汗のにおいをケアしたい・前編

汗を放置、汗腺の衰え…におう原因を臨床内科専門医に聞きました

汗を放置、汗腺の衰え…におう原因を臨床内科専門医に聞きました

暑い日が続き、少し外に出ただけでもびっしょりと汗をかいて、においやべたつきが気になります。臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長に、医学的に汗のにおいなど不快感の予防やケア法はあるのかを尋ねると、「普段、汗をかかない生活を送っていると、汗をかいたときににおいやすくなることがあります。まずは汗の働きとにおいの発生源を理解すると、自分でケアをしやすくなるでしょう」ということです。詳しいお話しを聞いてみました。

汗そのものに、においはない

はじめに正木医師は、汗の働きについてこう説明します。

「体温や皮膚(ふ)の表面温度が上昇したとき、脳がそれを感知し、『汗をかいて体温を下げなさい』という指令を出します。すると自律神経のひとつの交感神経が働いて全身に伝わり、汗腺(かんせん)で汗がつくられて皮膚から分泌されます。その汗が皮膚の上で蒸発するときに熱を奪い、これを気化熱といいます。こうしてヒトの体温は36度5分前後に保たれているわけです。

汗をかかずにいると、熱が体内にこもり、脳をはじめ体の組織がダメージを受けて死に至ります。発汗はヒトの体にとって正常な反応であり、欠かせない働きなのです」

汗は健康にとって重要な要素ということですね。では、なぜ汗はにおうのでしょうか。正木医師はこう続けます。

「汗そのものに、においはほとんどありません。汗を分泌する汗腺には2種類があります。サラサラとした透明で無臭の汗を分泌するエクリン腺と、ベタベタして白く濁った汗を分泌するアポクリン腺です。

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汗は、血液の成分である血しょう(血球を除いた液体)が汗腺でくみ取られてつくられます。その際、血しょう中のミネラルは再吸収されて血液に戻り、水分が汗となって皮膚の表面から分泌されます。このときの汗は無臭です。

ですが汗をかいたまま放置すると、皮膚の表面上で古い角質、あか、皮脂などと混ざり合い、常在菌がそれらを分解して酸化するために不快なにおいが発するようになります」

汗がにおう部位とその理由は

足の裏やわきは汗がにおいます。とくににおいやすい特定の部位はあるのでしょうか。正木医師は次のように話します。

「エクリン腺は手のひら、足の裏以外の全身のほとんどに、アポクリン腺はわきの下、耳の穴、乳首、おへそ、下腹部に分布します。アポクリン腺から出る汗にはタンパク質や脂質が含まれているため、汗特有のにおいを発します。その特有のにおいを不快だと感じるわけです。

また、頭や首まわり、耳の裏、わきの下、胸、背中、足は、とくに皮脂が発生しやすく、高温多湿な環境を好む常在菌が存在します。その常在菌が汗と皮脂の混合物を分解、酸化して、不快に感じるにおいを発します」

汗をかかない、加齢で汗腺が衰える

さらに正木医師は、「汗のにおいは、汗腺の衰えも関係しています」と言い、説明を続けます。

「先ほど、発汗するときはミネラルが血液に再吸収され、水分が汗として出てくると説明をしたように、汗は本来、ほとんどが水分であり、皮膚の表面から分泌されます。

ただし、日ごろから汗をかかないでいると汗腺の働きが衰えて、ミネラルがうまく血液に再吸収されなくなり、ミネラルを多く含むべたべたした汗を分泌するようになります。

すると汗は蒸発しにくくなり、皮膚の表面に雑菌が増えてにおうようになります」

では、汗腺が衰えるのはなぜなのでしょうか。

「冷房の効いた涼しい場所にずっといる、運動不足などによって汗をかかない状態が続くと、汗腺が休眠した状態になるからです。また、汗腺は体のほかの部位と同様に、年齢とともに衰えます。

とくに女性は年齢による汗腺の衰えに加えて、更年期からは女性ホルモンの分泌が減少するために異常な発汗が起こりやすくなります。また男性ホルモンの働きが優位になり、汗や皮脂の分泌が多くなります。ベタベタした汗は乾きにくいため、酸化し、においを発するようになります。

ただし汗腺が衰えても、汗をしっかりとかいて鍛えれば再び機能を高めることもできます」と正木医師。

聞き手によるまとめ

汗そのものにはにおいはないものの、汗をかいて放置すると皮脂と混じり合ったものを雑菌が分解・酸化してにおう、また、汗をかかない生活や加齢で汗腺が衰えると、ベタベタした汗が出てにおいの原因になるということです。それに不快なにおいを発する部位は、タンパク質や脂質を含む汗が分泌されるわきや下腹部、皮脂が多い頭や足などだという指摘です。

汗はヒトの生命を維持するための重要な役割があると理解したうえで、においを発しやすい部位を中心にこまめに拭き取っておきたいものです。

次回・後編は、汗腺を衰えなせないための汗腺トレーニングについて具体的に紹介をします。

(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)

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