脱・頭痛持ち…タイプ別症状とセルフケア/第8回 

「頭痛ダイアリー」をつけてみよう…片頭痛のセルフケア 【脳神経外科専門医に聞く】

「頭痛ダイアリー」をつけてみよう…片頭痛のセルフケア 【脳神経外科専門医に聞く】

片頭痛で悩む読者から、「おじぎをすると頭が痛むのは片頭痛の特徴だとか。一生、おじぎをしないほうがいいですよね? ほかに自分でできるケアはありますか」(31歳女性)、「台風、長雨、梅雨のときには片頭痛が悪化します。予防薬を飲んだほうがいいですか」(27歳女性)などの声が届いています。

日本の頭痛持ちは4000万人、このうち片頭痛で悩む人は1000万人と推計され、片頭痛はとくに、10代後半~50歳ぐらいの女性に多いことがわかっています。その特徴やケアについて、脳神経外科専門医でいのうえクリニック(大阪府吹田市)の井上正純院長に連載でお話しを聞いています。

これまでの記事、「片頭痛の特徴と見分ける方法」「片頭痛が女性に多い理由」「ズキンズキンと痛む片頭痛のメカニズムは? 痛みの引き金は?」「片頭痛の治療薬は」「予防できる新薬が保険適用になった」は文末のリンク先を参照してください。

井上正純医師

井上正純医師

おじぎ、階段…どの動作で片頭痛が起こるのか知っておく

——第3回で、「おじぎのかっこうや、階段をトントンと降りるときに頭痛がすると片頭痛だろう」というお話しがありました。冒頭の31歳女性のように、片頭痛の人の中には、「おじぎをするのが怖い」という人がいます。

井上医師:おじぎだけではなく、片頭痛は、頭や体を動かすときに生じる振動で悪化します。「緊張型頭痛」(第2回参照)との違いや、頭痛のタイプを判別する方法にもなります。

中には、「おじぎをしそうになるだけで痛い」と、実際にはおじぎをしていないのに痛むといった過敏な反応を覚える方もいます。自分にとって、どのような動作が片頭痛の誘因となるかを知っておき、避けるようにしましょう。

片頭痛の最中のセルフケアは

——片頭痛のセルフケアとして、まずは、頭痛の最中に自分で軽減できる方法はありますか。

井上医師:頭痛の最中には、これまで話した「片頭痛を悪化させる要因」を避けることです。次のようなことに注意があります。

・前述のように、頭や体を動かさないようにしましょう。

・光、音、におい、人混み、騒音などの刺激が誘因となるため、これらを避けて、静かな暗めの照明の部屋で安静にします。大きな音が苦手であれば耳栓やイヤホンをしてください。蛍光灯の白色光は片頭痛を悪化させ、緑色は和らげるという報告があります。白い壁紙などで起こりやすくなるケースもあります。光が苦手な人は遮光カーテンにする、また外出時には帽子やサングラスを着用しましょう。

・冷たいタオルなどで痛む場所を冷やしましょう。

・薬を飲んで、可能なら仮眠をしましょう。

・片頭痛発作時の熱い温度での入浴は、血管が拡張して血流が促され、痛みが増大します。片頭痛の予兆があるときなどは、さっとシャワーだけにしておきましょう。

片頭痛の予防のためのセルフケアは

——次に、片頭痛が起こる前に、予防として自分でできることはありますか。

井上医師:予防こそが重要です。次のことを試みてください。

・「頭痛ダイアリー」をつける…「日本頭痛学会」では、ダイアリーのフォーマットをネットで公開して、記録することを勧めています。痛みがいつ、どこで何をしているときに、どのように、どれぐらいつづいたかを、簡単に記述することができます。

ダイアリーの利用が面倒な場合は、スマホのカレンダーや日ごろ使っている手帳にさっと記述するだけでもOKです。目的は、記録することで自分の体調を見つめることができて、規則性や特徴が見えてくることにあります。そうすると対策がとれるでしょう。また、受診時に医師に見せてください。診察上の重要な資料となります。

日本頭痛学会 ウェブサイトより

・「頭痛体操」を実践する…第2回で紹介しました。日本頭痛学会のサイトからダウンロードすることができます。この体操は、頭痛がないときに行ってください。

・ウォーキング、ヨガ、サイクリングなどの有酸素運動をする…1日20~30分ほど。頭痛がないときに行ってください。

・ストレスをためない…片頭痛の場合は、ストレス時だけではなく、ストレスから解放されたときに起こる、という研究結果があります。いずれにしろストレスは大敵です。自分に合った方法でストレス解消を目指しましょう。

・睡眠の充実をはかる…日ごろ、睡眠不足ではないですか。約7時間は寝るようにして、もし寝つきが悪い、夜中に目が覚める、熟睡できないなどがある場合は、医師に相談してください。

・休日でも起床、就寝時間のリズムを平日と同じにする…「週末頭痛」(第5回参照)を避けるためです。寝不足でも寝すぎでも誘因となります。

・空腹、脱水を避ける…片頭痛にとって大敵です。空腹時に頭痛が起こる人は軽い間食をとり、空腹にならないように気を付けましょう。毎日できるだけ同じ時間に、栄養バランスが取れた適量を食べましょう。無理なダイエットは避けてください。肥満も片頭痛との因果関係の報告があります。また低脂肪食は、頭痛の回数と痛みを軽減する可能性があるかもしれないとされています。

・食事…ビタミンB2やマグネシウムを豊富に含む、大豆、豆腐、海藻類は片頭痛予防になるといわれます。

また、アルコール、赤ワイン、チョコレート、チーズ、ピーナッツ、豚肉は、片頭痛の誘因となることがあります。

ただし、頭痛を誘発する食材は人それぞれです。あまり神経質にならずに、特定の食品をとった時に頭痛が起こる場合は、その食品を避けることを頭の隅においておきましょう。それらの食品によって毎回頭痛が生じるわけではないため、無理に食事制限をする必要はありません。自分にあったし好品を適度に生活にとり入れてリラックスしましょう。

・低気圧、気温や湿度の変化…冒頭の27歳の女性のお悩みにあるように、台風、梅雨、長雨などで気圧が低下するとき、気温や湿度が急に変化するときは片頭痛が現れやすい、悪化しやすいことがわかっています。天気予報を確認し、気象が変化する前に医師に相談して予防薬を飲む、また、予定を調整するなどしましょう。

片頭痛の誘因には個人差があります。自分にあてはまるものがないか、頭痛の起こる状況を見直し、可能な限り誘因を避けて予防につなげましょう。

聞き手によるまとめ

片頭痛のセルフケアとして、痛みが起こっている最中や、日ごろの生活習慣を見つめて改善する予防法がいくつもあることがわかりました。すぐにできることから試したいものです。次回・第9回は群発頭痛の特徴について尋ねます。

(構成・取材・文 藤井 空/ユンブル)

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