「フリー編集長」と「社畜プロデューサー」というまったく異なる立場から、ウートピ編集部というチームを運営している鈴木円香(34歳)と海野優子(32歳)。
脱サラした自営業者とマジメ一筋の会社員が、「心から納得できる働きかた」を見つけるため時にはケンカも辞さず、真剣に繰り広げる日本一ちっちゃな働きかた改革が現在進行中です。
前回から全3回にわたって、ウートピ編集部全員でチームワークについて考えてみることに。企業の採用や配属の判断材料としても活用されている「ディグラム診断」を通じてチームの見える化、もっといいチームにするには、どんな改善策があるのか探っていきます。
第2回も「ディグラム・ラボ」の木原誠太郎さんに協力していただき、編集部の「個性を見える化」してみました。聞き手は、引き続き編集部の中でも真面目な社畜、安次富がお送りします。
編集部のメンバーの簡単な説明はこちら。
鈴木:34歳、ウートピ編集長(フリーランス)。頭がキレ、PDCAを回すのが早い。冷静でビジネスライクな印象を与える反面、実は優しい。
海野P:33歳、プロデューサー。自称「生徒会副会長」タイプ。社畜と呼ばれながら日々奮闘。ときどき、チーム運営や自身のリーダーとしての適性に悩む。
堀池:35歳、編集者。ストイックな性格で、規律に厳しい。北村の奔放さに頭を抱えることもある。
安次富:33歳、編集者。空気を読んで自己主張できないことがままある。本音と建前の間で葛藤して、ストレスを溜め込みやすい。
北村:30歳、編集者。パリピ気質で事務作業などルールを守るのが苦手。楽しいことが大好き。
海野Pにぶつかっていこう
安次富:前回は海野Pと鈴木編集長のリーダーシップについて見ていただきました。
木原:はい。2人の特徴から、中長期の計画を立てるのは鈴木さん、ビジョンを示すのは海野さんと分担するといいと思います。あと、海野さんは「サンドバッグ型」で、みんなの悩みやグチを一身に受けられるタフなタイプです。
海野P:よし! どんとこい!
一同:(熱い……!!!)
堀池:じゃあ海野さんにこれからもグチをたくさん言おう。
木原:鈴木さんの波形は女性ではなかなか珍しいタイプです。「ディグラム・ラボ」でも採用をしているんですけど、この波形がほしい。鈴木さんウチに来ませんか?
海野&安次富:あげません!
堀池&北村:鈴木さん、ダメですよ!
鈴木:みんなで慌て過ぎ(笑)。でも、採用したい波形ってあるんですね。
ディグラムで組織作りをするなら…
木原:そうですね。「大人なのに仕事に相性を持ち込むなんて」というストイックな方もいますが、相性はどうしたってあります。相性の悪い波形同士が集まると、個々人が優秀でも、チームが崩壊してしまうこともあるんですよ。だからこそ、環境や目的に合った「人の組み合わせ」は大事なんです。
一同:(私たちの組み合わせ大丈夫かな……)
木原:結論から言うと、ウートピ編集部は……。
一同:(ゴクリ……)
木原:「動物園」ですね。
堀池:『けものフレンズ』ですか!?
一同:(爆笑)。
堀池:どんなフレンズがいるんですか?
木原:そうですね、まず同じタイプの人がいない。そしてそれぞれ、アクが強い。組織作りの相談を受けた時に、僕は主に2つの方法を取ります。「同じ系統の性格でまとめる」か「正反対の性格の人を集める」か。全員がバラバラでも組み合わせ次第では相乗効果を期待できるんですよ。
安次富:後者だとまとまりにくそうですけど……。
木原:大事なのはバランスです。
安次富:なるほど。では2人で一緒にいると最強の「鈴木優子(鈴木編集長&海野P)」さんは、私たち編集部の3人をどう飼育するのがいいのでしょうか。
堀池:動物園だからね(笑)。
職人気質と思われていた彼女は…
安次富:では、編集部員最古参の堀池さんから。
木原:では、「知っている性格」の分析から行きましょう。
安次富:堀池さんは……。あとから入った私や北村さんの面倒を見てくれるのですが、そこでちょっと苦労しているのが見えます。自分のこともやりつつ、後輩の面倒を見るがストレスのようです。
堀池:そうですね。自分では職人タイプだと思っているので、好きなことしかしたくないんですよ。見た目は母性的だと言われるんですけど、自分ではすごく父性が強いと思っている。ダメなものはダメってはっきりしている。
鈴木:自分にも他人にも厳しくて、ストイックですね。
海野P:優しさも結構高いんじゃないかな?
北村:そうそうそうそう! めーーっちゃ、優しいです! 私は堀池さんの優しいところが大好きなんですぅー☆
堀池:ありがとう。でも、優しいって言われると「甘い」って言われている気がして。もっと厳しくしたほうがいいのかなって思うんですよね。
一同:(超絶ストイック……!)
堀池さんの前世は女優?
木原:なるほど。堀池さんの波形はこちらです。
木原:おっしゃっている通りの波形になっています。
一同:おぉー!
鈴木&海野P:自由奔放さが意外と高い!
安次富:意外と高いっていうか、満点じゃないですか。超意外!
堀池:どういうことですかっ!?
