「若手美容家」。岡本静香(おかもと・しずか)さんのことをメディアはそう呼びます。好きが高じて、大学生時代からブログや美容情報を発信し続けること約10年。岡本さんから発信されるのは、ラグジュアリーとチープの中間地点に位置するような美容情報。「取り組みやすい」「身近な感じがする」と多くの女性から共感を得ています。
現在30歳。ひとりの女性として、妻として、そして今後新たな時代を切り拓いていく美容家として過ごす日々について聞きました。
「効率のよさ」が時間使いの要
岡本さんの著書『ふつうに過ごすだけでキラキラ変身していく』(ダイヤモンド社)に登場するコスメアイテムは手に取りやすいものばかり。美容メソッドにいたっては、決してストイックではなく少し「ゆるさ」を感じさせるもの。白い肌と、うるんとした口元が印象的な、ゆるふわ美人です。
ーいくつかの顔を持たれてお忙しい日々だとは思いますが、1日の簡単なタイムスケジュールを教えてください。
岡本:朝は6時に起きて7時までに朝食とスキンケアを終えます。主人と一緒に7時に家を出て、そのままウォーキングかパソコンを持って出かけて2〜3時間仕事をします。だいたいお昼過ぎからは、打ち合わせや新作の発表会に出かけて、夕方に帰宅。そのあと夕食を作って0時には寝ています。
ーそこに原稿の執筆があるとまたスケジュールが変わりますよね。
岡本:そうですね、自宅以外の場所で22時まで書いていることもあります。
ー美容家という職業柄、バスタイムにもこだわりがありそうです。
岡本:バスタブに浸かると疲労回復率が格段に高いので、15分くらいの短時間でも浸かるようにしています。でも、ゆったり1時間くらい浸かるのは土曜日とか余裕がある時だけですね。
愛用しているのは“死海の塩”というバスソルトで、これがすごい発汗力。短時間の入浴とは思えないくらい汗をかけて効率がいいんですよ。
ー出ましたね、効率。(笑)
岡本:はい(笑)。ムダが多いことは苦手なんです。家事も人に自慢するほどのことはしていないですけど、とにかく「洗濯機を回している間にお皿を洗って……」と常に考えていたり、洗濯も1週間分の天気予報をチェックして、乾きやすい日にまとめてやるとか。そういう性格みたいです。
ー少し前までは、「効率」の類語と言えるのか、「時短」という言葉に疑問があったそうですね。
岡本:「時短」って、なんだか焦っているようなイメージがあったから。私の場合は、効率よく時間を運ばせることで1日に余白を作りたいんです。ゆとりを持ちたいんですよね。
肌と向き合うように家族とも向き合って
ーご結婚されて4年経つそうですが、その余白は見えてきましたか?
岡本:それは……まだまだ課題かも。SNSの発信や原稿執筆はいつでも出来るため、丸一日仕事していないという日が少なくて。「もっと働ける!」という意欲と脳内でケンカをすることも(笑)。
ーご結婚されて変わりました?
岡本:そうですね、味方が増えたという感じです。私だけではなくて両親も彼が家族になってくれたことで、新しい風が吹いて柔和されたんでしょうね。家族で笑うシーンが増えました。
ー美容家の視点からすると、美容と結婚は通ずるものがあるんでしょうか?
岡本:好きだけど、考え方が違う人と何かを作っていくのは大変な作業です。ケンカもあります。でも、その一連の流れは、自分の肌と向き合って「どうやったらよくなるのか?」と常に対話するのと似ているかも。
ーそうやって肌と対話して生まれた美容法を常に発信されてきたわけですよね。
岡本:そうです。もともとはコスメ好きの学生だったので、コスメカウンターで接客されて気分があがったとか、そういう当時のワクワク感を忘れずに、情報を選んでいます。
ーだから手に取りやすいコスメアイテムや、取り組みやすいメソッドが多い。
岡本:そう思っていただけると嬉しいです。例えば発表会で発売の3ヵ月前にアイテムをチェックしても、発売してからInstagramで発信するようにしています。私のSNSを見て「欲しい」と思ったら、検索して購入という次のアクションにつながることを意識していますね。
SNSの向こうで自分の発信する美容情報を待っていてくれる読者と、同じ視線と感覚。これが彼女の絶対ルール。新しい時代をじわりと感じさせてくれる美容エンターテイメントの幕開けです。
>>この連載は月曜・火曜に更新予定です。次回は8日を予定。
撮影:竹内洋平