「スマホ耳鳴り」に注意! 聴きすぎると難聴に【耳鼻咽喉科専門医に聞く】

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「スマホ耳鳴り」に注意! 聴きすぎると難聴に【耳鼻咽喉科専門医に聞く】

イヤホンを使ってスマホで大きな音量で音楽を聴いたあとに、耳の奥がじんじんする、一瞬聞こえづらくなる、ときにめまいがするなどで、「こんなに聴き続けて大丈夫かな」と心配になることはありませんか。

耳鼻咽喉科専門医でとおやま耳鼻咽喉科(大阪市都島区)の遠山祐司院長は、「イヤホンで大音響の音楽を聴き続けると、『スマホ難聴』、『ヘッドフォン難聴』と呼ぶかなり耳に悪い状態になることがあります。場合によっては聞こえにくくなることもあるでしょう」と話します。詳しく聞いてみました。

キーンと耳鳴りがして、やがて難聴に

——もう3年半以上も前の2015年2月に、「世界保健機構(WHO)が中高所得国を対象に行った調査で、12~35歳の若者の約50%が、メディアプレーヤーのヘッドフォン再生の利用で危険なレベルの音量にさらされており、40%がクラブなどのエンターテインメント施設で大音量にさらされている。その数は約11億人に上る」と報告しています。ヘッドフォン難聴は世界的に警鐘が鳴らされていると言えます。「スマホ耳鳴り」、「スマホ難聴」、「ヘッドフォン難聴」とはどういった症状なのでしょうか。

遠山医師:医学的には「音響外傷」と呼ばれる聴覚障害のひとつです。かつては「ロック難聴」「ディスコ難聴」と言われて注意が喚起されていましたが、イヤホンやヘッドフォン、スピーカーのすぐそばやコンサートで、長い時間、また場合によっては短時間でも、大きな音で音楽を聴き続けることが原因で起こります。一時期流行していた「イヤホンガンガン伝言ゲーム」も危険です。

症状は、軽症のうちは、キーンという耳鳴りがする、耳が詰まった感じやじんじんする感覚がある、少し耳が聴こえにくくなるなどです。「スマホ耳鳴り」とは、耳が聴こえにくくなる「スマホ難聴」の前触れだと考えてください。ただし、この段階では自覚症状がない、もしくは乏しいことが多いのです。

ですから、「いつもは聞こえていた呼びかけに応えられない」、「複数の人との会話や騒がしい場所での会話が聞き取りにくい」、「テレビの音量がいつもは『15』で聞こえていたのがこのごろ『20』以上でないと聞こえにくい」などの症状があれば、難聴のサインだと察して、すぐに大音量の音楽を聴くこと、またイヤホンやヘッドフォンの使用をやめてください。

進行すると、耳の奥がずんと重い、痛む、耳鳴りがひどい、耳が聴こえにくくなるといった症状が現れます。たいてい、左右どちらかの耳に起こりますが、両方の耳に同時に発症することもあります。また、めまいの症状が出ることもあり、とても辛くなります。

大音響を聴き続けると内耳の細胞が死ぬ

——どうしてそのようになるのでしょうか。

遠山医師:ヒトの耳には、外耳、中耳、内耳と呼ばれる3つの器官があります。長時間の大音響を聴き続ける、激しい衝撃音や爆発音を聞くなどすると、内耳の蝸牛(かぎゅう)の感覚細胞が過剰な振動によって損傷し、細胞死を起こします。そうして耳鳴り、難聴を引き起こします。

また、ダメージをきっかけに、細胞内で、ほかの物質を酸化させる力が非常に強い活性酸素が発生します。これが血流やリンパの調節に影響して、さらに細胞の機能の減退である退行変性を引き起こし、細胞死にいたることもあります。そして、先ほどお話したさまざまな症状が現れます。

発症したらすぐに治療をはじめる

——耳鳴りや聞こえにくいことがあれば、どうすればいいのでしょうか。

遠山医師:ごく軽症のうちは、しばらく安静にすると治るのですが、ひと晩寝ても改善しない場合は、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。

症状に応じて、内耳の血液の巡りを改善する、損傷や炎症を修復するために副腎皮質ステロイド剤や代謝賦活(ふかつ)剤、循環改善剤、ビタミン剤などを処方して、機能の回復を目指します。発症後にできるだけ早く治療をはじめることが重要です。若い人なら90%以上の確率で2日~10日ほどで改善するでしょう。

ただし、死んだ細胞は生き返らないため、重症の「音響外傷」の場合は治りにくく、耳が聞こえなくなることもあります。「イヤホンガンガン伝言ゲーム」は、他人の声が聴きとれないように大音量の音楽を鳴らすわけですから、絶対にやめてください。

耳に違和感があれば、イヤホンの使用をすぐにやめる

——「スマホ耳鳴り」の予防法を教えてください。

遠山医師:軽症段階でも耳に違和感があればもちろんですが、そうでなくても、自分で「使用のしすぎでは?」と気になるときは、イヤホンの使用はやめて、静かな環境で過ごしてください。回復しても、また大音量で聴き出すと再発の可能性は高くなりますから、発症後はイヤホンやヘッドフォンの使用は避けましょう。

どうしても使う必要がある場合は、耳の穴をふさぐタイプのイヤホンは使わない、イヤホンを使っても「周囲の会話が聞こえる」、また外出先では「後ろから自転車が近づいてきたら気づく」程度の音量に調節してください。

それに、疲れているとき、睡眠不足のとき、風邪をひいているとき、お酒を飲んでいるときなどは、内耳の細胞がダメージを受けやすい傾向にあります。これらの場合は特に気をつけましょう。

耳の違和感が気になる場合はもちろん、一度「スマホ難聴」になれば、半年に1度は「聴力検査」を受けましょう。耳の健康への意識も高まります。また、若いときに大音量の音楽を長時間や長期間聴いている人は、加齢とともに難聴のリスクが高くなることがわかっています。将来に向けても注意が必要です。

また、日ごろから、疲れないようにする、ストレスを溜めない、栄養のバランスがよい食生活を送る、良質な睡眠をとるなど、生活習慣を改善して心身の健康を保つようにしましょう。

——スマホやパソコンでイヤホンを使う場合は、音量や時間には充分に気をつけたいと思います。ありがとうございました。

イヤホンをするだけで耳に違和感を覚えるという人も多いようですが、それに加えて大音響を長時間とは、耳に取り返しのつかないダメージを与える可能性が高いということです。思い当たる場合はイヤホンをはずして、耳の健康を考えてみるのはいかがでしょうか。

(取材・文 藤原 椋・藤井 空 / ユンブル)

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