首都圏在住の20代、30代の女性の間で、最近にわかに増えているという「移住女子」。大学進学や就職を機に東京に出てきたけれど、「このまま東京で働き続ける自分がうまくイメージできない……」。
そこで、転職先の一つの選択肢として「地方」が注目されるようになっているそう。
今回は、ワークスタイルとしての地方移住について、首都圏在住の女性を対象に毎年「全国移住女子サミット」を主催している「にいがたイナカレッジ」代表の日野正基(ひの・まさき)さんに聞きました。
「移住女子」はワークスタイルの模索
——「移住女子」が増えているということですが、どんな女性が地方移住に興味を持っているんですか?
日野正基さん(以下、日野さん):首都圏に住んでいる20代前半から30代前半の女性が多いですね。なかには大学生の頃から「就職するなら地方」「地方で何か仕事を始めたい」と考えている人もいます。
「全国移住女子サミット」の参加者に限れば、都内で普通に会社員をしている女性がほとんどです。結婚している人もいれば、結婚を考えておつきあいしている相手がいる人も。「結婚するかしないか」というライフステージの分岐点にいる人が多いですね。
——どういう理由で地方移住するんですか?
日野:「転職の一つのカタチ」として考えている人が多数派です。「このまま東京にいていいのかな?」「今の仕事を続ける自信がない」というふうに迷いを感じていて、自分にあったワークスタイルを見つける一つの方法として、地方移住を考えていますね。
地方移住を検討中の人の大部分は、現在会社員ですが、移住先でもオフィスワークをやりたい人はまずいません。地方都市(特に実家のある街)でオフィスワークをやりたいのであれば、転職サイトの検索で職を探せるので、私たちのところには来ません。
私たちのところに来るのは、移住先で農業や観光業など、今とはまったく違ったワークスタイルを始めたい人です。単なる転職ではなく、働きかた自体をシフトしたいんですね。そして、やるなら身軽に動ける年齢のうちにと考えているようです。
——「自然の中で癒されたい」というより、「納得できるワークスタイルを見つけたい」という動機なんですね。
パートナーはついてきてくれる?
日野:移住の動機としては、2011年の東日本大震災の影響が今も大きいですね。東京であの震災を経験した人は、買い占めで食料が不足する様子を目にして、危機感を覚えたと思います。「自分が食べる分くらいは、自分で作れるようになりたい」と考えて、地方で農業に関わる女性は増えました。
——確かに、あの時は都会のもろさを肌で感じましたよね。
日野:あとは子育てのために地方移住を決断する女性も多いですね。結婚するかしないかの段階、結婚はしているけれど子どもはまだいないという段階で、早めに子育てをどうするか考えているんです。東京に住んでいると、保活や待機児童の問題をよく耳にするので、危機感を覚えているのかも。それからやはり、「安全な食べものを食べさせたい」「自然の中でのんびり育てたい」という思いも、よく聞きますね。
——パートナーも一緒に移住するんですか?
日野:彼氏や旦那さんが腰が重くて、なかなかついてきてくれないというケースはありますね。そういう場合は、女性が先にひとりで地方に移住して、生活の基盤ができた段階で、数年後にパートナーの方も仕事を辞めて引っ越すこともあるようです。やはり、男性よりも女性の方がフットワークは軽い印象です。
「なんでもやる」というワークスタイル
——移住先では、実際にみなさんどんな仕事をされているんですか?
日野:女性だと、農業関係や食品関係が多いですね。海が近いところだと、ホテルや観光施設など、レジャー系の仕事に就く人が多いです。
たとえば、東京でエンジニアをやっていた20代後半の女性がいるんですが、彼女の場合、新潟・長岡市に移住して、そこで東京から一緒にやってきた元同僚と結婚。今では地元で飲食店をプロデュースしたり、ツアーを企画したりしています。その地域は、昔から野草でブレンド茶をつくる習慣があるそうで、地元のおばあちゃん直伝の野草茶を商品としてプロデュースしているとも聞いています。
彼女に限らず、みなさん、一つの仕事に集中するというよりも、「何でもやってる」という感じですね。面白いと感じたこと、まわりから頼まれたこと……興味の赴くままに自由にやっているようです。
——移住先としてどこが人気なんですか?
日野:長野や山梨は、東京からのアクセスがいいので人気ですね。あと意外に人気なのが福岡。博多なら飛行機ですぐだし、気候的にも温暖で過ごしやすいから。岡山も災害が少ないという理由で、検討する人は結構います。
一概には言えませんが、女性には「海」よりも「山」を希望する人が多いかも。というのも、「海」はやはり漁業関連の仕事が中心で、体力的に女性には難しいですから。「海」を希望するのは、レジャー系の仕事に就きたいと考えている女性ですね。その人がどんな仕事をしたいかにもよるんですが、「山」の方が仕事の選択肢は多いと言えます。
——これからも移住女子は増えていきそうですか?
日野:私たちが地方移住をサポートする活動を始めたのが2011年で、今年で6年目ですが、ここ1、2年で女性からの問い合わせは増えています。
1年に1度開催している「全国移住女子サミット」も70名の定員がSNSに情報を流しただけで1週間ですぐに埋まりました。参加者の9割は「地方移住もありかなあ」とぼんやり考えているという状況ですが、なかには「どこにいつまでに移住する」と決意を固めている人もいます。まだまだ増えていきそうな予感はしますね。
「納得できる働きかたを見つけたい」そんなワークスタイルの模索としての「移住女子。このまま10年、20年と首都圏で働き続ける自分をうまくイメージできないなら、一つの選択肢として考えてみるのもありかもしれません。
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第6回となる今回は「おひとりさま地方移住」の実態に迫ります。
放送日時:2017年3月31日(金)深夜0時~深夜1時
放送チャンネル:AbemaNews
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