったく記憶がない」と話します。

三輪医師:全身麻酔ではなくて、鎮静剤を静脈に点滴をして意識はあるものの熟睡の状態になる「意識下鎮静法」を選ばれたのです。全身麻酔の場合は意識がなくなり、鎮静剤とは別の方法なので間違わないようにしましょう。

鎮静法は検査中に苦痛や不安をほとんど感じないので、近ごろはこの方法を選ぶ方がとても増えています。検査後、声をかけると目を覚まされるのですが、多くの人は「もう終わり?」と言われます。

鎮静剤は1~2時間は効いていて、検査後に目が覚めてもそのぐらいの時間は医療機関のベッドで休んでもらいます。鎮静法のデメリットは、検査当日は検査が終わって完全に目覚めた後にまた眠気が襲ってくる場合があることです。このため、自動車や自転車の運転は禁止となります。仕事にも差し支えることがあるでしょう。帰り道では転倒などに注意が必要です。また倦怠(けんたい)感やめまいなどを訴える方もおられます。

スタッフSの初めての内視鏡検査体験談

——スタッフSは検査当日の手順について、こう話します。

「まずは水分を注入する点滴をしてから処置室に移動し、のどに麻酔スプレーを吹き付けられてベッドに横になりました。次に看護師さんに『鎮静剤を点滴しますね―』と声をかけられ、呼吸を2回したところで眠ったようです。その後、気がついたときにはベッドではなく、最初に点滴をした椅子の上でした。

誰かが運んでくれたのかと聞くと、看護師さんに介添えされて自分で歩いて座ったとのことでした。まったく覚えがないのですが、寝ていても歩けるのですね。

検査時間は10分ほどだったそうですが、最初の点滴から目覚めるまでは約1時間でした。というわけで、初めての内視鏡の検査そのものの様子は記憶にありません。

鎮静剤なのですか、麻酔だと思っていました。それも説明を受けた時点では管の挿入と同じように怖かったのですが、すぐに意識がなくなったので苦痛はまったくなく、思い返せばちょっと気持ちのいい体験になりました。

ただし、帰宅後から夜の就寝まではずっと頭がふらついて、眠くてだるかったです。私の場合、自動車の運転どころか、仕事も無理ですね、休みをとっていてよかったです」

参考になるでしょうか。次回・第15回は、「内視鏡検査とX線検査、どちらがいい?」という質問にお応えします。

(構成・取材・文 藤井 空/ユンブル)

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