「令和の共働き婚」第2回

選ぶのは「悪い」こと? 会社も社会も変わるために必要なこと【青野慶久×川崎貴子】

選ぶのは「悪い」こと? 会社も社会も変わるために必要なこと【青野慶久×川崎貴子】

「川崎貴子の「令和の共働き婚」」
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婚活サイト「キャリ婚」を主宰する川崎貴子さんが「令和の共働き婚」をテーマにそれぞれの分野で活躍するプロと対談する連載。第1回目のゲストは、夫婦別姓訴訟でも注目された「サイボウズ」社長の青野慶久(あおの・よしひさ)さん(48)です。全3回。

社会が変わっていくのを見るのが面白い

川崎貴子さん(以下、川崎):先の参院選でも選択的夫婦別姓は争点の一つになりました。青野さんの夫婦別姓訴訟を見ていて感じたのですが、行動することで世論も動くし、社会が変わっていくんだなあと実感しました。

青野慶久さん(以下、青野):いろいろな人が注目してくれて、世論も随分動きましたし、今は政治家も動きまくってますからね。そうやって社会が変わっていくのを見るのが楽しいし、面白いですし、自分の生きがいの一つにもなっている気がします。

選ぶのは「悪いこと」と思わされている

川崎:一方で社会や会社にイノベーションを起こしたい、変えたいと思ってもなかなか変わらないと思うことも事実で。イノベーションを阻むものがあるとしたら、それは何だと思いますか?

青野:僕は小さい頃からの「成功体験の積み重ね」だと思います。

例えば、日本では一律に6歳か7歳で小学校に入りますよね。でも中にはものすごく勉強が得意な子もいれば苦手な子もいる。算数が得意な子もいれば、国語が得意な子もいる。「国語は3年生だけど、算数は1年生の授業を受ける」という子がいてもいいと思うんです。でも、日本の教育は一律にみんなで同じことをやってそれに沿っていくことがよしとされている。

宿題も、自分で「これをやりたい」と選択するのではなくて、先生から与えられた宿題をやる。与えられたことをきちんと実行すれば、先生や大人から褒められるけれど、「この宿題は簡単すぎて嫌」とか「今日は釣りに行きたいから嫌」と言うと「ダメなやつ」という烙印(らくいん)を押されるんですよね。

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川崎:もしかしたら釣りの才能があるかもしれないのに……。

青野:自分が選択したい選択肢を選ばせてくれないし、選ぶことは「悪いこと」で、与えられた選択肢に応じることが「良いこと」と、子供の頃から訓練される。だから、選ぶことに消極的になってしまって主体的になれないのだと思います。

川崎:それなのに社会に出て、急に「君の意見は?」「過程はいいから、結果を出して」と言われても、出せないですよね。

青野:いきなり「あなたは何をしたいの?」と言われても、「え?」となりますよね。それに子供の頃から、先生の顔色を見ながら生きてきているから他人の目が気になって仕方がない。

川崎:正解の答えを導き出すのはうまいんですよね。そんな環境で、天才やイノベーターなんて育つはずはないですよね。得意なことを磨く、個性を伸ばすという教育は一切なされてないんですから。

青野:企業側にも問題があると思います。企業や社会から「もっと尖った子をください」というリクエストが出ていれば、教育も変わっていくと思うのですが、今の日本の経営者たちは一律に「朝9時に来て2時間残業して帰れ」「男はこう働け」「女はこう働け」というように、枠を作って枠にハマる人しか採用しない。

「国語しかできない人でもいいです」「もっと尖った人がいいです」とどんどんリクエストすべきだし、どうせ会社の中で石垣みたいに組み合わせるので、すべてにおいてできる人を求めなくていいはずなんです。そういう意味で、企業も変わらないといけないし、教育の現場も変わらないといけないと思います。

サイボウズも今でこそ「100人100通りの働き方」と言って多様性を大事にしていますが、昔はブラックな働き方をしていたんです。

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川崎:どうやって改革したのですか?

青野:企業が変わるには中間の動かない層を変えないといけないのですが、なかなか変わってくれない。多様な働き方を取り入れよう、と方針転換しようとしてるのに、「そうは言ってもうちの部は変える気はありません。朝8時半に出社して、日経新聞の読み合わせからスタートします」という部署があったんです。

川崎:読み合わせ!

