目と目を合わせて、インタビューがしたい【菅原さくら】

目と目を合わせて、インタビューがしたい【菅原さくら】

先の見えない大変な日々が続いています。会社にも行かず、友だちにも会えず、うちの中にいると、つい”ひとり”になってしまった気がして、寂しい気持ちになることも。そこで、ウートピは「1往復エッセイ」を始めます。気になるあの人へ「最近、どうですか?」とたずね、「こちらはこんな感じです」と回答する。そんなささやかな現状報告と、優しくて力強いメッセージをお届けします。

今回は、前回の聞いた人と答えた人をスイッチ。現在放送中の『路(ルウ)~台湾エクスプレス~』(NHK総合/毎週土曜21時)に出演する、俳優の大東駿介(だいとう・しゅんすけ)さんから、菅原さくら(すがわら・さくら)さんにこんな質問が届きました。

【さくらさんへ】

さくらさんに質問です。言葉を扱う仕事を通してたくさんの言葉に出会ってきたかと思います。

今この現状の中でさくらさんの中で響いている言葉はありますか?

また、今一番なにがしたいですか?

僕は小学生以来のキャンプファイヤーを囲んでみんなでフォークダンスがしたいです。あれ、今となっては自由の象徴ですよね。いつかやりましょう。

「どこかにいるのだから、それでいい」

キャンプファイヤーを囲んでフォークダンス、最高ですね。屋外だから2密かな。みんなぺったりくっついて、いつかやりましょう!

さて、自粛の日々がはじまったころには、自分のやっていることが不要不急であると思い知らされたりもしたけれど。それでもやっぱり、私は言葉を扱うこの仕事が好きだし、天職だなぁと思っています。思い返せば本当に、たくさんの方々からたくさんの言葉を受け取って、心を揺さぶられてきました。

大東くんから「いま私のなかで響いている言葉」とテーマをいただいて。

いろんな言葉を思い浮かべたけれど、最後にふんわり残ったのは、詩です。

「彫刻刀の詩」最果タヒ

きみに会わなくても、どこかにいるのだから、それでいい。
みんながそれで、安心してしまう。
水のように、春のように、きみの瞳がどこかにいる。
会わなくても、どこかで、
息をしている、希望や愛や、心臓をならしている、
死ななくて、眠り、ときに起きて、表情を作る、
テレビをみて、じっと、座ったり立ったりしている、
きみが泣いているか、絶望か、そんなことは関係がない。
きみがどこかにいる、
心臓をならしている、
それだけで、みんな、元気そうだと安心をする。
お元気ですか、生きていますか。
きみの孤独を、かたどるやさしさ。

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』最果タヒ(2016年、リトルモア刊)

自由に人と会えなくなって、なんだか不思議な毎日ですよね。

いつでも会えたときにはわざわざ時間をつくらなかったくせに、会えないとなるとさみしかったりして。

でも、いまは会わなくても、お互い元気で「どこかにいるのだから、それでいい」と思えています。本当は「きみが泣いているか、絶望か」も気になるんだけど、とりあえずは「元気そうだと安心をする」。

いまだけは、そういう孤独もやさしさかなぁという感覚です。いつもならそれじゃだめだとか、もっと温度を感じたいとか思うけれど、いろいろすべて、命あっての物種だから。

それにしても、しっとりと冷たい夢を見ているような気持ちで、エアポケットの日々を過ごしています。頭のなかは、減ったり増えたりする仕事のこと、登園自粛でパワーを持て余す子どもたちのこと、会えない親族や友達のことで、ぐるぐる。

でも、ご多分に漏れず、餃子つつんだり春巻き巻いたり、パンやケーキを焼いたり、ピクルスを漬けたり、いまならではの暮らしも楽しんでいます。あらためて発見、わたし結構お料理が好きみたいです。大東くんはお料理するのかなぁ、聞いたことなかった気がします。

いましたいことは「目を見て会話」

もうひとつ「いま一番したいことはなんですか?」と、質問をいただきました。

わたし、相手の目を見てインタビューがしたいです。

この春から、仕事のほとんどがリモートに切り替わっています。打ち合わせはテレカンでまったく問題なし。取材も、大部分の企画は問題なく対応できます。目の前に子どものトランポリンがある我が家のリビングと、ずっとご著書を拝読してきた方の書斎がつながって、そのままお話が聞けるなんて、すごく面白いことです。

でも、ビデオ通話って、相手と永遠に目が合わないんですよね。相手の目を見るためにはモニターを見ないといけないし、私の目を見せるためにはカメラを見ないといけない。ちゃんと話せてはいるけれど、どこか一方通行的だなと感じます。

目と目を合わせて訴えること、伝わるものって結構あるし、企画によってはそこがすごく大事です。なので、これが長引くとちょっと困ります。シンプルに、さみしいし。早くまた目と目を合わせて、ぐっと深いところまで、お話が聞きたいなって思ってます。

*大東駿介さん、菅原さくらさんありがとうございました! 次の1往復エッセイは、もろずみはるかさんと波多野友子さんが登場予定です。
(企画・編集:安次富陽子)

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