フリーランス仲人・尾崎恵美さんインタビュー(第3回)

29歳で会社を辞め、34歳でフリーの仲人に 秘訣は「好きなことの同時並行」

29歳で会社を辞め、34歳でフリーの仲人に 秘訣は「好きなことの同時並行」

「恋バナと合コンが大好きで、気づいたら“フリーランスの仲人”になっていました」

悶々としながら過ごした10年間の会社員生活、アラサーで突然決意した韓国留学を経て、フリーランスの仲人として活躍することになった尾崎恵美(おざき・めぐみ)さん。

現在、尾崎さんは、フリーの仲人、ネットラジオのパーソナリティなど、好きなことを掛け持ちしながら活動しています。どれか一つだけで生計を立てていくのは厳しくても、やりたいことをいくつか組み合わせる方法ならそれが可能なのだそう。最終回となる第3回は、尾崎さんのユニークな働き方と、フリーランスとして生き抜く秘訣について伺いました。

第1回:恋バナと合コンが大好きなOLが、「フリーランスの仲人」になるまで
第2回:「合コンの幹事」キャラが仕事につながった。結婚をゴールにしない仲人

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“複数わらじ”というワークスタイル

組織という後ろ盾を持たないフリーランスにとって、「自分の居場所は自分でつくる」が、鉄則。フリーランスをサバイブする方法として尾崎さんが選んだのは、仕事をいくつも掛け持ちする“複数わらじ”というワークスタイルでした。

人と人を繋ぐ仲人の仕事、ネットラジオの運営とパーソナリティのほか、ワークショップや講演会を企画したり、時には友人の手伝いやアルバイトも。

「いろんな人とかかわることで可能性が広がるし、違ったジャンルの仕事をすることでいつも新鮮な気持ちでいられるんです。収入面の不安を補えるのも大きなメリット。ひとつの仕事が不調でも、他の柱があれば安定するから心のバランスも保てます」

涙婚の仲人活動に加え、2週間に一度、ネットラジオを自宅から配信。時には地元の浦安市の公共施設から公開収録をすることも。さまざまなつながりから知り合いがどんどん増え、イベントの手伝いやボランティアなどに声をかけられることも多いといいます。

「モットーは、“無報酬でも頼まれたら断らない”。そこで縁が途切れてしまうのは寂しいし、もったいないなと思うんです。一つひとつの出会いを大事にすることで、必ずどこかで何かのチャンスに繋がっていくと信じています。一見、ムダだと思えることも、捉え方次第。自分の新たな一面を発見できたり、面白い人と出会えたり。知らなかったことを知るのもまた楽しい。あとから振り返ると、自分の糧になっているなと感じることが多いですね」

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目先の損得感情にとらわれない

目先の損得感情にとらわれず、人との出会いを大切に紡いできたことで、思わぬ形で“チャンスの扉”が開くことも。

「絵を描くのは相変わらず好きなので、仲人として関わった方やネットラジオで来てくれたゲストに似顔絵をプレゼントしていたんです。それがきっかけとなって、地元の音楽イベントで使うTシャツにイラストを書いて欲しいという依頼をもらいました。一度は諦めた夢がこういう形でチャンスとしてめぐってくるなんて思いもしなかったから、本当に嬉しかった。それ以来、イラストのお仕事も時々もらえるようになりました」

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“複数のわらじ”生活を楽しむ尾崎さんですが、「安定した仕事に魅力を感じることは今でもある」と明かします。

「やりたいことをやっているという満足感はあるけれど、収入は大企業に勤めていた時の半分くらい。仕事がない時期は、もやもやと将来の不安に襲われることも正直ありますよ」

そんな時に立ち返るのは、回り道をして気づいた“あの思い”――。

「自分の心に向き合うことを放棄してやりたくないことを続けていると、いつかリバウンドのように反動がくることを知っているから、“やっぱりこの道でいい”と思える。やりたいことで生きているから、つらいことも“私が選んだ道”と納得できるし、自分の力で生きていることが自信につながります。不安を乗り越えるためには、目の前のことをひとつずつ一生懸命こなしていくことでしか解決できないと思うんです」

20代の頃は、「好きなことをして生きていく」ことをネガティブに考えていたという尾崎さん。

「そんなことできるわけない、ありえないと思っていました。もしも今、20代の頃の自分に声をかけられるとしたら、“胸を張って私らしく生きているよ”と伝えたいですね」

「向いていない……」と思いながらも続けた10年の会社員生活を経てたどりついた、フリーランス仲人というワークスタイル。フリーとして生きる不安はあるけれど、いくら安定していても「あの頃には戻れない」という気持ちがあるから、前を向いて進んでいけるんですね。

写真:青木勇太

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