3月になり、外出する機会も増えるであろうこの季節、キチンと紫外線や日焼けの対策はしておきたいところです。
日焼け止めといえば、顔や体に塗る日焼け止めを思い浮かべる人も多いと思いますが、最近では「飲む日焼け止め」も注目を浴びています。
「飲む日焼け止め」について、土佐清水病院 新横浜診療所の宇井千穂(うい・ちほ)先生にお話を聞きました。
飲む日焼け止めが注目されている理由
なぜ、飲む日焼け止めが注目されているのでしょうか?
宇井先生:飲む日焼け止めは、ヨーロッパが発祥で、日に当たって悪くなるところをフォロー・カバーしようという考え方のサプリです。日焼けによる赤みや痛み、かゆみといった症状がでてしまっている時は、日焼けによって活性酸素が発生し、DNAが損傷されている状態なんです。飲む日焼け止めはそういった症状を抑える効果があります。
そもそも、白人の人たちは日焼けした小麦色の肌を好む傾向にあり、日焼けによる肌のヒリヒリとした痛みを抑えるものとして、飲むサプリが流行りました。
飲む日焼け止めのメリット
飲む日焼け止めのメリットを教えてください。
宇井先生:飲む日焼け止めは「活性酸素を生み出さないためのサプリメント」です。紫外線に当たるとDNAが損傷して活性酸素が発生します。活性酸素が発生すると体が酸化して老化の原因となるんですが、「飲む日焼け止め」は体の内側から活性酸素の発生を防ぐので、アンチエイジング効果もあります。飲む日焼け止めをアンチエイジングのためのサプリとして毎日服用することもオススメしています。
また、塗る日焼け止めのデメリットとして、直接肌に付着させるものなので、肌にとっては負担となります。結果、塗る日焼け止めはシワの原因にもつながってしまうんです。
塗る日焼け止めが、シワの原因になってしまうんですね……。
宇井先生:そうなんです。また、塗る日焼け止めの一番の問題点は、正確に塗れていないことです。一般的には必要量の4分の1レベルでしか塗ることができていないとまでいわれています。
日焼け止めに表示されている指標に「SPF」と「PA」がありますが、SPFは肌の赤みや日焼けの原因となる紫外線(UV-B)、PAはシワなどの原因となる紫外線(UV-A)を防ぐ指標です。
では、SPFが強いものを選べばいいということでしょうか?
宇井先生:SPFが強ければいいというわけでもありません。せっかく塗っても汗や手で顔をかいてしまったりと、日焼け止めはすぐに落ちてしまうので、数時間おきの塗り直しも必要です。飲む日焼け止めだと、そういった手間や、塗る日焼け止めを落とす手間も省けます。
飲む日焼け止めを飲んだら、塗る日焼け止めは塗らなくてもいいのでしょうか?
宇井先生:それぞれの日焼け止めの役割を説明すると、塗る日焼け止めは光が直接皮膚に当たるのを外側からブロックする役割、飲む日焼け止めは、老化の原因となる活性酸素の発生を内側から防ぐ役割です。より効果的な紫外線対策を考えるのなら、併用するのがいいですね。
飲んだらすぐ効果があるのでしょうか?
宇井先生:紫外線防御作用としては服用後、30分から数時間で効果があらわれるものが多いようです。また、日焼けをして肌に赤みが出たあとの服用でも、赤みや痛み、かゆみを減少させる効果もあります。外出時に、「今日は紫外線が強いから2つ飲もう」と服用量を切り替えることも可能ですよ。
副作用はあるの?
服用量を切り替えてもいいんですね。そもそも、副作用はないのでしょうか?
宇井先生:薬ではなくサプリメントなので、副作用はありません。しかし、主成分が食品扱いのものである以上、アレルギー反応が出る方はいらっしゃるので、そこは気をつけなければいけません。
飲んではいけない人はいますか?
宇井先生:飲む日焼け止めは、天然由来のハーブ(ローズマリー、シトラス、シダ植物)など、食品扱いのものを主な原料としているものが多いので、基本的には安全です。
しかし、食品によってアレルギーを起こす人がいるように、どんな成分であっても、アレルギー反応には気をつけなければいけません。また、念のために妊婦・授乳中の方は服用を避けてください。
どこで購入できますか?
宇井先生:美容皮膚科やクリニックはもちろん、インターネット販売、最近は薬局でも購入できるようになりました。
クリニックで購入の場合、保険は適用できますか?
宇井先生:確実なことはいえませんが、主に成分がハーブなどで作られているので、保険適用になることはないと思います。
値段はどのくらいなのでしょうか?
宇井先生:目安としては、1ヶ月に5000円前後のものが多いようです。