2016年11月15日、雨宮まみさんが逝去されました。いつも読者に寄り添い、真摯な言葉で綴られる文章に、多くの女性が励まされました。「ウートピ」では11月15日以前、「SNSに疲れた女性たち」をテーマに取材を受けていただきました。雨宮さんがお話しくださった言葉をここに掲載いたします。

ご冥福をお祈りいたします。(「ウートピ」編集部一同)

FacebookにInstagram、Twitter……、SNSの普及により、私たちのコミュニケーション方法は進化していきました。しかし中には、「SNSは見るだけで投稿しない」という人もいるようです。

理由のひとつは、共感されたいあまり「いいね!」をもらうことにもすることにも疲れてしまった、いわゆる“共感疲れ”によるもの。ウートピ編集部の読者アンケートでも「シェアした時、『いいね!』されないと寂しくなる」「上司の投稿には『いいね!』しないと気まずい」などの声が聞かれました。

先月26日にリリースされた、IT 系シンクタンク株式会社オプトによる調査では、SNSで情報シェアする人の76%が「共感されたい」と答え、「アピールしたい」を大きく上回る結果に。SNS世代の意識や価値観が見えてきます。*

SNSに限らず、友人たちとのリアルなコミュニケーションにおいても、“共感”が疲労感につながるという人もいるのではないでしょうか。そこで、『まじめに生きるって損ですか?』(ポット出版)の著者、雨宮まみさんに“共感との付き合い方”を聞きました。

*【オプト調べ】 http://www.opt.ne.jp/news/pr/detail/id=3782

立場が違えば、共感しあえなくて当然

――雨宮さんは、そっと寄り添って愚痴を聞くというスタイルで「穴の底でお待ちしています」というウェブ連載をされています。“愚痴”と“共感”には近いものを感じますか?

雨宮まみさん(以下、雨宮さん):そうですね、愚痴を言う時は、きっと共感されて安心したいし、一言でもいいから支えてくれる言葉が欲しいんです。友達関係っていうのは、ある意味、愚痴の言い合いみたいなところもありますよね。自分が弱った時に吐き出せる相手は必要だと思います。

――一方で、「(相手に合わせ)共感することに疲れた」という人もいます。

雨宮:そういう人はきっと優しいんだと思います。無理に「わかる」と言わず「どういうこと?」と返してもいいんです。特に30代になると、独身、主婦、母親、バリキャリ……など立場が変わって、どうしても共感できない要素が増えるはずなんです。母親の立場とバリキャリの立場では気持ちが100%同じなわけはないし、共感できなくてもおかしいことじゃない。

そもそも人間は平等ではありませんし、同じでもありませんから。他人の気持ちをわかってあげなきゃ、と自分を追い込む必要はないんです。

愚痴には賞味期限がある、と心得よ

――では、聞いてもらう側はどこに注意すればよいでしょうか?

雨宮:「愚痴には賞味期限がある」ということを忘れずにいましょう。ずっと同じ愚痴を聞かされると聞く側もしんどくなります。

心が折れそうになった時、弱音を吐くのはとても大事です。でもそれは、あくまで人生という長い道のりの休憩所であって、歩いて行くのは自分自身。支えてくれた友達がゴールまで連れていってくれるわけじゃないんですよね。

――支えに頼ってしまうと、進めなくなりますね。

雨宮:常にグループでいることが心地よい人もいます。確かに先の見えない道のりを一人で進むのは怖いし、力を借りたっていい。でも、ずっと誰かに頼るのは、自分のためにもならないし周囲もわずらわしいものです。

理想的なのは「単独行動もできる関係性」です。半分は誰かと繋がっていても半分は自由……くらいのバランスが理想的ですね。

ムダに「いいね!」をしないこと

――雨宮さんには、そんなお付き合いができる友人はいらっしゃいますか?

雨宮:年に一回だけ文通している友達がいるんです。お互い都内に住んでいますが、どうしても会いたいという関係でもありません。彼女が誕生日やクリスマスにカードを送ってきて私がお返しをする。想いを込めたメッセージのやり取りは、心地がいいんです。近くにいなくても、「あなたのことを想っています」という気持ちが伝わります。

――最後に、SNSに疲れてしまった人へのアドバイスをお願いします。

雨宮:私の場合、見たくない情報はコントロールしています。SNSが重荷になったら、OFFにしてもいいんです。現実世界だけでも大変なのに、SNSの世界でも負担を抱え込むことはありません。快適なSNS環境のためには心を鬼にして、不必要なものを切り捨てましょう。

それからムダに「いいね!」をしない、本当に共感した時だけ押すなど、「自分ルール」を作っておけば、共感に囚われないんじゃないですかね。

心が疲れたときはSNSからちょっと離れてみましょう。雨宮まみさんの著書『まじめに生きるって損ですか?』にはそんな疲れた心を癒してくれる、優しい言葉がたくさん詰まっています。

雨宮まみ(あまみや・まみ) ライター。AV雑誌での執筆を経て、女性性とうまく向き合えない生きづらさを書いた自伝的エッセイ『女子をこじらせて』 (ポット出版)で書籍デビュー。以後、エッセイを中心に書評などカルチャー系の分野でも執筆。近著に『東京を生きる』(大和書房)、『自信のない部屋へようこそ』(ワニブックス)など。

末吉陽子