映画も台湾がブーム? この夏オススメの6本

映画も台湾がブーム? この夏オススメの6本

台湾風の朝ごはんを出す店や“台湾風からあげ”の鶏排(ジーパイ)といった庶民派グルメを楽しめる店が続々オープンし、コンビニの棚にもカステラや豆花(トウファ)など台湾発のスイーツが並ぶなど、最近の日本はちょっとした台湾ブーム。

フォトジェニックでどこか懐かしい街並み。親日家が多いという友好的なイメージ。コロナ対策でも優秀で、その立役者と言われるデジタル担当大臣オードリー・タンが雑誌やテレビで取り上げられたことも記憶に新しいのでは?

実はこの夏、映画館でもタイプの異なる台湾映画が立て続けに劇場公開されます。ラブストーリーあり、歴史あり、ホラーあり。そこで、台湾映画をまとめてご紹介。「かわいい!」「おいしい!」「癒やされる!」だけでは終わらない台湾の姿も透けて見えます。

誰かがあなたを愛している『1秒先の彼女』

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最初にご紹介するのは『1秒先の彼女』(チェン・ユーシュン監督)。「もっと自分を愛してあげよう」と優しい気持ちになれるラブコメディです。

仕事はぱっとせず、恋人もいない。おまけに何をするにもワンテンポ早いシャオチーは、周りから少し浮きがち。

ある日の仕事帰り、公園で高齢者にダンスを教えているイケメン講師と出会い、「七夕バレンタイン」(旧暦7月7日。台湾では「七夕情人節」と呼ぶ)にデートをする約束をします。舞い上がるシャオチーですが、デート当日、目が覚めるとなぜかバレンタインの1日が終わっていて、顔にはやけどしたようなヒドイ日焼けが……。いったい、何が起きたのか?
人と違う自分を卑下しなくていい。きっと誰かがあなたを見守っていてくれるから――そんなポジティブなメッセージを持った作品です。

『1秒先の彼女』
公開中
監督・脚本:チェン・ユーシュン
配給:ビターズ・エンド 
コピーライト:(C)MandarinVision Co, Ltd 

台湾で大ヒット、歴史の闇を描いた学園ホラー『返校 言葉が消えた日』

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次に紹介する『返校 言葉が消えた日』(ジョン・スー監督)は、2019年に台湾で台湾映画ナンバー1となる大ヒットを記録したミステリー。大ヒットホラーゲームを映像化した作品で、しっかり怖がらせにきます。

特筆すべきは、そのテーマ性。

台湾では、二・二八事件が起きた1947年以降、87年に解除されるまでの間、国民党の独裁政権のもと戒厳令が敷かれていました。その間に政府が反体制派に行った政治的弾圧を「白色テロ」と呼んでおり、この映画は、そんな台湾の負の歴史を背景としたお話です。

内容は、自由をうたう本を読むことも罪とされた時代に、自由を求めて闘う高校生たちが粛清されていくというショッキングなもの。しかし、歴史の汚点をまるっとエンターテインメントの題材にして大ヒットさせてしまえるところに台湾社会の健全さを感じます。ドラマ版も制作されていて、日本でもNetflixで見ることができます。

『返校 言葉が消えた日』(R-15+)
7月30日(金) TOHOシネマズシャンテほか全国公開
監督:ジョン・スー
配給:ツイン
コピーライト:(C)1 Production Film Co. ALL RIGHTS RESERVED.

阿部寛出演のミステリアスなラブストーリー『夕霧花園』

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歴史という切り口でもう1本。マレーシアの作品ですが、『九月に降る風』(2008年)など日本の映画好きの間でもファンの多い台湾のトム・リン監督最新作『夕霧花園』をご紹介します。阿部寛さんを主演に迎え、マレーシアの歴史の闇に光を当てています。

現在のマレーシアとシンガポールは、第二次世界大戦中、イギリス領マラヤと呼ばれていました。1942 年に日本軍がマラヤを占領すると、イギリス軍は退却。1945年までの3年間、マラヤは日本軍に支配されます。

戦時中のむごい経験から日本軍に恨みを持つマレーシア華僑の女性ユンリンと、マレーシアのキャメロンハイランドで造園作業をしている謎めいた日本人庭師・有朋の関係を描いたラブストーリー。日本人としては考えさせられる描写が多い作品ですが、謎めいた展開と、しっとり潤んだような映像美は、見る者を映画の世界に浸らせてくれます。

中華圏のアカデミー賞とも言われる第56回台湾金馬奨で最優秀スタイリングデザイン賞を受賞した衣装やヘアメイク、インテリアにも注目。日本ではコミカルなイメージが強くなってしまった阿部寛さんのミステリアスな演技も必見です。

