長福寿寺・今井長秀さんインタビュー③・止

「大事なのはお金が入ってくる仕組み」元経営コンサルの僧侶が伝授するお金の動かし方

「大事なのはお金が入ってくる仕組み」元経営コンサルの僧侶が伝授するお金の動かし方

千葉県長南町にテレビ、雑誌、ウェブメディア……と取材が殺到する、長福寿寺がある。年間25万人の参拝客が足しげく訪れて、祈願をしていく。その目的は金運を上昇させることだ。そう、このお寺、金運に絶大な効果を発揮するといわれている。

ただこの寺が他と一線を画すのは、住職の今井長秀(いまい・ちょうしゅう)さんに元経営コンサルタントという経歴があること。つまり祈願という目に見えないことだけを伝えているわけではない。現実の経済環境のことも見据えた独自の理論を伝えている。このアドバイスに背中を押される人が多く、祈願祭には毎回なんと3000人以上が来山しているそうだ。

そんな住職であれば、昨年から続く不穏な経済状況に置かれた私たちにどんなアドバイスをくれるのだろうか? 

お話を伺った、長福寿寺の住職・今井長秀さん

「ノートとペンを用意して、好きなことを書く。それが人生計画書の始まりです」

——ウートピ世代になると、既婚、未婚にかかわらず、それぞれのライフイベントで大金を動かすことが多くなります。例えば自宅や車両の購入、結婚、出産にかかる費用を支払うといったことです。これらはどういったタイミングで動かすのがいいと思いますか?

今井長秀さん(以下、今井):でも大事な資産を使うタイミングを他人に委ねてはダメでしょう……?(笑)いや、それはいいとして。例えばマンションを購入をするとします。このタイミングを計る前に確認してほしいんですよ。本当に自分がマンションを買うべきかどうか。多くの人は「周囲も買っているから」「年齢でローンが通らなくなると困るから」といった、他人の視線を意識した理由で悩む。どうしても見えが優先されてしまうんですよ。

——タイミングの話の前に、自分の中の他者目線を見つめるということなんですね。

今井:その意識を消すためにも、まずは何がしたいのか計画書を書きましょう。それもパソコンやスマホでメモをするのではなくて、ペンで書く。サッカー日本代表の森保監督もしていたことです。とにかく、筆記する。

これは経営コンサルタントとして働いていた頃に学んだのですが、経営を軌道に乗せるためには“その会社の長所を伸ばす”こと。落ち込んでいる部分を埋めるのではないんです。だからまずは自分の長所に値する、好きなこと、できること、やりたいことを書き出す。それが分かったら、大きなお金を動かすための計画書を書く。いつなら資金が用意できるのか、安定して支払いができるのかを考えましょう。

そのうえで日にちを決めるとしたら、天赦日を選んでください。よく大安や一粒万倍日を狙う方がいますが、それよりも圧倒的に天赦日。2023年は1月6日、3月21日、6月5日、8月4日と18日、10月17日ですね。長福寿寺でも必ずこの日だけは盛大な金運の祈願祭を行います。

「貯金が財産ではなく、お金が入ってくる仕組みこそが財産です」

——大きな資金をつくるための方法のひとつとして、投資が人気です。今、高校の授業でも取り上げているようですね。ご住職は貯金よりも投資という傾向をどう思われますか?

今井:私は投資に関して賛成派ですし、ある程度の知識を得ました。もちろんプロほどの情報量ではないですよ。彼らは景気が下がったときに利益を得ていこうとするんですから、素人の私たちは太刀打ちができません(笑)。そんな私でも言えるのですが、お金を寝かせるのではなく、働いてもらわないと。あとは自分の生活を守ったうえでの投資であることです。そのためにはまず貯金です。元本を用意して、戻ってこないことも想定をしておく。

ただiDeCoやNISAのような、1カ月一万円くらいのものであれば貯金感覚ですから、気にすることはないです。危険なのはのめり込んでしまうこと。いつもスマホを見て「ああ、株が下がった、どうしよう!」と、仕事に集中できない状況は本末転倒。だから長期間の預け入れとして実行をするのがおすすめです。

——貯金額が増えていくと、それだけで満足しそうな気がします。

今井:日本ではそういう傾向が強いです。でも貯金は財産ではない。お金が入ってくる仕組みこそが、財産なんです。それを投資でも仕事でもいいからつくることが、これからの社会人には必須ではないでしょうか。

「浪費をするときは本当に必要なものかどうか、買う前に30秒だけ悩んでください」

——資産形成を実行しようとしても足を引っ張られることのひとつに、物価高騰があると思います。これを乗り切るためには節約をするのか、それともそれ以上に稼ぐという選択をするのか、と迷います。

今井:(きっぱりと)両方必要です。ただ神経質に節約しろというわけでもなく、何かを購入する前に「これは本当に必要だろうか。私の生活にどんな効果をもたらしてくれるのか」と30秒でいいから迷ってください。無理なら10秒でもいいです。物事には消費、浪費、そして投資があります。ここを大きく占めているのは浪費です。ここを減らすようにすればいいんです。無駄なものを買わない。成功しているといわれる経営者も実行していることなんですよ。

——稼ぐ方法として、最近は副業を許可、推奨する会社も増えました。住職はどう思われますか?

今井:やるなら副業ではなくて、両方が本業です。そのつもりでやらないとどちらも成功しません。あとはなぜ会社が副業を許可するようになったのかも考えましょう。昔の企業のように退職金まで面倒を見てくれる会社がなくなって、その責任が個人へ全面的に問われるようになったから。自分がそういう環境下にあることも考えて、計画書を書いてみてください。

なんだか固い話ばかりになりましたけど、ウートピ読者さんへ最後にひとつだけ。

寝る前にね、今日あった良いことを想像してほしいんですよ。なんでもいいんです。幸福感に包まれて寝る。スマホなんて見ている場合じゃないです(笑)。いい睡眠を取るのは、いい思考が生まれる材料ですから。難しいことを考えるなら、朝陽が昇ったときにしてください。もちろん仏様への目標の宣言、祈願も忘れずに。これが私からのお願いです。

今井長秀さんの著作(発行:文友舎)

(撮影:竹内洋平)

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