『怒りの扱い方大全』3

そういうことじゃないんだけど…ズレた謝罪にカチンときたら【怒りの扱い方大全】

そういうことじゃないんだけど…ズレた謝罪にカチンときたら【怒りの扱い方大全】

アンガーマネジメントのプロ、戸田久実さんの『怒りの扱い方大全』(日本経済新聞出版)から特別に本編を抜粋して公開。全3回にわたってお届けるする最終回は、ピントのズレた謝罪をされてさらにイライラしたときの対処法について紹介します。

Q. 相手からピントのずれた謝り方をされてカチンときました。

A. 本当に謝ってほしいポイントを伝えよう。

ピントがずれた謝罪は、相手の怒りを増長させることになりかねません。ずれているときには訂正し、本当に謝ってほしいポイントを伝えましょう。

ピントがずれた謝罪は、相手の怒りを増幅させる

相手が謝ってきても、ピントがずれた謝り方になっていて、逆にカチンときてしまうことがありませんか?

たとえば、Aさんの企画をBさんが相談なく上司に提案したとします。

Aさん:「事前に相談するか、せめて、事後でもいいから報告してほしかった」

Bさん:「ご心配をおかけして、申し訳ありませんでした」

Aさん:「どちらかというと『不快感』だよ」

Bさん:「不安な思いを……」

Aさん:「不安じゃなくて不快という思いだよ!」

このやりとりでは、Aさんは「不快だ」という気持ちを持っているため、Bさんの言う「心配」や「不安」は、ピントがずれています。

このズレが、「わかってない!」と相手の怒りをますます膨らませてしまうのです。

ピントがずれた謝罪を繰り返していると、相手からの信頼を失ってしまいかねません。

なかには指摘されたことに焦ってしまい、変なことを口走ってしまう人もいます。

もし、おかしな謝罪にイライラしてとっさに言葉が出てしまいそうなときには、まず深呼吸をして気持ちを落ち着けましょう。

そのあとで、「何が違うのか」「本当に謝ってほしいことや気づいてほしいことは○○です」とゆっくり伝えてください。

先ほどの例であれば、「心配や不安ではなく『事前に報告をもらえなかったことに対して不快に感じた』と言うほうが合っているよ」と、伝えるといいでしょう。

話が通じなくても、自分のNGラインは伝え続ける

何度言っても、ピントがずれたままの人はいるものです。

怪しい相手に対しては、「何について一番怒ったかわかっている?」と尋ねてみましょう。相手の言ったことが違うときには訂正します。

自分にとってのNGラインを言い続けるのは、言わないことで悶々としないためでもあります。

「言う・言わない」の境界線を明確にしたら、相手がどう受けとめるかに関わらず言い続けてかまいません。

ただ、ゴールは自分が悶々としないことなので、「相手に理解させよう」「自分の思う通りの行動をさせよう」とは思わないようにしましょう。

自分のNGラインを伝えないと、さらなるストレスを抱えることになるので、「ダメなことはダメ」と言い続けるのは大切なことです。

言い訳をする人にははっきり伝えていい

注意をしたときに、相手が言い訳をすることもあります。

「わたしもそう思っていたのです」「やろうと思っていました」と、とっさにカチンとくるような言い訳をされたことはないでしょうか。

この場合、「言い訳に聞こえるから、そう言わずにまずは受けとめてほしい」とはっきり伝えましょう。言い訳を受け入れてしまうと、今後もずっと続くことになってしまいます。

逆に、自分が言い訳をしていると感じる人は、「誰かのせいにしない」「足りなかったことを認める」ということを心がけ、素直に「気がつきませんでした。足りませんでした」と言う訓練をしてください。

素直に謝罪することで、相手の怒りもおさまり、その後の仕事も円滑になるでしょう。

ピントのずれた謝罪は、そのままにしないほうが、お互いのためです。

(『怒りの扱い方大全』P128〜131より抜粋)

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