『夕霧花園』
7 月 24 日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
監督:トム・リン
配給:太秦
コピーライト︓ (C)2019 ASTRO SHAW, HBO ASIA, FINAS, CJ ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED

家族をつくるのは「血」ではない『親愛なる君へ』

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アジアで初めて同性婚が法制化されるなど、LGBTQの権利を守る動きが進んでいる印象のある台湾。それでもなお根強く残る差別や偏見を浮かび上がらせた『親愛なる君へ』(チェン・ヨウジエ監督)は、改めて誰かを愛することの本質を見つめた作品です。

糖尿病を患う年老いた女性シウユーと、その孫のヨウユーの世話をしているリン・ジエンイーは、2人とは血のつながりのない間借り人。それでも献身的に尽くすのは、2人が亡き同性パートナーの母親と息子だから。しかし、シウユーが急死したことで、ジエンイーは殺人の嫌疑をかけられてしまいます。裁判であっさり罪を認めたジエンイーが守ろうとしたものは……。

家族をつくるのは「血」だけではない。愛する人の息子と、その母親との間に流れる確かな感情を細やかな演技で魅せる俳優陣がすばらしい。

『親愛なる君へ』
7⽉23⽇(⾦・祝)より シネマート新宿・⼼斎橋ほか全国順次公開
監督:チェン・ヨウジエ
配給︓ エスピーオー、フィルモット
コピーライト︓ (C) 2020 FiLMOSA Production All rights

安心できるルーティンから抜け出せない人へ『恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜』

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続いては、全編iPhoneで撮影されたことで現地でも話題になった『恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜』(リャオ・ミンイー監督)

重度の潔癖症のため、ピカピカに磨き上げた⾃宅でできる翻訳業で⽣計を⽴てる青年ボーチン。翻訳作業は早いのに、パソコンのタイピングが異常に遅くて困っています。ばい菌に触れたくないため、毎月決まった日にだけ外出し、買い物や用事を済ます彼は、ある日、スーパーで自分と同じく潔癖症で、かつ窃盗症もある女性ジンに出会います。

タイピングが早く、生活に求める条件も合致するジンと一緒に暮らすことにしたボーチン。2人なら安全、2人なら完璧。理解者がいるという安心感に包まれながら、2人だけの規則の中で暮らしていましたが、その世界が崩れ始めたことで、互いの知らない顔が見えてきて……。

パッケージはポップでも、訴えかけるメッセージはかなり骨太です。

『恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜』
8月20日(金)よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開
監督︓リャオ・ミンイー
配給︓エスピーオー、フィルモット
コピーライト︓ (C)2020 牽猴⼦整合⾏銷股份有限公司 滿滿額娛樂股份有限公司 台灣⼤哥⼤股份有限公司

番外編 いとしくて憎い女友達『ソウルメイト/七月と安生』

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最後の作品は中国が舞台。台湾映画ではありませんが、とても素敵な女性映画が限定公開されているので、番外編としてご紹介します。

自由奔放な性格の安生(アンシェン)と、優等生の七月(チーユエ)。13歳で出会い、共に大人になっていく2人の半生を描きます。

自由を求めて早くから広い世界に飛び出す安生と、生まれた街から出られない保守的な七月。放浪の末に安生は心のよりどころを求めるようになり、七月は広い世界に翼を広げたいと渇望するようになる。2人の行きつく先は……。

自分にないものを持っている親友がいとおしくて憎い。だからこそ、相手のことで頭がいっぱいになってしまう。そんな女同士の複雑な関係に共感する人は多いはず。

彼女たちの「自分探しの旅」にスケール感があるのは、広大な中国ならでは。すがすがしい感動に包まれる作品です。

ちなみに、アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた同じ監督&主演女優による『少年の君』も7月16日から公開されます。こちらもヒリヒリするような青春映画。あわせてチェックしてみてください!

『ソウルメイト/七月と安生(チーユエとアンシェン)』
全国順次公開中
監督:デレク・ツァン(曾國祥)
配給:クロックワークス 協力:大阪アジアン映画祭
コピーライト:(C)2016 JOYCORE Pictures(Shanghai) CO.,LTD. , J.Q. Pictures Limited,Alibaba Pictures Group Limited,We Pictures Ltd. ALL Rights reserved.

コロナ禍で海外旅行に行けなくなって2年目。海外に足を伸ばせない状況が続く夏、映画で旅した気分になってみませんか?

(文:新田理恵)

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