脱・頭痛持ち…タイプ別症状とセルフケア/第9回 

目の奥がえぐられるような痛み…「群発頭痛」の特徴は【脳神経外科専門医に聞く】

目の奥がえぐられるような痛み…「群発頭痛」の特徴は【脳神経外科専門医に聞く】

「脱・頭痛持ち…タイプ別症状とセルフケア」と題し、脳神経外科専門医でいのうえクリニック(大阪府吹田市)の井上正純院長に連載でお話しを聞いています。日本の頭痛持ちは推計4,000万人、このうち片(へん)頭痛で悩む人は1,000万人にものぼること、頭痛の種類、緊張型頭痛や片頭痛の特徴、女性に多い理由、特効薬と予防薬などについて紹介してきました。

今回・第9回は、三大慢性頭痛(緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛)のうち、激しく痛み、若い男性に多いという「群発頭痛」の特徴について尋ねます。

井上正純医師

井上正純医師

頭の片側が1~2カ月、1~2時間激しく痛む

——まず、群発頭痛という病名の「群発」とはどういう意味なのでしょうか。

井上医師:群発頭痛は、1~2カ月の間に、ほぼ毎日、決まった時間に1回につき1~2時間、激しい頭痛が起こるという特徴があります。群発地震のように一定の期間だけに起こるので、群発頭痛と呼ばれています。

——その名称からも、何やら激しい頭痛をイメージします。

井上医師:症状には、「頭の片側だけが痛む」という特徴があります。患者さんの中には、「片方の目の奥がえぐられるように痛む」「頭の奥をペン先でぐりぐりと刺されているような痛みだ」と訴える人が少なくありません。

——目の奥がえぐられるような痛み…それはとてもつらいと思います。すると、目の症状もあるのでしょうか。

井上医師:あります。痛む方の目が真っ赤に充血する、涙がぼろぼろとあふれ出る、瞳孔(どうこう)が縮む、鼻水も出る、額に発汗がある、側頭部やあご、歯の痛みなどの症状を伴うこともあります。夜間や明け方に起こりやすいこともわかっています。

かなり苦しい痛みで、三大慢性頭痛の中でももっとも痛みが激しいといわれます。ただ、1~2時間すると、自然に痛みが消失するのも特徴のひとつです。また、群発期は1回でおさまることもありますが、半年から2年おきにくり返すケースも少なくありません。

——片頭痛は女性に多いということでしたが、群発頭痛は性別や年代別に多いという特徴はありますか。

井上医師:「20歳~40歳代での発症」が多く、「男性が女性の3~7倍」と報告されていて、加齢とともに患者数は減っていきます。これは群発頭痛の大きな特徴といえます。

——片頭痛も激しい痛みがあるということでした。では、群発頭痛と片頭痛を見分けるには、医療機関では、患者さんの性別や年代で判断されるのでしょうか。

井上医師:片頭痛は女性に多いですが、群発頭痛は若い男性に多く、お話ししたように痛み方が極めて特徴的です。その群発頭痛の特徴には、「7つの1」があるともいわれています。

「1年に1度くらい。1日1回、ほほ決まったような時刻に、一方(片側)にえぐられるような強い頭痛発作が、毎日約1時間1カ月程度続く」です。患者さんに問診をして、これらの特徴などを踏まえて診断します。

目の奥にある太い血管が拡張して痛む

——なぜそれほどに激しい痛みが起こるのでしょうか。原因はわかっていますか。

井上医師:発症の原因やメカニズムは明らかにはなっていませんが、何らかの刺激によって目の奥にある頸(けい)動脈という太い血管が拡張し、周囲に炎症が生じて神経を刺激するために起こると推察されています。第5回 (ズキンズキンと痛む片頭痛のメカニズムは? 知っておきたい痛みの引き金)でお話しした脳の視床下部(ししょうかぶ)という部分や、頭部に分布する三叉(さんさ)神経が関係しています。

毎日ほぼ同じ時間帯に起こるのは、視床下部が調整する体内時計が影響していると考えられています。三叉神経とつながる副交感神経が興奮するために、涙や鼻水を伴います。

——そんなに激しい頭痛が起こったらどうすればいいのでしょうか。

井上医師:初めてこのような頭痛に見舞われるととても驚かれると思います。可能な限り早めに、脳神経外科、脳神経内科(神経内科)、頭痛外来などの医療機関を受診してください。

とくに、これまで紹介したような特徴ではない場合、例えば、痛みが片方だけではない、涙や鼻水が出ない、1~2時間しても症状が良くならないといった場合は、脳出血や脳梗塞(こうそく)、くも膜下出血など命にかかわる危険な病気の可能性もあり、とくに注意が必要です。

——市販の鎮痛薬を試してみるのはどうでしょうか。

井上医師:群発頭痛の場合は、市販の鎮痛薬では改善が期待できません。そのため、逆に考えると、市販の鎮痛薬を試しても効かない場合は、群発頭痛や、これまでにお話しした片頭痛、また危険な脳の病気の場合もあるということです。こうした場合は早めに受診してください。

脳のMRI検査(磁気共鳴検査)などを行ったうえで群発頭痛だとわかった場合は、医療機関で処方される治療薬をはじめとする治療法があります。

聞き手によるまとめ

群発頭痛は1~2カ月の一定の期間、夜間や明け方などに1~2時間ほど毎日続き、20歳~40歳代の男性に多いこと、その痛みは激しく、片方側だけに起こること、また痛みと同時に目の充血や涙、鼻水や鼻づまり、額に発汗なども片方だけに現れることが多いなど、特徴がはっきりしているということです。その治療薬、治療法、日常生活で注意したいことやセルフケアについては次回にお尋ねします。

(構成・取材・文 藤井 空/ユンブル)

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