日本の作家で初の英文学賞
作家の柚木麻子さんの小説『BUTTER』(新潮文庫)が「2025 British Book Awards (Nibbies)」の Debut Fiction 部門を受賞したことが5月13日、明らかになりました。日本の作家として初の快挙に、柚木さんは「大変光栄です。この作品を素晴らしい形で翻訳してくださったポリー・バートンさん、4th Estate の皆さま、書店の皆さま、そして読者の皆さまに心よりお礼申し上げます」と喜びを語っています。
「British Book Awards (Nibbies)」は出版業界のニュースを報道する英国の雑誌「The Boolkseller」が 運営する賞で、英国の最高の作家とその作品に贈られる文学賞。
『BUTTER』は2020 年1 月29 日に発売され、国内で30 万部を突破。英語版は、Polly Barton さんの翻訳により、イギリスの出版社 4th Estate から 2024 年 2 月に刊行されました。 フェミニズムの観点や、美食とミステリーを組み合わせた独自の世界観が話題となり、イギリスで 40 万部超、アメリカで10 万部超のベストセラーに。現在はヨーロッパを中心に36 ヶ国で翻訳が決定しています。
木嶋佳苗死刑囚がモチーフ…『BUTTER』とは?
『BUTTER』は、首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗死刑囚をモチーフにした作品。
男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕されたカジマナこと梶井真奈子。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく……というストーリー。