木原:これは、Aボトムという波形です。ちょっと言うと、人格がいろいろあるタイプの人です。多重人格ではなくて、その時、その場所に合わせて顔が変わる。
堀池:あっ、わかります。私、前世は女優だったって思う瞬間があるんです。
一同:(あるんだ)
木原:Aボトムの人の特徴として、瞬間的にこうあるべきだということを断定したい。堀池さんはその中でも、論理性が低くて、自由奔放さが高い。砂場で子どもが遊んでいる時、自分が楽しいから一生懸命遊ぶのと一緒で、自分が今これをやりたいから一生懸命やるというタイプの人です。ただ、ちょっと飽きっぽさもあるので、瞬間的にぶわっとやるのが得意なタイプですね。暴飲暴食も多い。
鈴木:そういうこともわかるんですね。
カラオケで演歌を歌う女は離婚しやすい
木原:僕は対面だと1万人以上の被験者と会っているのですが、そのデータがどんどん蓄積されているので、傾向もある程度推察できるんです。「カラオケで演歌を歌う女性は離婚しやすい」とか。
堀池&安次富:(歌うかもしれない……)
木原:あくまでも傾向が強いということで、すべての人に当てはまるわけではありません。ただ、データに基づく事実であることは確かです。
堀池:へぇー。面白いですね。他にもありますか?
木原:堀池さんの波形で言うと、お酒の場で記憶を飛ばす人も平均より高い。
鈴木:お酒の場といえば、飲み会の好き嫌いもあるんですよ。海野Pは仕事仲間とも飲みたいんだけど、堀池さんは業務時間外にあまり職場の人間と関わりたくないタイプで。
木原:堀池さんは、飲み会が嫌いというより、自分が行きたいかどうかなんじゃないですか?
堀池:そう。そうなんです! 好きな人と好きな話だけしたい。
木原:人との距離感をじっと観察する人なので、観察疲れを起こしているのかも。3時間飲み会に付き合うとかじゃなくて、最初の1時間だけ居てパッと帰るというのはどうでしょう。
堀池:それくらいがちょうどいいかも。
ザ・社会人な波形のU型3
木原:堀池さんの場合、こだわりが強くて「私が」という自我がしっかりしている人です。人をまとめるよりは、企画とか表現するのが得意なタイプ。プランナー、クリエイターなどに多い波形ですね。
堀池:……なるほど。
木原:今の日本の企業にはあまりいないタイプです。でも、メディアの運営や、何か世に発信する人ってどこかしら飛びぬけていないとダメなんですよね。今のお仕事をするうえではいい特徴を持っていると思いますよ。
海野P:ちなみに、ザ・社会人ってどんな波形になりがちなんですか?
木原:U型3という波形です。優しい職人タイプ。あと女性に多いのはN型2とか、N型1という波形。
一同:???
木原:バーベキューにたとえて説明しましょう。第1の円には肉を用意する人がいます。ウートピ編集部で言うと、鈴木さんや海野さん。それに対してN型1の人たちは「超おいしそー」と言って、少し離れた場所でわいわいしている人たち。僕はこれを第2の円と呼んでいて、何もしないけど、盛り上げ役の人たち。
北村&安次富の波形を同時にオープン
安次富:確かに組織の中に、そういう人たちは多いように思います。ところで、木原さん。私と北村さんもそろそろ仲間に入れてほしいです。
北村:入れてほしいです!!! ちなみに、バーベキューの役割には他にも登場人物がいるんですか? 私N型じゃない気がするんだよなー。もっと、「肉食いにきたっす!」って感じ。
木原:じゃあ2人同時に行きましょう。
北村&安次富:2人の波形が全然違う。
木原:北村さんの波形は通称「パリピ波形」。
一同:(わかる……!!)
木原:おっしゃっていた通り、まさに「肉を食う人」です。ものすごく面白いことに従順。自由奔放さを指すFCも高いですね。
北村:やったー☆ 満点です。
木原:安次富さんのほうは、U 型1と言って、職人寄りのタイプです。
安次富:社会人に多いのは、U型3とのことですが、似たようなタイプですか?
木原:それとは異なります。このタイプの人っていうのは、こだわりがむちゃくちゃあるのに、みんなの空気を読んで、十分に主張できないタイプ。通称、「内弁慶な頑固人間」です。
お肉を食べたい安次富
鈴木:そう! ものすごく頑固なんです、この人(笑)。
木原:でも、組織の中にはこのタイプの人が必要なんですよ。特にここは、個性が強くてバンバン言うタイプの組織だから、このタイプの人があと1人か2人いてもいいと思います。
鈴木:確かに。現状ではみんなのストレスを一身に受けている気がする。
木原:ストレスの度合いなら、マックス状態のはずですよ。
一同:そうなの!?
安次富:……ソンナコトナイデス。
木原:ほら本心を言わないでしょ。バーベキューのたとえに話を戻すと、肉を食べに来た北村さんとは対照的に、彼女は輪に入れないタイプなんですよ。
鈴木:じゃあバーベキューに何しに来るの?
木原:「お肉食べてる?」って渡されてようやく食べる。自分から輪の中には入っていかない。
堀池:お皿洗いとかしてくれそう。
木原:片づけも自発的にはやらないですね。「お皿洗い係お願いね」って言われて、ずっとやっているタイプです。
安次富:私、このメンバーでバーベキュー行きたくない(苦笑)。
木原:お肉は食べられるから大丈夫ですよ。ただ、裏方を任されてずっと裏方に徹していたら気が付いたら終わっていたということもあるので、もう少し主張したほうがいいですね。
安次富:(がんばろ……)
最終回となる次回は、チーム全体の関係性を診断していただきます。
(構成:ウートピ編集部・安次富陽子)