『ソロエコノミーの襲来』インタビュー第4回

わたしの中にたくさんの自分がいる…寂しさや欠落感を抱える貴女に伝えたいこと

わたしの中にたくさんの自分がいる…寂しさや欠落感を抱える貴女に伝えたいこと

「孤独」と聞くとどんなことをイメージするでしょうか? 「老後、独りぼっちになるのが怖いから結婚したい」「友達が少ない私は孤独でかわいそうなのか?」と思っている人もいるかもしれません。

このほど、独身研究家の荒川和久さんが『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックス)を上梓しました。

荒川さんは「精神的に自立した価値観を持つ人=ソロ」と定義し、「ソロで生きる力とはつながる力である。それは、他人とつながるだけではなく、自分ともつながることであり、そのつながりは、強く継続的なものである必要もなく、一瞬でもいい」と提唱しています。

他人はともかく自分とつながるってどういうこと? 結婚していればソロじゃない? つながるのは一瞬でもいいの? 荒川さんに5回にわたってお話を伺いました。

【第1回】「まずは自撮りしてみよう」自己肯定感を高めたい貴女に伝えたいこと
【第2回】SNSでもリアルでも友達はたくさんいるのに“孤独”を感じるのはなぜ?
【第3回】たまには損得で動いてみたら? 世の中にあふれる「正しさ」が息苦しい貴女へ

「好きなもの」は無理に見つけなくていい

——第2回目で、つながり方の一つとして本のような好きなものを起点にして人とつながるっておっしゃってましたけど、「自分の好きなことが分からない」って言われる場合も多いです。

荒川:好きなものがなければないでいいんじゃないですか?

——無理に見つける必要はない?

荒川:好きっていう感情がわかないのに、理屈で好きになったってそれは嘘じゃないですか。後付けなんで。

若者に対して、「好きなものを見つけよう」「好きなことを仕事にしよう」と言ってるってことは、そっくりそのまま、定年後のおじさんに対して「趣味を見つけましょう」「お仲間を見つけましょう」って言ってることと同じことですよ。だって、趣味って見つけるものじゃなく、気付いたらやっているものじゃないですか。

——他人から「やめなさい」って言われても、やり続けちゃうのが趣味ってことですか?

荒川:そうそう、老後が寂しくならないように趣味を見つけましょうって言っている人がいるけど見つけなくていいんですよ。そんなものは。

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自分の中にもたくさんの自分がいる

——見つかったらラッキーくらいの感じでいいんですか?

荒川:見つかったらラッキーというか、趣味を見つけるのではなくて、前も話したように欠落感とか寂しさを感じてるのは、結局、自分の中に多様な自分が足りないってことなんで、趣味を見つけるうんぬんの前に、「人とつながる」とか「自分とつながる」という助走を忘れないでほしいんです。

人とつながり、お話をすることによって、「この人はこういうことが楽しいんだな」とか「何か違うなあ」とか、いろいろあったりするじゃないですか。別に何にも響かない場合もあるけど、すぐに響くものなんてそうそう見つからないし、そんな都合のいい話はなかなかないので。

僕自身の多様性の考え方は「みんなちがって、みんないいよね」っていう多様性じゃないわけですよ。

「みんなちがって、みんないい」の前に、「あなたの中にも違ってる自分がいっぱいいるんだよ」ってことに気付くってことなんですね。それに気付けば、「みんな違ってみんないい」なんて当たり前じゃないですか。だって、自分だっていっぱいいるんだから、他の人もそうだよねって納得できます。

自分の中にもたくさんの自分がいるっていうことに、多くの人が気づき始めたら、自然と人それぞれの多様性への理解なんてついてくるものだと思います。

わたしの中に「男性」も「女性」もいる

——自分の中に多様性があるって、自分の中にもいろいろな弱さや強さがあるよっていうことにつながるかなって思ったんですけど。

荒川:強さもあるし、弱さもある。矛盾する人格もあるし、黒である自分も白である自分もいるし、ジェンダー的な話でいうと、男っぽい自分も女っぽい自分もいる。

要するに、「あなたはこういう人だよね」っていう1か100の人なんていないわけです。全部何%ずつかいるし、そういう人間がいっぱい自分の中にいるわけです。それは人によっても出し方を変えてるしね。

——人によって出し方を変えるというのは?

荒川:厳格な上司の前では従順な部下っていう自分がいるし、部下の前では横柄な上司になってる場合もあるわけです。

あと、くだらない話だと、会社ではすごい頼りがいのある上司を演じてるクセに、家に帰るとネコ語を使うオッサンとかもいるわけです。そういういろいろな自分を出し分けることによって、本人はバランスを取ってるわけですよ。

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——そういえば友人が「仕事関係の人とは絶対恋愛しない。なぜなら、恋人の前での自分と仕事のときの自分は違うから」って言っていました。まあ、どれも自分なんですよね。確固たる自分がいると思っちゃっているけれど。

荒川:唯一無二の確固たるアイデンティティっていう言葉がそうだよね。

——一時期はやりましたね。「本当の自分」を探しにみんなインドに行っていました。

荒川:インドに行って本当の自分が見つかるんだったら、探しに行ったあなたは誰なんだ? って思いますけど(笑)。

※第5回は6月26日(水)公開です。

(聞き手:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)

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