生理がおかしいと思ったら婦人科の門を叩いて。「知らなかった」で後悔しないために

生理がおかしいと思ったら婦人科の門を叩いて。「知らなかった」で後悔しないために

思春期から更年期まで、女性の毎日は、女性ホルモンの影響を大きく受けています。けれど、「えっ、これも女性ホルモンの影響だったの?」と思うことも多いはず。

5月19日、「東京ミッドタウン」(東京都港区)で開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2018」で、「働く女性が知っておきたい『女性ホルモンの真実』」をテーマに、PMSや月経痛とどう付き合うか、更年期にどのように備えるかについて講演が行われました。講師は、日経BP総研 メディカル・ヘルスラボ 主任研究員の黒住紗織さん。その一部をお届けします。

黒住さん。共著の『女性ホルモンの教科書』と

黒住さん。共著の『女性ホルモンの教科書』(日経BP社)と

「いま私、PMSなんです」と伝えてみる

更年期障害と比べると認知度の低いPMSですが、6割近い女性が、月経前のイライラに悩まされている*そうです。黒住さんは「(PMSで)意外と多いのがイライラや怒りっぽさ、気分の落ち込みなどの精神症状。けれど、その症状がホルモンのせいだと知らなくて、自分を責める女性も多い」と言います。さらに、PMSや更年期障害の影響が原因で仕事を辞めたり、昇進を諦めたりするケースもあるそう。

*2014年「ホルモンケア推進プロジェクト」調べ

「毎月の生理の手前で、症状が頻繁に起こる人はPMSである可能性が高い。それがホルモンのせいだと知っているだけでも、自分を責めたりしてムダなエネルギーを使わなくてすみます」。

また、PMSの対処法があるにも関わらずその対処法にリーチできていない人も多いことをあげ、黒住さんは、大豆イソフラボンや欧米で歴史のあるハーブ薬「チェストベリー」を用いたセルフケア、漢方薬や低用量ピルの使用などをアドバイス。さらに、「I’M PMSING!」と伝えることも有効だと言います。

「アメリカでは若い女性が、ボーイフレンドに『私は今ちょっとPMSだからケンカっ早くなるわよ』とか『イライラしているかもしれないからちょっと気をつけてね』と伝えるそうです。すると彼は『わかった。君のことは今そっとしておくね』と。そのような会話が日常的にかわされているそうです。日本ではなかなかそのような環境になっていないので、少しずつでもみんなに言えるような空気というのを作っていかなきゃいけないなと思う」と述べました。

「知らなかった」で後悔して欲しくない

黒住さんは以前、40歳で結婚したけれど、出産の機会を逃してしまったという女性に出会ったと言います。「彼女はたまたま受診した婦人科で『更年期かもしれない』と言われ、そこで『閉経したら出産できない』ことを知り、とても後悔していました。そして、『自分と同じような後悔を若い人に繰り返してほしくない』と。知らなかったがために、自分のライフサイクルの中で産むチャンスを逃してしまったという人を目の前にして、女性にとって知らないということは人生を二つに分ける大きな問題になると思いました」。

「私自身は子宮筋腫があったので、ものすごい過多月経でした。ずっと夜用のナプキンを使っていても1時間ごとに変えなきゃいけないぐらいのひどい量で。10日くらい続くこともありました。けれど、月経についての情報交換ってほとんどしませんよね。(その状態が)みんなも同じだと思い込んでいましたが、あとでそれは異常だと知って(胸が)すっとしました」。

長く付き合うものなのに意外と知らない“女性ホルモン”。その変化を知らなかったためにソンをしてしまう女性を減らしたいと黒住さんは言います。「月経は不調のサイン。ちょっと普通と違うなと思ったら、面倒くさがらずに婦人科の門を叩いていただきたい」と呼びかけました。

「WOMAN EXPO TOKYO 2018」は日本経済新聞社、日経BP社が主催する働く女性のための総合イベント。2014年に始まって以来、今年で5周年を迎えました。「Women of Excellence Awards(ウィメン・オブ・エクセレンス・アワーズ)」の第4回授賞式が行われたほか、ゲストスピーカーとして女優の草刈民代さん、米倉涼子さん、ニュースキャスターの安藤優子さんらが登壇しました。

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