会社の中で、なんとなく感じてしまう頭打ち感。そこから飛び出すために、外資系企業やスタートアップといった実力主義の世界で自分の力を試してみたいけど、やっぱり不安だという人も多いのではないでしょうか。
11月10日、パナソニックが運営を行うカフェ・イベントスペースの100BANCH(ひゃくばんち・東京都渋谷区)で、パナソニックの樋口泰行専務と企業の連携などを支援するロフトワークの林千晶代表が「企業と個人の理想的な関係」をテーマに未来の働き方を考える対談を行いました。
日本の企業、外資系企業を経験して感じたこと
パナソニック、ダイエーといった大手日本企業やヒューレット・パッカード、マイクロソフトという米国企業で経営者として活躍してきた樋口さん。日本とアメリカを両方体験した中でどんな違いを感じるかという質問に「12年間パナソニックに勤めてから、外資系企業に転職した時、日本企業はなんてあったかい環境だったのかと思った。辞めるのをやめればよかったと思った」と言い、前職の上司に「戻りたい」と電話をして妻に怒られたというエピソードを明かしました。
樋口さんは「(転職先の戦略コンサルティング企業は)昇格か去るか(アップオアアウト)の世界。コンサルタントからマネジャーに昇格する時に2分の1の人口になる。雇用が保障された世界から入ったので、震え上がる思いがした。社員の7割が東大卒というような知力勝負の世界に放り込まれて、自分の能力が発揮できないという悩みから、能力が足りないという悩みに変わった」と外資系企業のリアルな厳しさを語りました。また、それらのプレッシャーの中で「考える力が育まれた」とも振り返りました。
幸せの追求方法には2種類ある
対談の最後にはそれぞれが思う「プレッシャーとの付き合い方」について言及。
林さんは「大企業は残業を減らしていこう。個人ではいろんな生き方を選んでいいよ。それらは一見、苦しまなくていいよ、自分の楽しみを追求していいよという文脈で捉えられがちですよね。でもプレッシャーがないと育たないのも事実なんじゃないかなと思います。自分のことを省みても、やりたくない、ツラいということがあった。でも続けていく中で、あれがあってよかったと思う瞬間が来る」と述べました。
樋口さんは、「幸せの考え方を2つに分けると、目の前の幸せを追求する刹那的なものと、将来の幸せのために我慢や努力をするものがある」とし、「一番幸せなのは両方ミックスでその時々によってバランスを取っている姿」だと話しました。
100BANCHは、パナソニックが2018年に創業100周年を迎えることを機に構想がスタート。「未来をつくる実験区」として、パナソニック、カフェ・カンパニー、ロフトワークの3社が共同で運営をしている施設です。
次の100年を豊かにする100のプロジェクトを作ろうと、さまざまなイベントやプロジェクトが行われています。
(取材・文:ウートピ編集部 安次富陽子)