『脱!しあわせ迷子』後編

この国、やっぱり普通じゃない【脱!しあわせ迷子】フィンランド編

この国、やっぱり普通じゃない【脱!しあわせ迷子】フィンランド編

常にトライアンドエラーを繰り返す

理想って、実現するんだな。

しかも、国家という大きなレベルで。やればできる、ということなのかも……。

もちろん社会課題はまだまだあるが、同じ地球上に、数十年ほど時が進んだような場所があることを不思議に感じながらも、お手本にできる宝を探し当てたような気分だった。「日本も変われないかな。何が違うんだろう」そんなことを思いながら過ごしていると、それがわかった瞬間があった。

私がフィンランドの先生と話をしているとき、「素晴らしい教育ですね。うらやましいです」と言ったら「何を言ってるんですか ! まだまだ課題だらけです !」と勢いよく返されたのだ。

さらには隣の日本人女性と、ああでもない、こうでもないと私を目の前にして教育についての議論をし始めた。私は驚きと同時に、「なるほど、そういうことか……!」と納得した。

よりよいもののために、常にトライアンドエラーしながら進み続けること。それが、フィンランドの教育が世界一であり続ける理由だった。

フィンランドは「いいと思ったことはやる、できる社会」だ。一方日本では、おかしいから変えるべきだと思っても出る杭は打たれる文化が意見さえ言えなくしてしまう。

しかしこの国では、誰かは必ず「おかしい」と発言し、誰かが行動をするのだ。もちろん国民の賛否両論はあるが、改善を重ねながらも前に進み続けるからこそ世界が追いつくことのできない社会ができあがるのだ。

そう考えると、高い幸福度は当たり前なのかもしれない。実はとても真面目な国なんじゃないか、と思った。

日本にとって理想的な部分は多い。少しでも近づくことができればと思うが、どうしたらできるだろう。

日本には、昔から変わらない社会制度や国民性などがあるし、全てが影響しそうなため、相当難しそうだ。これら全体を統括するトップの力はとても重要だ……。
また、北欧がチャレンジしやすい国家である一つの理由は人口が少なく、小回りが利き動きやすいことがある。そうなると、日本は都道府県単位で動いたほうがいいのではないか。

そんなことを考えていると、日本の選挙のニュースがケータイに流れてきた。30%台の投票率、変わらない社会。小さなため息が出た。

さすが、世界幸福度ランキング(国連)ナンバーワンのフィンランドだ。何度来ても、新しい発見をたくさんくれる。それくらい先の時代を行く、素晴らしい国だ。まさしく、私が思い描く理想の社会。

これから、さまざまな国を訪ねて、この国以上の幸福国はあるのだろうか? もしかして、1 カ国目がピークの可能性も……。

堂原さんの旅の続きは、『脱!しあわせ迷子 世界の幸福国を旅して集めた幸せのヒント』(いろは出版)で。

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