健康に美しく生きるために、最先端の研究を学ぶYoutube番組「生命科学アカデミー」を配信する協和は、同番組に同志社大学生命医科学部の米井嘉一教授を招き、「良いAGEsと悪いAGEs!」ほか全5回を配信。米井先生に、老化の原因となる、体のサビ「酸化」と体の黄ばみ「糖化」が起こるメカニズムと対策法についてたっぷりとお話しいただきました。

米井先生(左)と、聞き手で生命科学アカデミー学長のHIROCOさん(右)
※本記事はYouTubeチャンネル「生命科学アカデミー」で配信された内容を、ウートピ編集部で再編集したものです。
30歳を超えると筋肉量は年1%ずつ減少
——前回は体の老化を抑える食事法についてうかがいましたが、今回は老化を抑える運動について教えてください。まず、年齢に応じて筋肉量が減ると言いますが、どれくらいのペースで減るんでしょうか?
米井嘉一先生(以下、米井):30歳を過ぎると年間で平均1%ずつ、65歳を過ぎると、4カ月で平均1%ぐらい減っていきます。
——4か月で1%ということは、年間2、3%ですね。意識して日ごろから運動を取り入れていかないと、ちょっとまずいかもしれない。日常に取り入れられる運動を教えてください。
米井:いろいろな筋肉がありますから、それに合わせた運動がありますが、一番効率がいいのはスクワットです。太ももの筋肉は体の中でもっとも大きいので、そこを鍛えると効率がいいんですね。
まずは、20回できるように、椅子から立ったり座ったりしてみましょう。フルスクワットは、背筋を伸ばすとか意識しないといけないことが多いですが、ハーフスクワットなら本当に簡単にできるんですよ。20回できるようになったら、中級コースに進めばいいと思います。
機械がなくてもできますから、オフィスでデスクワークの方とかもぜひやってみてほしいですね。キッチンでの作業中に、シンクにつかまって立ったり座ったりするのもアリだと思います。お味噌汁があたたまるまでの間に10回、20回とか、それだけでも全然違いますね。
■米井式楽ちんスクワット
男性は腹筋と背筋、女性はふくらはぎ
——運動するぞと力を入れるのではなく、日常の中に取り入れていくことで、筋肉量の減少を防げるんですね。先生の著書の中で、女性と男性だと、鍛えるべき筋肉が違うという研究について書かれていましたが……。
米井:筋肉の部位別で検討した結果、男性は腹筋、背筋が衰えるとよくないです。90歳、100歳でお元気な方は、腹筋と背筋がしっかりしています。男性のほうが寝たきりのストレスに弱く、寝たきりになったらあっという間に命を落とすんですよね。
一方の女性は、寝たきりになっても抵抗力が強くて、いろいろストレスに耐えらえる。では女性の弱点になる筋肉は何かというと、ふくらはぎです。歳をとっても元気な女性はふくらはぎが丈夫というデータがあります。
——あと、運動の中でも割と忘れがちな手元の手作業。これも運動のひとつかと思いますが。
米井:やっぱり認知症ってこわいですよね。人間って、使わない機能は必要ないと神様が決めてしまうのか、老化しやすい。だから、頭も使わないとボケます。ボケ防止のためには、全身の運動と細かい手作業の組みあわせが一番効率よく頭の神経を使うことができます。
全身運動、ウォーキングとかと組み合わせて、ゲームをやる、麻雀をやる、楽器を弾く、絵を描く、字を書く。そういうことも、高齢者向けの老人ホームでは推奨されています。
ペットと同じように体を伸ばす

画像はイメージです。
——トライできそうなものもありますね。それでもやっぱり何もしたくない、みたいなときはどうすればいいんでしょうか。
米井:何もしたくない人に何かをやっていただくのは、ものすごく大変なことです。だから、もしペット——猫でもワンちゃんでも——を飼っているのであれば見習ってください、と伝えます。猫もワンちゃんも、一日に何度も伸びをします。それに合わせて、ペットに負けないように、同じように体を伸ばす。そこからぜひやってほしいです。
老化予防で一番いけないのが、安静にすることです。自分で老化のスイッチをオンにしているようなものですね。
——休みの日は安静にしがちですけど、ダメですか?
米井:ダメです。たとえば、変形性関節症という病気があります。これも安静にしていてはダメなんです。運動のしすぎで体に負担をかけると、肩、ひじ、ひざなどの関節が炎症を起こして変形性関節症になるのですが、安静にしていると固まっちゃうんですよ。だから、ひざの場合は体重をかけないで動かすとか、貧乏ゆすりをするとか、ぶらぶらするとか、固まらないようにしないといけない。体全体も同じことです。
——先生は、神経に関しても、安静はNGとおっしゃっていましたね。
米井:そうです。やっちゃいけないことといえば、日がな一日快適なソファに座って、コミュニケーションもとらず、何もしないということ。
高カロリーのお菓子を食べて、ビール飲んでタバコ吸ってたりなんかしたら、もっと悪い。もちろん、ウィークデーが忙しくて疲れているときには休養が必要ですよ。よく睡眠をとってください。ただ、昼間からずっと安静にしているのはよくないです。
(第5回へ続く)
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