マッキンゼーで学んだ感情コントロールの技術 第3回

自由奔放な同僚についイラッと 「嫉妬してるかも」と気づいた時の感情コントロール術

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自由奔放な同僚についイラッと 「嫉妬してるかも」と気づいた時の感情コントロール術

自由奔放な同僚についイラッとしたり、話し上手で社交的な人を羨ましく思ったり。日々、ちょっとした瞬間に、嫉妬で感情が乱されることがありますよね。

「そういう性格だから仕方がない」と諦めてしまいがちですが、『マッキンゼーで学んだ感情コントロールの技術』(青春出版社)の著者で人材コンサルタントの大嶋祥誉(おおしま・さちよ)さんによると、性格や気質さえ単なる思い込みやバイアス(思考の偏り)である可能性が高いそうです。

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子ども時代に身につけた「ビリーフシステム」

——前回の「情動感染」以外にも、感情コントロールを妨げる要因はありますか?

大嶋祥誉さん(以下、大嶋):「思考の偏り」「先入観」など、バイアスによる感情の乱れも女性に多い傾向があります。根源になっているのが「ビリーフシステム」。幼い頃からの親の教育だったり、過去の体験などによって身についた「考え方」や「価値基準」のことです。

例えば、幼い頃から無邪気に自分を表現していると、「わがままを言わずに、きちんとしなさい」と注意され続けてきた場合、その人は自分の感情を素直に出せなくなり、内向的な性格になってしまいがち。そして、「きちんとしないと、とんでもないことになる」という価値基準で生きていくことになります。

——内向的だったり、落ち込みやすかったり、怒りやすかったり、性格だからなおせないと思っている人は結構いると思います。

大嶋:それは違います。気質や性格さえも、本当にそうなのかはわかりません。自分はこういう人間なんだと思い込んでいる可能性もあります。そのバイアスが、感情コントロールを邪魔してしまうのです。

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怒りを覚える「トリガーポイント」を見つけて

大嶋:以前、内向的と思っている人をコーチングしたことがありますが、実はその人、もの凄くパワフルな人だったのです。話を聞くと、小さい頃から「お行儀よくしなさい」と厳しく育てられたそうなんです。お行儀よく、おとなしくしなくてはいけないと自分の感情を押し殺すことを価値基準として生きてきた。だから、その価値基準に反した人、つまり無邪気にわがままに振る舞う人を見ると、拒絶したり、怒りを覚えたりしてしまうのです。この怒りを覚えるポイントを「トリガーポイント」と言います。

——そこを認識することで、感情コントロールができるようになるのですね。

大嶋:はい。ビリーフシステムやトリガーポイントを知り、手放す作業を続けていくと、バイアスがはずれて、考え方や価値観が塗り替えられ、自然と言動も変わっていきます。素直に自分の感情を出してもOKなんだと気づくことで、わがままな人に対しても怒りを覚えなくなり、最終的には自分の意見をはっきり言えるようになりました。これで、怒りの感情をひとつコントロールできるようになったわけです。

感情コントロールは「抑えること」ではない

——感情コントロールというと、感情を抑えるイメージですが、お話を聞くとそうではない?

大嶋:そこを勘違いしている人は多いと思いますが、感情コントロールに重要なのは、抑えるのではなく、受け入れて、さらに受け流すということです。感情コントロールを妨げる要因として「情動感染」と「バイアス」をあげましたが、「自己肯定感の欠如」もそのひとつ。自己肯定感の低い人は、マイナスなことが起こると、そこに感情をくっつけてしまいがちです。

——逆に言えば、自己肯定感の高い人は、感情コントロールがうまいと。

大嶋:はい。自己肯定感の高い人は、周囲の感情に振り回されないので、相手の態度に一喜一憂したりしません。いい意味でKYですよね。

知り合いにこんな人がいました。自分で開発した金融商品を売り込みたいから、誰か知り合いを紹介してほしいと言われ、私は最初、「大丈夫かな? へんな商品を売りにきてと、みんな思うのでは?」と躊躇していました。でも、彼はそんなことおかまいなしにアポを取るんですよね。しかも、人を紹介すると、いきなり商品の売り込みをかけるので、思わず「空気を読んで!」と言いたくなりました。

——それで、結果は?

大嶋:これが案外買いたいという人も出てくるんですよね。もちろん、相手は嫌なら嫌ですって断るし、彼も押し売りするわけでもない。それでも本人はまったく平気で、いい意味で羞恥心がないのです。

自己肯定感の高い人は、行動することに不安もないし、相手の反応によって感情を乱すこともない。ダメだったらダメだったというだけの話なのです。

褒められたら「ありがとう」を習慣化

——自己肯定感の低い人は、「拒絶されたのは自分の対応に問題があったのかも」とか「自分に価値がないせいだ」と思ってしまいがちですよね。

大嶋:そうなんです。断られたことに対して、つい自分の感情をくっつけてしまいますよね。どう改善すればいいのかにエネルギーが向かず、ダメな理由を想像することにエネルギーを使ってしまう。

また、そういう人に限って自分と他人と比較してしまうので、負の感情をなかなか手放すことができません。自己肯定感の高い人は他人との比較ではなく、「自分がどうしたいか」を考えます。失敗すれば瞬間的に落ち込むことはあるかもしれないけど、すぐに改善に目が向きます。

——なるほど。そういったエネルギーの無駄遣いで、多くの人が実力を発揮できないのですね。

大嶋:自分を肯定できない人を「インポスター症候群」と言いますが、これは女性に多く見られ、Facebookの最高執行責任者である、シェリル・サンドバーグでさえその傾向があると自ら言っています。誰がみても凄い人なのに、自分は他人より能力に劣ると思い込んでしまい、賞賛されても、つい「いえいえ、私なんて」という言葉が出てしまう。

——たしかに、「私なんて」と答える人、多いですよね。

大嶋:できる女性ほどその傾向が強く、よくいえば謙虚とも言えますが、褒められればうれしいですよね? ならば素直に受け取って、「ありがとうございます」と返せばいいのです。

——自己肯定感は高められるのですか?

大嶋:「褒められたら、ありがとうと答える」と、習慣化してしまうことです。ニコッと笑って「ありがとう」。これでいいんです。形から入ることはとても大切。最初は形式的でも、いずれはそちらが普通になっていき、感情コントロールにもプラスに働きます。

また、笑うと免疫力が上がり、気分も上昇するという心理学の実験があります。広角を上げて笑顔で本を読ませたグループは内容を肯定的に捉え、広角を下げて読ませたグループは同じ内容でも否定的に捉えた。口角を上げてニコニコしているだけでも、考え方や行動はプラスに変わっていきます。自己肯定感もそれに比例して高まるはずです。

*次回は11月22日(木)公開予定です。お楽しみに!
(取材・文:塚本佳子、撮影:面川雄大)

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