逆流性食道炎を治したい・第9回

のどがイガイガ、耳が痛い…謎の症状の正体は逆流性食道炎?【専門医に聞く】

のどがイガイガ、耳が痛い…謎の症状の正体は逆流性食道炎?【専門医に聞く】

読者の健康に関するお悩みの声が多い逆流性食道炎のケアについて、連載にて兵庫医科大学病院の副院長で消化器病指導医・専門医、内科指導医の三輪洋人(みわ・ひろと)医師にその実態や治療法、自分でできるケア法を聞いています。

これまで、逆流性食道炎の症状や種類、なりやすい人、ケアや予防のための食事、飲み物などについて尋ねてきました。今回・第9回では、「この症状…逆流性食道炎が原因だったとは」という意外なケースを紹介します。なお、これまでの内容は文末のタイトル一覧からリンク先の記事を参考にしてください。

のどがつかえる、咳が長引く

——のどがイガイガする、声がかれる、咳(せき)が長引くなどのどの違和感が、逆流性食道炎の症状の場合があると聞きました。なぜでしょうか。

三輪医師:不思議に思われるかもしれませんが、それらは逆流性食道炎ではよく見られる症状です。のどに違和感があって内科を受診しても、「のどには炎症がない。疲れでは」と言われるケースや、放置してだんだんと悪化し、詳しい検査をすると逆流性食道炎だったというケースは多いのです。

のどとは、鼻の奥から食道の入り口までの咽頭(いんとう)と、舌根から気管の入り口までの喉頭(こうとう)を合わせた部分を言います。胃酸が食道よりさらに上へ、のどもとまで逆流してくると、のどの奥の咽頭の内壁がただれる炎症が起こることがあり、これを「咽喉頭(いんこうとう)酸逆流症」と呼びます。逆流性食道炎がのどにまで及んだ状態です。

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咳が出る原因は2つ挙げられます。ひとつは、逆流した胃酸が喉頭から気管に流れて喉頭にダメージを与える場合、もうひとつは、食道の神経が胃酸によって刺激され、気管にも伝わって反射的に起こる場合です。

食事のたびに胃酸が逆流すると、のどのつかえやイガイガ、声がかれる、咳が長引くといった、のどの違和感、不快感が頻繁に起こることは珍しくありません。

ただし、のどの違和感や長引く咳は風邪やインフルエンザ、新型コロナ、ぜんそく、肺炎、気管支炎などの病気が原因の場合もあります。異変を感じたら早めに医療機関を受診してください。

耳が痛い

——耳が痛いけれど原因がわからないままだった人が、「実は逆流性食道炎だった」というケースがあるといいます。なぜ耳が痛くなるのでしょうか。

三輪医師:鼻の奥のほうとのどと耳をつなぐ「耳管(じかん)」という器官があります。耳管は耳の気圧を調節しています。高い場所に移動したときに耳がつーんとふさがるような感覚がする、また、鼻をつまんで耳に空気を送る、あくびをするとそれがおさまるのは、耳管が開いて、空気が出たり入ったりするからです。

のどまで逆流した胃酸が耳管を通じで耳にまで及ぶと、中耳炎などの炎症を起こして耳が痛むことがあります。日ごろ逆流性食道炎の疑いがあって、耳鼻咽喉科で中耳炎と診断された場合は、逆流性食道炎の症状かもしれないことを医師に伝えてください。

鼻水がのどに流れる

——鼻水がだらだらとのどに流れて困るので医療機関を受診すると、「逆流性食道炎では」と言われてととまどう人がいます。

三輪医師:鼻水がのどへ流れて不快な症状を、医学では「後鼻漏(こうびろう)」と呼びます。鼻水の量が大量な場合は前へずるずると出ますが、少し多い段階ではのどへ流れることがあります。

その原因のは主に副鼻腔炎や花粉症などのアレルギー性鼻炎ですが、逆流性食道炎の場合でも起こります。とくに就寝中に胃酸の逆流が起こると、のどもとにまで上がってきて、そこから前述の耳管を通じて鼻に流入し、後鼻漏の症状が現れることがあるのです。

この場合も、逆流性食道炎の疑いがあることを医師に伝えてください。

睡眠障害や睡眠時無呼吸症候群も

——逆流性食道炎の場合は睡眠障害や睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症しやすい、またその逆もしかりと聞きます。どう関係するのでしょうか。

三輪医師:まず、就寝時は体を横にするので、体勢的に胃酸が逆流しやすくなります。また、睡眠中は自律神経の作用で唾液の分泌が減少します。胃酸は日中は唾液によって中和されたり、胃へ押し戻されたりしますが、夜間は姿勢や唾液の関係で食道に長くとどまることになり、胸やけで気分が悪くて目が覚める人は多いでしょう。睡眠障害は逆流性食道炎のひとつの症状でもあります。

また、逆流性食道炎は太っている場合には多く見られます。のどの脂肪や筋肉の衰えで気道が狭くなり、あお向けで寝ると呼吸がしづらく、一時的に止まることがあります。その症状を「睡眠時無呼吸症候群」と呼びます。

睡眠時無呼吸症候群と一般の患者さんで胃酸の逆流が起こる頻度を調べた研究では、前者は21%、後者は4%だったという報告もあります。逆流性食道炎と睡眠時無呼吸症候群は悪影響を及ぼし合うわけです。就寝中の胃酸の逆流を抑えるためには、少なくとも寝る直前に飲食をすることは避けてください。

聞き手によるまとめ

のどのつかえや長引く咳などののど違和感、耳の痛み、鼻水がのどに流れる症状、睡眠障害と睡眠時無呼吸症候群はどれも逆流性食道炎が原因である場合は多いということです。ただ、これらの症状だけでは原因が逆流性食道炎とは想像がつかない、放置することもあるのではないでしょうか。こうした症状をぜひ知っておいて、医療機関で伝えるようにしたいものです。

次回・第10回は、就寝中に胃酸の逆流を予防する姿勢についてお尋ねします。

(構成・取材・文 藤井 空/ユンブル)

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