空がどんより厚い雲で覆われると、頭もズーンと重たくなる。
季節の変わり目はやる気が起こらず戦意喪失、仕事がまったくはかどらない。
ただでさえ生理の日はツラいのに、雨が降ると吐き気まで……。
と思い当たったあなたは、天気によって体調や気分が左右される、低気圧女子かもしれません! 気象予報士で、『低気圧女子の処方せん』(セブン&アイ出版)を上梓したばかりの小越久美(おこし・くみ)さんに、女子の正しい天気との付き合い方をレクチャーしていただきます。
第2回は、低気圧女子と気圧の関係について聞きました。
気圧変化に敏感な低気圧女子たち
どんより曇り空、突然の豪雨、台風接近中。天気が下り坂のとき、低気圧女子たちの不調はピークを迎えます。
「低気圧女子というネーミングからもわかる通り、不調を招く引き金となるのが低気圧です。大まかにですが、空一面がグレーのとき、天気予報にくもりマークや雨マークがついているときは、低気圧がやって来ていると考えて、体と心に負担のかからない生活を心がけるようにしましょう。
あまり知りたくないかもしれませんが……。日本付近を通過する低気圧は、年間100個ほどにもなります。自分の体調や低気圧のパワーによっても不調の感じ方はさまざまだと思いますが、単純計算で3〜3.5日に1回は低気圧の影響を受けていることになります。
私たちの体は、自分が思っている以上に低気圧に敏感に反応していて、気圧がわずか1ヘクトパスカル下がるだけで不調を感じる人が一定数いるというデータがあるほど。低気圧をあなどってはいけないのです」
気圧の変化によって、体には何が起きている?
目には見えない気圧の変化。でも、私たちの体はそれらを敏感にキャッチしているようで……。
「気圧を説明するとき、例としてよく使われるのが、スナック菓子の袋です。地上では袋に余裕がありますが、標高の高くなる山頂では、袋がパンパンに膨らみますよね?
あれと似たようなことが、私たちの体でも起こっています。
スナック菓子の袋にも私たちの体にも、常に、外側からの圧力がかかっています。これに対抗しないでいたらぺしゃんこに押しつぶされてしまうため、袋や体の内側からは、外からかかる圧力と同じだけの力で押し返す力が働いています。
気圧とは空気の重さのことで、地上に比べて空気の薄くなる山頂では、気圧が低くなります。すると、外からかかる圧力より内側から押し返す圧力の方が強くなります。空気の逃げ場がない袋はパンパンに膨らみ、私たちの体も膨張します。
もともと人間の体は、気圧の変化に合わせて内側からも対応しています。この働きをしているのが自律神経。ところが、この自律神経は急な変化がとても苦手なのです。
富士山に登るときは、七合目や八合目の山小屋で休憩を取り、気圧の変化に体を慣らしてから登頂を目指すことからもわかるように、わずか数時間のうちに気圧が変化すると体の対応が追いつかず、さまざまな不調を抱えることになってしまうのです」
気圧が低いと、やる気まで奪われる
「最近の研究では、気圧の変化を内耳がキャッチすると、一時的に交感神経が刺激され、頭痛や関節痛、古傷の痛みなど、“痛み系”の症状があらわれることがわかっています。
また、雨の日に眠くなったり、だるい、やる気が起きないという症状が起こるのは、高山病に似た症状が体に現れているからなんです。
「低気圧=空気が薄い状態]なので、体はその環境で活発に活動するのは危険だと判断し、副交感神経を優位に働かせます。すると、体はリラックスモードになり、眠気やだるさを誘発します。
グズついた天気の日に発生する痛みや倦怠感にはちゃんと理由がある、と知っただけで症状が軽減する人もいますので、気持ちを前向きに持って、低気圧と上手に付き合っていきましょう」
(構成:今富夕起)