眼科専門医が教える。目の健康にいいサングラスの色目とは?

眼科専門医が教える。目の健康にいいサングラスの色目とは?

紫外線が目の健康に悪いことが叫ばれています。筆者は先日、目を保護するためのサングラスを購入しようとしましたが、店頭には色も形もデザインも値段も多種多彩に並んでいて、どれにすればいいのか分からず、買わずに帰ってきました。

「実は紫外線をカットせずに、むしろ目に取り込んで害を与えるサングラスもたくさんあります」と話すのは、眼科専門医でみさき眼科クリニック(東京都渋谷区)の石岡みさき院長。サングラスの選びかたについて、詳しいお話を伺いました。

目の紫外線予防は一年中必要

はじめに石岡医師は、紫外線が目に与える影響について次のように説明をします。

「紫外線には3種類がありますが、地上に届くのは、UVA(紫外線A波)とUVB(紫外線B波)の2つです。UVAは波長が長く、肌の表皮の奥の真皮層まで浸透しやすくて肌を黒くします。これが目に入ると目の奥にあってレンズの役割を果たす『水晶体』まで届きます。

長くUVAにさらされると、水晶体をつくっているタンパク質が酸化して白く濁るように変性します。これは視力が低下する、陽の光が異常にまぶしいなどの症状を伴う『白内障』と言う目の病気の原因となります。

また、白目の組織が異常に増殖して黒めに覆いかぶさる『翼状片(よくじょうへん)』、視界の中心がゆがむ、黒ずむ『黄班(おうはん)変性症』などの病気の原因にもなり、いずれも視力は低下します。

UVBは波長が短く肌の表皮を赤くする紫外線で、目では表面にある角膜に吸収されて角膜に炎症を起こす『角膜炎』になることがあります。目が痛む、視力が低下するなどの症状が出ます。アウトドアでのスポーツやレジャーでは注意する必要があります」

それらを防ぐために、光が強いと感じる夏はサングラスが必要だと思っていたのですが、石岡医師は、「紫外線対策は一年中必要。それも若いうちから」と言い、その理由をこう話します。

「日本では、UVBは4月から増え始めて7・8月がピークとなりますが、UVAのほうは5月から9月ごろまでがピークで、そのほかの月でもピーク時の50%強の量が降り注ぎます。つまり、紫外線カットのメガネは一年中必要だと言えるのです。

また、白内障などの病気は加齢とともに急増するので、若いうちから目に入る紫外線の量を意識して減らす必要があります」

肌の日焼けの予防同様に、夏だけでなく、真冬であっても目に紫外線が入らないように気を配る必要がありそうです。

紫外線カット率99.9%で、色は薄目、レンズは大き目を選ぶ

では次に、サングラスの選びかたを石岡医師に教えていただきましょう。

「まず一般に、色目が濃いレンズのほうが紫外線をカットすると思っている人が多いのですが、それは間違いです。目は暗いところでは瞳孔(どうこう。黒目の部分)が開いて光を集めるように働きます。つまり、濃い色のレンズで紫外線カットの機能がないサングラスをかけた場合、瞳孔が開いたままになって、より紫外線を目に取り込むことになります」

そういえば、雑貨店で安い値段で買った黒っぽいレンズのサングラスをかけていて目が痛くなり、充血したことがあります。色が濃いので、紫外線カットになると思い込んで海や山では必ずかけていましたが、「それは目にとって危険な行為」(石岡医師)とのことです。

「できるだけ『薄い色目のレンズ』で、また、必ず、『紫外線カット率99.9%』か『紫外線透過率1.0%以下』といった表示があるサングラスを選んでください。紫外線カット加工がないサングラスは単なるファッション用であり、目の健康にとって良くありません」

さらに石岡医師は紫外線の特徴から、サングラスやメガネの形についても注意を促します。

「紫外線は散乱する性質があります。アスファルトに反射し、UV-Aはガラスを通過するため日陰や屋内、自動車やバスの中などでもあらゆる方向から届いていると考えてください。また、UVBは海や湖などの砂浜や水辺などでは反射し、山や高原など高度が高い場所では太陽光の量が多くなるので、紫外線の害を受けやすくなります。

ですから、たとえ紫外線カット率が99.9%のサングラスをかけていたとしても、レンズが小さい、また細い形をしていると、顔とメガネのすき間から目に紫外線が入り込んできます。できるだけレンズが大きく、顔に密着した形を選んでください」

コンタクトレンズ装用でも、白目から紫外線が入る

では、紫外線カット加工のコンタクトレンズは安心でしょうか。

「コンタクトレンズは黒目を覆うため目に入る紫外線の量を減らします。ただ、保護するのは黒目だけなので白目の部分からは紫外線を浴びることになります。コンタクトレンズの上から紫外線カット加工のサングラスやメガネをかけるようにしましょう」と石岡医師。

紫外線の害は聞くほどに手ごわいことが浮かび上がります。最後に石岡医師はさらなる予防法について、「紫外線カット率99.9%のサングラスやメガネに加えて、同様のカット率の日傘と帽子を併用すると、目に乱入する紫外線をかなり予防できることが分かっています。肌への害の予防にもなります」とアドバイスを加えます。

目の健康のためのサングラスは、「紫外線カット率が99.9%」、「薄い色目」、「レンズが大きく顔に密着する形」の要素がそろうタイプを選ぼうということです。その上で、アウトドアでは日傘や帽子を使い、またインドアでも注意する必要があるということです。

取材・文 海野愛子/ユンブル

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