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免疫の“老化”を防ぐには? 専門家に聞いた食生活のポイント

免疫の“老化”を防ぐには? 専門家に聞いた食生活のポイント

新型コロナウイルスのワクチン接種が国内でも始まりました。3月22日に1都3県で緊急事態宣言が解除されましたが、引き続き手洗い・マスク着用の徹底と免疫力を低下させない取り組みも重要です。

免疫力の低下は、ストレス、睡眠不足、肥満などのほか、大きな原因として挙げられるのが加齢。年齢が高くなるにつれて免疫機能の働きが弱まり、ウイルスや細菌などの感染に対応しにくくなっていくとされています。

そこで、「ワクチンの効果をしっかり出すために普段から自分の免疫を整え、高めておくことが大事」と話す、大阪大学大学院医学系研究科教授の森下竜一(もりした・りゅういち)先生に、「免疫老化を防ぐためのポイント」についてお話を伺いました。

免疫のピークは20歳、40歳で半分に

——免疫には自然免疫と獲得免疫がありますが、それぞれの役割について教えてください。

森下竜一先生(以下、森下先生):わかりやすく例えると自然免疫は警察官、獲得免疫は自衛隊のような存在です。最初に自然免疫系が動き、後から獲得免疫系が動き出します。未知の悪者に対して警察がまず動き、後から武器や戦車を装備して自衛隊が立ち向かうといったイメージです。加齢と共に自然免疫系も獲得免疫系も応答が低下・劣化します。特に獲得免疫に関わる細胞が影響を受けやすく、中でもT細胞が大きな影響を受けることがわかっています。

——つまり、加齢と共に免疫も「老化」するということでしょうか。

森下先生:体力、視力、聴力が年齢と共に衰えるように、免疫も老化します。免疫力の低下は、ストレス、睡眠不足、肥満などにより起こりますが、大きな原因は加齢です。年齢が高くなるにつれて、免疫機能の働きが弱まり、ウイルスや細菌などの感染に対応しにくくなっていきます。新型コロナウイルス感染症の死亡率からもわかるように、60代から急激に高くなっていきます。

——免疫の老化はいつごろから始まるのでしょうか?

森下先生:一説によると免疫のピークは20歳と言われ、40歳では半分になると言われています。免疫老化の理由の1つに、胸腺の退化があります。獲得免疫の主役であるT細胞は、ほかの免疫細胞と違い、胸腺という臓器で教育を受けます。ところが胸腺は体の中で一番老化が進む臓器で、思春期にはすでに萎縮が進んでいます。

イワシ、豚肉、牛肉……コエンザイムQ10を摂取し免疫力アップを!

——免疫の老化を防ぐためには、どのようなことをすべきでしょうか?

森下先生:ミトコンドリアを活性化させましょう。ヒトはおよそ37兆個の細胞でできています。その細胞の中でエネルギーを作り出しているのがミトコンドリアです。いわば、細胞のエネルギー工場です。このミトコンドリアを活性化させることが、免疫老化の予防になることがわかっています。

——たとえば食生活など、日々の生活で気をつけるべきことは?

森下先生:ミトコンドリアには、還元型コエンザイムQ10や還元型グルタチオンなど、抗酸化物質に働く成分が存在し、活性酵素の害を軽減する働きがあります。ミトコンドリアを活性化させるには、バランスのいい食事を摂り、コエンザイムQ10を積極的に摂取することです。コエンザイムQ10は活性酸素の害から守るほか、ミトコンドリアを増やし元気にする働きがあります。近年、腸内環境を整えることが免疫力アップにつながるといわれて実践されている方が多いと思いますが、それと同じくらいミトコンドリアの活性化も行っていきましょう。できれば、腸活と並行すると理想的です。

——コエンザイムQ10を摂取できる食べ物を教えてください。

森下先生:イワシ、豚肉、牛肉、卵、オリーブ油、ブロッコリーに含まれます。※食事から摂取できるのはわずか5ミリグラム程度といわれていますので、機能性表示食品なども活用して、積極的に摂取していきましょう。
※Kamei M et al, I J Vit Nutr Res 56:57-63; Kubo H et al, J Food Comp Anal 21:199-210, 2008

週に2、3回の運動を続けよう

——生活習慣で気をつけることは?

森下先生:適度な運動をすると、血流が良くなります。すると免疫細胞が作られる骨髄への血液量が増えて免疫細胞の生成能力がアップします。さらに筋肉をつけることで、運動をしていない状態でも常にエネルギーを代謝して熱を作ってくれます。ちなみに体温を形成する熱の約40%が筋肉から生産されているといわれています。筋肉の減少を防ぐためには、ウォーキングより少し負荷のかかる運動を週2、3回続けることがポイントです。

また、現代人にとっての普遍のテーマともいえる「ストレス」も、免疫力を低下させることがわかっています。 適度なストレスは刺激となって意欲を掻き立てたり、あるときは目標に向かって進んでいくモチベーションとなります。しかしこのストレスが過剰になったり慢性的になると、心身に悪影響が現れ、不安やイライラ、うつ症状、意欲の低下、さらには頭痛や動機、息切れなどの症状が現れてきます。 精神的、肉体的な疲労につながっていきます。そしてストレスがたまると睡眠不足や不眠にもつながります。

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