免疫って何? 高めるにはどうする? 第2回

鼻水、唾液、涙、胃液…「粘膜」は免疫だった!【専門医に聞くやさしい免疫学】

鼻水、唾液、涙、胃液…「粘膜」は免疫だった!【専門医に聞くやさしい免疫学】

いまこそ免疫について理解を深め、免疫を高める生活を実践しようという趣旨で、「免疫って何? 高めるにはどうする?」と題した連載をお届けしています。前回の第1回「いまさら聞けない…『免疫』って何のこと? 皮膚が外敵をバリア」では、免疫とは外敵から体を守るしくみであること、免疫という言葉は「疫病を免(まぬが)れる」という意味であること、風邪をひく・ひかないは免疫力の差であること、免疫にはいくつかの段階があり、体を守る第一の防衛システムは「皮膚」と「粘膜」であること、そして皮膚の免疫機能について紹介しました。

今回の第2回では、粘膜の役割について、ひき続き、感染症や免疫に詳しい耳鼻咽喉科・気管食道科専門医の遠山祐司院長にお尋ねします。

鼻、口、目、胃などの粘膜が外敵から体を守る

——粘膜は免疫として働くということですが、どういうしくみなのでしょうか。

遠山医師:前回にお話ししたように、鼻や口、目、胃や腸など消化管、のどや気管支・肺などの気管の粘膜には、異物をバリアする作用、つまり外敵から体を守るシステムが備わっています。

どう守っているかというと、これらの内側の表面は粘膜で覆われていて、粘液を分泌しています。この粘液が、体に侵入しようとする異物や外敵をからめとります。

注目したいのは、鼻やのどの奥、気管の粘膜に生えている、「線毛」(せんもう。繊毛と表記することもあります)です。線毛とは、1000分の1㎜の微小な毛のことで、鼻、のど、気管にすき間なく生えています。これが「線毛運動」と呼ぶ動きを常に活発に行いながら、粘液の流れをつくり出しています。

そして、鼻や口、気管の粘液がからめとった異物は、粘液とともに線毛運動に乗っかるようにして体外へ排出されます。

例えば、鼻や口からウイルスや細菌、花粉、ゴミ、ほこりなどが入ってきた場合、鼻水や唾液がそれらをキャッチして、線毛が鼻水や唾液、くしゃみ、咳(せき)、たんなどとともに体外に押し出すわけです。

また前回(第1回記事)、汗には「リゾチーム」という細菌の細胞壁を壊す酵素が含まれていると説明しましたが、鼻水や唾液にもリゾチームが含まれていて、殺菌の作用があります。こうして、鼻や口は異物の侵入を防御しています。

涙は目から異物を洗い流し、殺菌作用もある

——鼻水や唾液が免疫の機能として重要であることを理解しました。目も免疫を担うのでしょうか。

遠山医師:目は起きている間は常に外界に向けて開いています。そのため、目からウイルスや細菌、花粉、ゴミ、ほこりなどの外敵や異物が入ることはよくあります。

その目を守っているのが「涙」です。目にゴミが入ると涙が出るでしょう。それは涙が異物を洗い流しているわけです。また、涙にもリゾチームが含まれているので、殺菌作用もあります。

食べ物とともに体内に入る外敵を胃酸が殺菌する

——では、胃や腸は免疫としてどう働くのでしょうか。

遠山医師:口からつながる消化管には、食べ物という異物が常に入ってきます。食べ物が通過する消化管は、粘膜で覆われています。

胃や小腸から分泌される消化液には、食べ物とともに入ってくるウイルスや細菌と闘う働きがあります。とくに、胃から分泌される胃液には「胃酸」という強い酸性の消化液が含まれているため、食べ物に付着した微生物やウイルス、細菌の多くを殺菌します。

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乾燥やストレスは粘膜の働きを低下させる

——のどが乾燥すると風邪をひくと言いますが、乾燥は粘膜の働きを弱めるのでしょうか。

遠山医師:そうです。第1回で話した皮膚の防御作用もそうですが、どの部位も粘膜が乾燥したりケガなどで傷ついたりすると外敵の侵入を受けやすくなります。とくに乾燥しやすい季節や冷暖房などによる乾燥した環境では、皮膚や粘膜の免疫の働きをアップするために保湿しておく必要があります。

また、ストレスは免疫を低下させると言いますが、その理由のひとつには、「ストレスが強いと唾液の分泌が減り、口の中が乾燥して粘膜の機能が下がるから」ということが挙げられます。

——外敵の中には、粘膜やリゾチームの働きではやっつけられないものも多いと聞きます。

遠山医師:リゾチームの作用や胃酸でも死なないウイルスや細菌がいます。例えば、ピロリ菌やノロウイルスがそうです。どちらもよく耳にするでしょう。ピロリ菌は自分でアルカリ性の酵素を出して強酸性の胃液の中でも生き続けます。

ノロウイルスは酸に強いため、胃を通過して腸に到達します。

そうしたときに体はどう反応するかというと、次の段階の免疫システムが発動することになります。その主役となるのは「白血球」です。次の回でお話ししましょう。

聞き手によるまとめ

ヒトの体に備わった免疫の第一段階は、皮膚(第1回参照)と粘膜であり、くしゃみやせきによる反射や、線毛の働き、鼻水・唾液・涙・汗・胃液などによる殺菌で異物や外敵の侵入を防いでいるということです。

粘膜と粘液がそれほどにがんばっているとは……風邪をひいたときにはとくに、「粘膜と粘液が総動員で第一段階の免疫システムとして発動し、ウイルス・細菌などの侵入を防御してくれている」(遠山医師)ということです。鼻水ズルズル、咳ゴホゴホ、よだれだらーの状態が、実は免疫の重要な働きだと思うと、何やら新鮮で感動すら覚えます。

次回・第3回では、防衛壁を突破して体内に侵入してきた外敵に立ち向かう白血球の働きについてお尋ねします。

(構成・取材・文 品川 緑/ユンブル)

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