注目を集めている「ボタニカルダイ」って?
前回のアースカラーの提案とも共通しますが、自然への敬愛や地球環境への関心がより高まる昨今、物作りにおいてもサステナブル(持続可能)であることが重視されるようになりました。そんな流れの中で今、注目を集めているのがボタニカルダイ。ボタニカルダイは、日本では草木染めと呼ばれ「植物の根、皮、茎、葉、花弁、実などから取った色素を利用して染めたもの」(『ファッション/アパレル辞典』繊研新聞社)とされています。プランツダイイングも同じ意味です。
それは世界共通の流れで、今年1月に開催された世界中から下着のバイヤーやプレスが集う「パリ国際ランジェリー展」では、このボタニカルダイのワークショップが催されていました。
ボタニカルダイの魅力は自然をそのまま感じる穏やかな発色。染料として使われた植物の姿形、時にはその香りを思い浮かべながら身に着けていると、心まで癒やされそうです。
今回はそんなボタニカルダイのアイテムを紹介したいと思います。例年ボタニカルダイのコレクションを発表しているオーガニックコットンブランド、新たな試みやサービスに挑戦しているブランドなど、取り組み方はさまざま。「この植物から、こんな色が」なんて新しい発見があるかもしれません。
自分で染める楽しみを体験できる新ライン「ニュアラ」
ボタニカルダイをキーに、楽しそうな商品を発売するのがシルクランジェリーブランド「プントゥ」の新ライン「ニュアラ」。展開アイテムはシルクニットのランジェリーなのですが、下記の3通りの販売方法があるのが興味深いところ。
1.染色していない生成色のランジェリーの販売
2.1と自分で染められる染料のセット販売
3.1を染色したカラーランジェリーの販売
2の場合は、生成色のランジェリーを楽しんだあと、汚れが目立ったり違う色を着たくなったりしたら自分で染めて新たな色を楽しめるということ。とても扱いやすい染料なので、自宅のキッチンで簡単に染色できるそうです。
さらに、一度販売した商品を預かって、プロの手で色を抜き、また新たな色に染色する「染め替え」のサービスも実施予定なのだそう。だんだんアイテムに愛着が湧いてきそうです。
5月よりオンラインショップを中心に販売予定ですが、各地で染め方を紹介するワークショップも開催予定とか。ぜひ体験してみたいですね。
春は桜で染めた「キッドブルー」のナイティで良い夢を
心安らぐデザインのナイティやルームウエアを展開する「キッドブルー」に登場したのは、桜・ソメイヨシノで染めた春を愛でる色。アイボリーは花部分、ピンクは枝部分を使用して染めた色だそうです。今年は例年より桜を見る機会が少なかったという方も多いかもしれませんが、桜色をまとって春を楽しむというのもすてき。優しい肌触りの桜色ナイティを着て眠りにつけば、良い夢が見られそうです。
オーガニックコットンに植物の色をのせた「スキンアウェア」
高品質なオーガニックコットンを使用したランジェリーやラウンジウェアを展開する「スキンアウェア」。さまざまな植物で染めた自然の色とオーガニックコットンの肌触りが相乗効果となり、肌に着けることでヒーリング効果がありそう。現在12色が揃(そろ)い、それぞれどんな植物が使われたかの説明が商品につけられているので、ぜひチェックしてみてください。トライアングルブラは「スキンアウェア」の人気商品で、写真は今春発売された新デザインです。
長く愛してもらえるよう植物で染め直す「プリスティン」
ボタニカルダイを、長く愛してもらうためのサービスとして提供しているのが「プリスティン」。2012年12月からスタートした「Re PRI Project(リプリプロジェクト)」の一つです。「プリスティン」は染色していないオーガニックコットンのアイテムを販売していますが、長年着用してシミや汚れがついてしまった場合は一度預かり、茜、栗、丁子(ちょうじ)、柿渋などから抽出した染料で染めてお戻しするというサービスです(有料)。売っておしまいではなく、長く愛用してもらえるよう、お客さまと商品にずっと寄り添う。これこそサステナブルですね。