青野:そういうときにきちんとイエローカードを出してあげるのが経営者として、大事だと思います。「次に同じことをやったら部下を外すよ」と。それでも同じことをやったら、その社員の部下を全員外す。そのくらいやって、本気で変わる姿勢を示さなければと思います。

川崎:言っているだけじゃ無理ですね。

青野:だから、「変わらない」と嘆いている会社があるのだとしたら、トップの気合が足りないのだと思います。本気でやろうと思ってない。

川崎:男性の育休の話も、啓蒙だけでは限界だと思います。「やろうね」と言っているだけではダメで、会社側で評価するなり何かにつながらないと……。

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秘書はなし、予定は全社員に公開

川崎:私は青野さんのFacebook投稿を日頃から見ているのですが、ご自身のマネジメントがすごく上手なんだなあと。ハードワークな上に訴訟も抱えて子育てもして……いつもすごいなと思って拝見しているのですが、どうやってご自身をマネジメントしているんですか?

青野:基本的には効率重視だと思います。実は、僕には秘書はいないんですよ。

川崎:それはなぜ?

青野:秘書を入れたら、効率が上がるような気がするじゃないですか。でも上がらないんです。なぜならワンクッションあるから、ボトルネックが発生するんです。言い換えると、社員全員が僕の秘書なんです。

僕のスケジュールは全員に公開しているので、誰もが予定を入れられる。もっと言うと、僕が介入しなくても、勝手にみんなで話し合って、僕のスケジュール調整してくれるんです。めっちゃ効率良いですよ。

家事は得意なほう、好きなほうがやる

川崎:家族の予定や情報もそうやって共有しているんですか?

青野:一応、共有していますが、僕は家庭では「兵士」なので、妻に言われるまま「分かりました!」とモードチェンジします。そこは何も考えないほうが早いんですよ(笑)。

川崎:共働きだと、相手のスケジュールが分からないと、すごくリスクなんです。そこに子供の予定も入ってきて、学校とか習い事とか始めると、もう訳が分からなくなる。それらをいかに共有するかが大事で。夏休みも習い事はいつあって、いつ休みで、いつお弁当が必要で……と、とても天才じゃないと無理だなと思います。

青野:いや、大変ですよね。川崎家はどうやって決めているんですか?

川崎:うちは家事は分担ですが、夫のほうが自由度が高いので、娘たちの学校のことは全部やってくれますね。私は夫から「君は、旗振り当番だけたまにやってくれ」と言われています。

保護者会やPTAなど、娘の学校の昼の行事は夫に任せています。私はめったに顔を出さないので娘の同級生の間で「レアママ」と呼ばれています。たまに運動会とかに行くと「レアママ来てたよ」「レアママ見つけたよ」とポケモンみたいな感じで言われています(笑)。

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青野:前回も言いましたが、みんなが納得して選んでそう決めたのなら、共働きもいろいろな形があってそれでいいんじゃないかなと思います。

川崎:共働きと言うとよく「家事は折半ね!」とイーブンなことにすごくこだわる人もいるのですが、それは絶対に無理だなと思います。すべてを真っ二つに5割・5割でなんてできない。

青野:好き嫌いや得意・不得意もありますからね。

川崎:うちは11年目にして、家事や家のことは好きなほう、得意なほうがやったほうが効率がいいことに気付き、ようやく落ち着きました。

青野:うちもそこは試行錯誤ですね。

【第1回は…】姓も生き方も選べる社会に…100人100通りの家族の形がある

※次回は9月28日(土)公開です。

(構成:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:大澤妹)

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川崎貴子の「令和の共働き婚」

人生100年時代。私たちの母親世代とちがい、結婚したら共働きが当たり前になった「令和」の時代。婚活サイト「キャリ婚」を主宰するなど、1万人以上の女性の人生をマネジメントしてきた会社経営者の川崎貴子さんが、「令和の共働き婚」をテーマに有識者と対談し、自分たちらしい結婚や家族のかたちについて考えていきます。

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