アンガーマネジメントのプロ、戸田久実さんの『怒りの扱い方大全』(日本経済新聞出版)から特別に本編を抜粋して公開。全3回にわたってお届けるする第1回は、「オンライン上のやりとりでは、相手を注意しづらい」というシチュエーションについて紹介します。
Q. オンライン上のやりとりでは、相手を注意しづらいです。
A. 端的に「こうしてほしい」と伝えよう。
オンラインという限られた時間のなかで相手を注意する場合、端的に伝えることが不可欠です。注意する前には事実確認を行い、要点を整理して伝えましょう。
オンラインではフォローがしづらい
オンラインでは「リアルで対面するときよりも、相手の反応や表情の変化がわかりにくい」と感じている人が多いのではないでしょうか。
しっかりうなずいてくれる人や、表情に変化のある人なら、こちらの話を聴いていることがわかります。でも、リアクションがないと、相手がわかっていないと思って、ずっとその話を続けてしまう人もいるようです。
対面で会っていないことで「相手に耳の痛いことを言いづらくなった……」という相談も増えてきました。
注意や耳の痛いことを伝える場合、対面であれば相手がどのように受けとめたのかを観察したり、後日オフィスで顔を合わせるときにフォローをしたり……と、様子を見ることができます。
ところが、リモートワークになってからは、オンラインでの打ち合わせやミーティングのみのやりとりです。相手の反応も、対面に比べると読み取りにくいですし、ミーティング後に、相手がこちらの話をどう受けとめたのか、観察することもできません。
そのため、耳の痛いことを言わなければいけないときに、多くの人が躊躇してしまうのです。
アドバイスは1回につき3つまで
そうは言っても、オンラインでも、言わなければいけないことは伝えなければいけません。
伝えるときは、事前に内容を紙に書き出し、かならずわかってもらいたいことだけを押さえるようにしましょう。
一度にあれこれオーダーしすぎても、相手が受けとめきれな くなってしまいます。1回話すごとに、伝える内容は最大3つまでにとどめてください。
一方、長いアドバイスは、説教のようになってしまうので逆効果になってしまうことも……。
注意をする際には、まず事実確認をしておきましょう。
「3月3日の□□社様との打ち合わせ時に、こういうことがあったのですよね」
そのうえで、「今回、このようなことがあったから、次からはすぐに報告することと、その日のうちに対応するように注意してほしい」と、限られた時間のなかで要点が伝わるようにまとめましょう。
リモートワークが当たり前の時代に入ったからこそ、オンラインならではの配慮を心がけたいですね。
(『怒りの扱い方大全』P47〜49より抜粋)