その症状、貧血かも…漢方専門医に聞く、漢方薬の選び方

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その症状、貧血かも…漢方専門医に聞く、漢方薬の選び方

倦怠(けんたい)感がひどい、頭がくらくらする、息切れが激しい、顔色が悪いと言われる……。

女性に多い症状ですが、漢方専門医で臨床内科専門医、また消化器内視鏡専門医でもある吉田クリニック(大阪府八尾市)の吉田裕彦院長は、「貧血が原因かもしれません。放置すると、年齢とともに症状が重くなって最悪は昏倒や心臓発作にいたるケースがあります。軽度のうちにケアをしましょう。対策には漢方薬という選択しもあります」と話します。

貧血の症状や原因と対策について、詳しく聞いてみました。

ヘモグロビンが減少して酸素不足になる

——まず、貧血とはどのような状態を言うのでしょうか。

吉田医師 貧血とは、血液中の赤血球や赤血球に含まれるヘモグロビンの量が正常値よりも少ない状態を言います。具体的には、ヘモグロビンの数値が女性は12.0g/dl以下、男性は13.0g/dl以下の場合に貧血と診断します。

貧血の度合いと症状の程度には個人差があり、特に自覚症状がないのに血液検査で貧血であることが分かる人もいます。

——どういった症状が現れるのでしょうか。

吉田医師 ヘモグロビンは酸素を運ぶ役割があります。減少すると脳や体が酸素不足になり、動悸(どうき)や息切れ、体のだるさ、食欲がない、めまいや立ちくらみ、肩こり、腰痛、手足の冷え、不眠、皮ふやツメの異常、イライラなどの症状が現れます。

赤血球やヘモグロビンの減少を放っておくと、必要な酸素が全身に行きわたらずに、心臓に大きな負担をかけることになります。

——原因はどういったことでしょうか。

吉田医師 赤血球を作るのに必要な鉄、ビタミンB12、葉酸(ようさん)などの栄養素が不足すること、また、出血性胃炎、痔、月経による出血過多などによる失血や、白血病やがんなど重い病気が原因の場合もあります。

——貧血がどういう状態なのかが分かりました。重い病気ではない場合、自分でケアする方法はありますか。

吉田医師 まず、食事による栄養のバランスに注意することが重要です。女性の貧血で一番多いのは、鉄が不足した鉄欠乏性貧血です。日本人の貧血患者の約7割、女性全体の1割が該当すると言われています。

女性は、月経、妊娠、授乳などがあり男性の1.5~2倍程度の鉄分が必要になります。また、ビタミンB12やビタミンB群の一種である葉酸(ようさん)の不足による貧血もよく見受けられます。

これらの栄養素は赤血球を作るのに必要で、食事で補うのが理想です。

鉄は、牛肉、レバー、大豆、カツオなど赤身の魚に多く含まれます。また、鉄の吸収を高めるビタミンCを緑黄色野菜でとるようにしましょう。

ビタミン12はレバー、魚介類、チーズ、卵に、葉酸はホウレンソウ、アスパラガス、ブロッコリー、納豆などに多く含まれます。

貧血をまねく、また悪化させる原因には、過度なダイエットや激しい運動、睡眠不足、ストレスがなどがあります。これらを避け、栄養のバランスが良い食事を1日3回食べ、良質な睡眠を得られるよう、まずは生活習慣を見直してください。

——貧血を病院で診てもらうとき、西洋医学と漢方医学では対処法が異なるのですか。

吉田医師 西洋医学の場合、病変がなければ、不足している栄養素に合わせて、鉄剤、ビタミン剤、葉酸などを処方します。

漢方医学では、体質やそのときどきの状況を「気・血(けつ)・水(すい)」という「体を構成する要素」でとらえます。貧血は「血」が不足した「血虚(けっきょ)」と呼ぶ状態と考え、主な症状と不調、たとえば先ほどお話した貧血に伴う動悸、息切れ、倦怠感、肩こり、イライラなども診た上で、体質や体格と考え合わせてその人に合う薬を処方します。漢方薬は多種の生薬を組み合わせているため、複数の原因や症状に、ひとつの薬で対応します。

体力と症状を考え、最も適した漢方薬を選ぶ

ではここで吉田医師に、貧血を改善する漢方薬を教えてもらいましょう。

「紹介する薬はどれも、栄養素の吸収力を高めるために胃腸の働きを強くする、造血を促す、血流を改善するといった作用があります。また、貧血とともに、たとえば頭が重い、胃腸が不調、睡眠の質が悪い、月経異常がある、精神不安があるといった症状も考え合わせて選びましょう。これらは市販もされています」と吉田医師。

<十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)>
体力が標準より弱く、貧血、疲労倦怠、食欲不振、手足の冷え、寝汗、病後・術後の体力低下などがある場合に向きます。

<当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)>
体力が標準より弱く、貧血、冷え性、月経異常、下腹部痛、めまい、立ちくらみ、肩こり、耳鳴り、動悸、更年期障害、頭重感、腰痛、足腰の冷え、むくみ、疲労倦怠がある場合に向きます。

<人参養栄湯(にんじんえいようとう)>
体力が虚弱で、貧血、疲労倦怠、食欲不振、胃腸の消化力の低下、寝汗、手足の冷え、病後・術後の体力低下などがある場合に向きます。

<加味帰脾湯(かみきひとう)>
体力が虚弱で、顔の血色が悪い人の貧血、動悸、不眠、倦怠感、精神不安などがある場合に向きます。

<六君子湯(りっくんしとう)>
体力が標準より弱く、食欲がない、みぞおちがつかえる、疲れやすい、貧血、手足が冷えやすい、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、おう吐などがある場合に向きます。

薬の選びかたに迷った場合について吉田医師は、「一度、医療機関を受診して貧血の状態を確認し、適切な薬を相談しましょう。どうしても時間がないなどの場合は、薬局薬店に常駐する薬剤師に相談してください。また、市販の薬を2週間ほど服用しても改善が見られない場合は、別の病気が隠れている場合があるので必ず医療機関を受診しましょう」と呼びかけます。

貧血の対策にはまず症状を自覚して貧血かもと疑い、放置せずに食事と睡眠の習慣を見直そう、ということです。そして、症状の改善に漢方薬を試す方法があることも分かりました。自分に合った薬を選び、貧血と向き合うようにしたいものです。

(取材・文 小山田遥/ユンブル)

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