秋は採れたてのおいしい食材が並びますが、つい「食べ過ぎる」のもこのシーズンにありがちなことです。
管理栄養士として糖尿病専門のクリニックで食事指導を行う西山和子さんは、「キノコやイモなどの野菜類を中心にメニューを考えると、低カロリーで栄養価が高く、おいしい食事になります」とアドバイスをします。
食材の選び方のコツを教えてもらいました。
サツマイモとクリはカロリーが高めなので少量に
はじめに西山さんは、秋が旬の野菜やキノコの特徴とカロリーについて、こう紹介をします。
「イモ類やキノコは、食物繊維が豊富で食べごたえがあり、栄養が豊富で風味も豊かです。
また、秋が旬の主な野菜やキノコの100gあたりのカロリーは次のようになります。野菜が低カロリーであることは季節を問いませんが、グルメに敏感になる秋の食材については覚えておき、食事のはじにたくさん食べると全体として食べ過ぎを防ぐ
ポイントになるでしょう。
チンゲンサイ(9kcal)、シイタケ(19 kcal)、エリンギ(19kcal)、マイタケ(15kcal)、カリフラワー(27 kcal)、ニンジン(37kcal)、サトイモ(58 kcal)、ゴボウ(65 kcal)などです。特にキノコ類はカロリーが低いことが分かります」
次にダイエットを意識する場合のコツについて、
「お米のごはんは軽く1膳で200~240 kcalですので、ごはんを少量に控えて野菜やキノコのメニューをたくさん食べたいところです。
ただし注意したいのは、100gあたりが134 kcalになるサツマイモと164 kcalのクリです。ほかの野菜に比べてカロリーが高いため、たくさん食べないように気をつけましょう。サツマイモ中サイズは200gなので、1本食べるとごはん1膳とほぼ同じになります」と西山さん。
またこれらの食材の栄養価について、西山さんは次のように紹介します。
・シイタケ、マイタケ、エリンギなどのキノコ類やゴボウには、水に溶けにくい不溶性の食物繊維が豊富に含まれ、腸の働きを整えます。
・シイタケには、紫外線が当たるとビタミンDに変わるエルゴステロールという成分が含まれています。ビタミンDはヒトの歯や骨の発育を促します。
・サトイモには、血圧を下げる作用があるカリウムが豊富です。また、サトイモのぬめりには、胃の粘膜を保護するムチンという成分が含まれています。
・ニンジン、チンゲンサイには体内でビタミンAに変質するカロテンが豊富に含まれます。
・カリフラワーには若返りのビタミンと呼ばれるビタミンCが豊富に含まれます。
・ニンジン、チンゲンサイ、カリフラワーには抗酸化作用があります。
・ニンジンに含まれるカロテンは油と一緒に食べると腸からの吸収が良くなるので、少量のオリーブ油で炒めて食べるといいでしょう。
キノコの総菜と豆腐をセットに
続いて、これらの食材を利用した、スーパーやデパ地下で買える総菜メニューを西山さんに挙げてもらいましょう。
・シイタケやサトイモは煮くずれせずうま味が豊富なため、煮物を選ぶといいでしょう。
・サラダでは、ゴボウやカリフラワーが含まれるタイプを選びましょう。ドレッシングはノンオイルタイプを使います。
・キノコ料理では、キノコ汁やキノコグラタンを選び、乳製品や豆腐をセットにしましょう。カルシウムの吸収が良くなり、骨を強くします。
・キノコ料理やゴボウサラダなどは、よく噛(か)んで食べ、水分を適度にとると、便秘の対策になるでしょう。
・きんぴらゴボウは、油を使用しているのでパッケージの表示を確認して、100kcal程度のものを選びましょう。
・カリフラワーのビタミンCは、茹(ゆ)でても損失が少ないと言われています。カリフラワーがトッピングされているサラダやパスタなどを選びましょう。
最後にどうしても甘いものが食べたくなったときのスイーツについて、西山さんは次のように話します。
「旬のスイーツの素材はサツマイモやクリですが、先に話したようにカロリーが高いので、小さめのプリンやムースタイプを選びましょう。
スーパーで焼き芋を売っている光景をよく目にします。おいしそうと思わず手にしがちですが、小さめのものを選ぶか、冷蔵庫で保存しながら2~3日に分けて食べましょう。
ダイエット中だからと甘い物を我慢すると反動でリバウンドをする可能性が高くなります。食べたいときにはあまり我慢せずに、量を少なめにするのがダイエットのコツです」
食材のおおよそのカロリーと特徴を知っておき、食べ合わせの総菜や食べ方も考えたうえで、食べ過ぎにならないようにおいしく食べたいものです。
(取材・文 小山田遥/ユンブル)