フリーランス協会代表理事・平田麻莉さんインタビュー前編

「キャリアを棒に振っても大丈夫」とフリーランス協会の代表が言う理由

「キャリアを棒に振っても大丈夫」とフリーランス協会の代表が言う理由
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異業種への転職やフリーランスへの転身に興味があっても、これまでのキャリアを捨ててしまうことになるのではないかと不安になりますよね。ちゃんと計画的に準備をして、スキルや経験を積んでからじゃないとムリだと思う人も多いかもしれません。

でも、チャンスが目の前に現れたら「波に乗ってみるのも悪くない」と、フリーランス協会の代表理事を務める平田麻莉(ひらた・まり)さんは言います。平田さんに、自分が納得できるキャリアの作り方について、前後編に分けて話を聞きました。

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ひらめきに従って「波乗り」してきた

——平田さんは現在、フリーランス協会で理事を務められていますが、もともと起業しようとか、自分が組織の中でリーダーになりたいと思っていたんですか?

平田麻莉さん(以下、平田):いいえ、全然。考えてもいなかったですね。協会を立ち上げることもそうですが、人生成り行きというか……。私のキャリアって「波乗り」だなって思うんです。

——「波乗り」ですか?

平田:はい。私、人生はコントロールできないものだと思っていて。全て計画通りになんて行かないし、誠実に生きていれば、そんなにひどい目に遭うこともないだろうって。良くも悪くも適当なんです(笑)。でも、その中でピンとくる出会いとか、インスピレーションがあったら、とりあえず乗っかるというスタンスでいます。そして、波が来た時は「キャリアを棒に振る」のもありだと思うんですよね。

キャリアを棒に振らないのはもったいない?

——ええっ? どういう意味でしょうか?

平田:私自身、これまで何度も「そんな風にキャリアを棒に振ってもったいない」と言われていまして。でも、振り返ってみると全然もったいないなんてことはなくて。むしろ価値のあることだったな、と。

たとえば、新卒の時、インターンで参加していたベンチャー企業にジョインしました。今でこそ、新卒でベンチャーという選択肢も当たり前になりつつありますが、15年前はまだ大手企業に勤めてなんぼの時代。「慶應を出て、設立3か月なんて若い会社に行かなくても……」と言われましたね。

その後、そのベンチャー企業で広報としてバリバリ働いて、数年経ったら年上の男性の部下を持つようになりました。いろんなメディアの方と繋がりもできて、続けていればPRパーソンとしてはいわゆる“安泰”なキャリアが見えていましたが、アカデミアに興味を持って大学院に行くことを決めて……。

——平田さんのおっしゃる「キャリアを棒に振った」わけですね。

平田:そう。でもその大学院で修士から博士課程へと進学すると、学校の広報と国際連携の仕事を任せられたり、フリーランスとして某企業の幹部研修の教材制作を行ったりするようになりました。ビジネススクール業界での繋がりがいろいろできて、「無事に学位取得したらさぞ仕事がしやすいだろうね」といろんな人に言われていました。でも、いよいよ研究に集中しようという時に、子どもを授かって。出産を機に一時的に専業主婦になりました。

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出産して価値観革命が起きた

——バリバリ仕事をするのが好きと聞いていたので、専業主婦という選択をしたのは意外な感じがします。

平田:自分でも驚きました。妊娠がわかった時は、「これから学位取得で重要な時なのにどうしよう」とか、「産んだら、さくっと預けて、さくっと復帰しよう」って思っていたんですけど、子どもを抱いたら価値観革命が起こったんです。

「この子と離れたくない」と思って、博士課程を辞め、専業主婦になりました。そして、子どもを保育園に預けるタイミングで、再びフリーランスとして働き始めて現在に至ります。

——ずっと同じことをしているのが嫌とか?

平田:あまのじゃく、なんですかね(笑)。課題やミッションに対して精一杯取り組むんですけど、ある程度達成したと周囲に見られ始めてしまうと違うことにチャレンジしたくなるんですよ。安住したくないというか、作ったものの上に居座ることが目的になるのはなんだか違うな、と。それは、現在のフリーランス協会に対しても同じ。

結果的には、そこで「キャリアを棒に振った」と周りから思われてしまうかもしれません。でも、本気で取り組んできたことって一周回ってつながるんですよね。スティーブ・ジョブズの「コネクティング・ザ・ドッツ」のように、それぞれの点が実は繋がっているという感覚。今やっていることも、これまでのあらゆる経験が反映されているものなんだと思います。

——ムダなことは何もない、と?

平田:そうですね。キャリアって掛け算で作っていくと言われることもあるので、たくさんの点(経験)を持つのはいいことだと思うんです。もちろん、コツコツやるのが何より大事なんですけど、一定期間とことんやってみて、人並み以上に頑張ったと思える時がきたら棒に振っても意外と経験は衰えない。自分の中に一つの核として残っているのを感じられると思うんです。

そういう意味では今持っているものにこだわって動けなくなるより、波に乗って行動するほうが、自分ならではの唯一の強みを見つけられたり、自分なりの経験を掛け合わせて道を切り開けたりするんじゃないかなと思います。

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*後編は3月13日(火)公開予定です。
(取材・文:ウートピ編集部 安次富陽子、撮影:青木勇太、撮影協力:DIAGONAL RUN TOKYO

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