社会人経験を数年積んで、新人のころとは違う景色が見え始めたとき、このまま今の仕事を続けるのか、あるいは転職したり別の仕事に挑戦するのか、自分のこれからについて悩んだり迷ったりするのは多くの人に心当たりがあることなのではないでしょうか。
決めるのは自分だけれど、みんなはどうやって自分のキャリアや働き方を決めているの?
最近は「ミレニアル世代」と括られることも多い、30歳前後の女性に「キャリアの選び方」を聞きます。
ベンチャー企業「スタークス株式会社(以下、スタークス)」で法人向け営業のセールスコンサルタントという肩書きで、社内では営業チームのマネジメントも担当している髙橋優奈(たかはし・ゆうな)さん(26)。
前編では、新卒で大手損保に入社し、営業支社内で初の“女性営業”として教育され、期待されていたものの、会社を辞めることを決意するまでを聞きました。
後編では、「焦り」を感じていた髙橋さんがスタークスに転職するまでを聞きます。
大企業での成長スピードに「焦り」
大企業での成長スピードに「焦り」を感じていたという髙橋さん。その「焦り」は、社内の同期や上司を見ていて感じたのではなく、社外に目を向けたときに感じていたと言います。
「外に目を向けるとすごい人たちがたくさんいるんです。学生時代にリクルートでバイトしていたときの同期もみんな活躍している人たちばかりだったので、時々会って話を聞いていると『このままじゃ負ける』と思ったんです。『このままではいけない』と思い、転職を考えるようになりました」
転職活動はSNSとエージェントを利用
転職をすると決めてからは、IT業界の転職に強いサイト「Green」や転職のためのSNS「Wantedly」を利用することに。
「エージェントを利用するのが一般的なのかもしれませんが、当時私は八王子支社で働いていたので都心のエージェントに行くのは面倒だなあ、と。だったら、自分でやろうと思ったんです。次は保険という商材よりは何か別の商材を売りたかった。
ただ、在庫を抱えるビジネスは嫌だったんです。そして、おそらくこれから伸びていく業界はたぶんテクノロジーを活用している会社かなと思って、『Wantedly』と『Green』を見ていましたね」
「Wantedly」と「Green」で転職活動をして2社から内定をもらったものの、結局はどちらの内定も辞退したという髙橋さん。
「内定をいただいた2社のうちの一社の人事の方とお話をしていたら『髙橋さんに来ていただくことが高橋さんにとって本当に幸せなのか、自信が持てないんだよね』と言われたんです。私も会社自体はいい会社だなと思ったんですが、事業自体に興味を持てなかったんです。
内定後にその気持ちを正直に話したら『自分で転職サイトを使って探すのもいいけれど、転職のプロのエージェントさんに紹介してもらうのもいいんじゃない?』とアドバイスをいただいて、それでエージェントまで紹介してもらったんです」
その後、紹介されたエージェントを利用してスタークスを受けることになり、無事内定し、3年勤めた大手損保を退社しました。
スタークスを選んだ理由は「社会的意義がある事業を展開している」から。
「スタークスは、一言で言うと社会課題を解決していく会社なんです。なので、どこの分野にも軸足を置いていないので、逆に言うとどこの部分も課題解決をしていく可能性があるし、していかなければならない。
例えば、業界が限定されている会社だったら、その部分でしか課題を解決することができないと思うんですけれど、スタークスだったらあらゆる課題を解決できると思ったんです。
そして、解決の仕方が対症療法的なやり方ではなく、業界の構造やシステムと言った大元の部分やそもそもの根本課題を解決しようという考え方なのですごくよいなと思いました」
ベンチャーと言っても「青い炎」系
転職してちょうど1年。髙橋さんが追求していた「成長」の手応えは?
「自分が思っていた成長イメージよりも速いスピードで成長できているかなと思いますね。去年の4月に入社して、7月から2つある営業チームの一つのチームのリーダーをやっています。今までは自分の成果にすごくこだわっていたんですが、今のこの立場になってみて、自分がどうこうというよりも、チームとして会社として成長し続けることが重要なんだなっていうことをひしひしと感じています。
例えば、今月は誰かの目標が達成できなかったとしても、他のメンバーで助け合って達成すれば、チームとして達成できたら会社としてはよいよね、と全体から見る視点が自分の中で新しくできた視点かなと思いますね」
社外的にも「前職は業界がほとんど変わらず、火災保険や自動車保険などをずっと昔からあるものを同じようなやり方で売っていくっていう形だったんですが、今は業界の変化を捉えて、お客様にその都度その都度、どういったものが一番喜んでもらえるか、どうすればお客様にとってのメリットを発揮できるんだろうっていうのを考えるクセが身に付きました」と力を込めます。
成長スピードや自分が携わる仕事内容としても、手応えを感じている髙橋さん。髙橋さんにはベンチャーが合っていたということなのでしょうか?
「そうですね、ただ、ベンチャーと言うとガツガツギラギラ系をイメージされることが多いと思うんですが、うちの会社は『赤い炎』というより『青い炎』。見た目は普通だけど、実はすごく熱い思いを持ってるといういか。そういう芯が熱いメンバーが多いんです。なので、メンバーだけ見てるとベンチャーっぽくないっていうか、ガツガツギラギラな感じはなくてそこも自分にとって好ましいというか、合っていたと思います」
そんな「青い炎」系のベンチャーで、髙橋さんが仕事の手応えを感じるのはどんな瞬間?
「やはり任せてもらえる裁量が大きいときですかね。今、実際にマネージャーというポジションを任せてもらっているので、すごくありがたい反面、自分が決めなければいけない裁量が大きいので、責任も大きい。自分の身の丈以上の裁量があるので、そのギャップがなかなか埋められないときはすごく辛いですね。
でも、私の中では『習うより慣れろ』というか、どんどんやって失敗してそのたびに学んで、できなかったことをできるようになってというのをこなしていくしかないかなと思ってますね」と前向きに語ります。
今後の目標は「組織から必要とされ続ける存在でいること」だそう。
「これから中途の優秀な方もどんどん入ってくるので、そういった方にに負けず劣らず成果を残し続けないとならないと思っています。なので、短期的には、マネージャーとして組織で成果を上げること。これが目標ですね。
長期的には、今は営業のマネージャーですけれど、組織としてもこの会社が好きなので、さらに裁量の大きい任務を担えるようになり、会社自体をもっと自分が大きくしていきたいですね」
福利厚生は「ないなら作ればいい」
一般的に転職というと給料や福利厚生などを重視する人も少なくありません。まして大企業にいた髙橋さんからしたら「物足りなく」思うのでは?
「入社したときは福利厚生がほとんどなかったようなものなので、その都度その都度アプローチして作っていくという感じだったんです。逆に、前職は福利厚生がすごくそろっていたので、会社に『こういう制度を整えてほしい』というアイディアを提案するときに、前職の知見も活かせたかなとは思ってます。ないなら作ればいい話なので、より自分たちに合った制度を作れるというのはむしろ魅力的だと思いました」
最後に、同世代の女性や後輩にあたる女性に「自分のキャリアを決めていく」ための”アドバイス”を聞きました。
「今の環境のままがんばっていく道と、まったく違う環境を選んで自分がさらに成長できる可能性がある道とを想像したときに、どちらが自分にとって魅力的だと思うかというのを自分自身に問いかけてみると行動が変わるはずです。
ぜひそのあたりを考えてみるといいかなと思いますね。今が一番いいってなったら、そのままでいいと思いますし。もし、ここではない他の道で自分はもっと輝けるかもと思うのであれば、今動くことがすごく重要なんじゃないかなと思います」
(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子)