免疫って何? 高めるにはどうする? 第3回

免疫の実態のひとつ…白血球が病原体を食べる仕組みとは?【専門医に聞くやさしい免疫学】

免疫の実態のひとつ…白血球が病原体を食べる仕組みとは?【専門医に聞くやさしい免疫学】

免疫を高めるにはどうすればいいのかを理解したく、感染症や免疫について詳しい耳鼻咽喉科・気管食道科専門医でとおやま耳鼻咽喉科(大阪市都島区)の遠山祐司院長に連載でお話しを聞いています。前回までに、免疫とは何か、免疫力とはどういうことか、また、体を守る第一の免疫システムは皮膚と粘膜であることとその機能について教えてもらいました。次の記事をご参照ください。

【第1回】いまさら聞けない…「免疫」って何のこと? 皮膚が外敵をバリア
【第2回】鼻水、唾液、胃液…免疫として「粘膜」が体を守っている

今回の第3回では、皮膚と粘膜のバリアを突破した病原体に立ち向かう次なる役者、白血球の働きについてお尋ねします。

好中球とマクロファージが病原体を食べてくれる

——免疫の最初のシステムは、「皮膚」と「粘膜」であり、これらが体内に病原体などの外敵を侵入させないためのバリアとして働いているということでした。冬にインフルエンザや風邪をひきやすいのは、空気の乾燥で皮膚や鼻水、唾液、涙など粘液の力が低下することが大きく関係していると。そして、病原体が皮膚と粘膜の防御を突破して侵入してきた場合、次には「白血球」が働くということですが、体では何が起こるのでしょうか。

遠山医師:まず、白血球とは血液中に含まれる血球のひとつで、赤いものを赤血球と呼ぶのに対して特に色がないほうを指します。白血球は免疫の機能を担っていて、その約60%は顆粒球(かりゅうきゅう)、約35%はリンパ球、約5%が単球という細胞などでできています。これら免疫を担う細胞を「免疫細胞」と呼び、白血球とは血液中の免疫細胞の総称とも言えます。

ヒトの体の免疫システムには、第1回でもお話しした通り、「自然免疫」と「獲得免疫」があり、外敵の侵入に何段階もの構えで対抗しています。皮膚、汗、鼻水、唾液、涙、胃液は自然免疫の中でも第一段階ですが、外敵にその第一段階を突破されたときには、白血球の中の通称「食細胞」と呼ばれるものたちが出動して、外敵である病原体を食べるように働きます。

——食細胞という名前は面白いですね。その名の通り、病原体を食べてくれるのですか。それは白血球の一種ということですが、その実態はどのようなものでしょうか。

遠山医師:食細胞という呼称は、外敵を食べる作用の「食作用」を持つ細胞の総称です。その代表は、白血球のうちの顆粒球の一種の「好中球」と、単球から分化(細胞が特異的に変化すること)した「マクロファージ」です。

免疫を担う役者とはつまり免疫細胞のことですが、たくさん登場するので混乱するかもしれません。好中球とマクロファージは、外敵である細菌やウイルスなどを捕まえて自分の細胞内に取り込み、消化して分解します。これを「食べる」と表現しています。

好中球(イメージ)

好中球(イメージ)

マクロファージ(イメージ)

マクロファージ(イメージ)

「食細胞」は全身をパトロールしている

——それで「外敵を食べる食細胞」と呼ばれるのですね。好中球やマクロファージは白血球の成分ということなので、血液中にいるのでしょうか。

遠山医師:血液やリンパ液に存在し、全身を移動して体内を常にパトロールしています。
外敵が侵入すると、食細胞がすぐ~数時間の間に発動し、主にリンパ節で食作用を行って体
を守ります。リンパ液やリンパ節については、あとの回で詳しく説明します。食細胞は、街を守る警察官や、保安官によく例えられます。

——好中球とマクロファージは、ともに病原体を食べる細胞ということですが、どう違うのでしょうか。

遠山医師:炎症や感染の現場へいち早く集まって病原体を食べるのは、好中球です。好中球は白血球の中で最も数が多いのですが、食作用の際に自分も死ぬことがあって寿命は2・3日です。例えば、どこかをケガして炎症が生じると、膿が出てくることがあるでしょう。その膿は、好中球が働いた後の死骸です。

次に応援にかけつけるのがマクロファージです。マクロファージは数は少ないのですが、好中球より大きくて寿命が長く、アメーバのような形をしていて病原体をぱくぱくと食べます。食欲がおう盛なので、「大食細胞」「貪食(どんしょく)細胞」とも呼ばれます。

自然免疫にはもうひとつ、ウイルスに感染した細胞やがん細胞をやっつける働きがあるナチュラルキラー(NK)細胞の働きがあります。それは次回に説明しましょう。

聞き手によるまとめ

自然免疫の第1段階である皮膚と、鼻水、唾液、涙、胃液などの粘液のバリアを突破して侵入してきた病原体には、第2段階として白血球の好中球とマクロファージが出動し、ぱくぱくと食べてくれるということです。免疫という生まれ持った体の機能に感謝したくなる働きぶりです。

次回・第4回では、自然免疫で重要な働きをする「ナチュラルキラー細胞」について、またケガや感染したときに生じる「炎症」は免疫細胞が闘っている証であることについて紹介します。

(構成・取材・文 品川 緑/ユンブル)

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